この記事では、「推定」と「推測」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「推定」と「推測」の違い
「推定」とは、ある数値、内容などを使って、こうであろうと決めることです。
「推測」とは、ある状況などから予想を立てることです。
どちらの言葉にも、おしはかるという意味を持つ漢字の「推」が使用されており、2つの言葉にはおしはかる、見当をつけるという意味が含まれています。
しかし、ややニュアンスが違います。
「推定」の場合は、主観を離れた事実や資料などをもとにして見当をつけることです。
空想や妄想などではなく、見当をつけるために客観的なものを用いています。
たとえば、来年のおおよその人口を知りたいと考えたとします。
来年のおおよその人口は、今年までの人口の増え方など客観的な資料を用いて割り出すことができます。
このように客観的なものを用いて、こうであろうと決めることを意味しています。
「推測」の場合は、すでに知っていることや現在の状況から見当をつけることです。
主観的なものなのか、客観的なものなのかという意味は含まれていません。
ある人がうつむいています。
この状態を見て、悲しいのかもしれないと見当をつけたとします。
このように、現在の状態からこうかもしれないと考えることを意味しています。
「推定」と「推測」の使い方の違い
客観的な資料などを用いて、こうなるであろう、こんなふうであろうと決めることについて、「推定」を使用します。
すでに知っていることや現在の状況などから、こうであるに違いないと考えることについて「推測」を使用します。
「推定」と「推測」の英語表記の違い
「推定」は英語で“estimate”や“estimation”や“assumption”と表現をします。
「推測」は英語で“guess”や“surmise”と表現をします。
「推定」の意味
「推定」とは、ある数値や内容などをもとにして、予想を立てることです。
ある数値や内容とは、資料など客観的なものを指しています。
樹木の年齢は年輪を数えることで知ることができます。
しかし、現在生きている樹木は年輪を見ることができないので、年齢を知りたいと思ったら他の方法を用いなければなりません。
樹木の年齢は、樹木の幹の直径やその樹種の成長速度などの数値から計算することができます。
「21歳だ」などはっきりした数値ではありませんが、おおよその数値を出せます。
これは、客観的な数値を用いて見当をつけているということができます。
日本には、江戸時代やそれ以前から建っていると思われる建築物が存在しています。
いつ建てましたという正確な年月日が記載されている資料があれば、建物が作られた正確な年月日を知ることができますが、そういったものがない場合、見当をつけることになります。
建物の場合は、建築方法や使用されている建材の状態などから、おおよその建てられた年月を知ることができます。
建築方法や建材の状態などは客観的な事実で、それらをもとにおおよその数値を出しています。
こういった客観的なものを用いて、おおよそのことを決めることを意味する言葉です。
「推定」の使い方
ある事実をいとぐちにして、見当をつけることについて使用をします。
主観的なものを用いるのではなく、客観的なものを用いて見当をつけることをいいます。
また、あてずっぽうなことではありません。
「推定」を使った例文
・『売上は10%増となると推定される』
・『樹齢を推定する』
・『推定1億円になるといわれている』
・『推定年齢3歳の犬です』
「推定」の類語
「推測」「推量」「推察」が類語です。
「推量」には、前もって結果を考えることという意味があります。
物事や人の心情など、さまざまなことに広く用いられます。
「推察」には、他の人はこんなことを考えているに違いないとかんがえることという意味があります。
「推定」の対義語
対義語はありません。
「推測」の意味
「推測」には、ある事柄をもとにして見当をつけるという意味があります。
すでに知っていることや現在の状況から、こうであろうと考えることをいいます。
ある神社の手水舎には、浮き球が浮かべられています。
あるときから、浮き球の数が減るようになりました。
神社関係者が片付けて減っているのではありません。
この出来事があったとき、頻繁に鳥の姿が見られました。
すでにわかっていることは、浮き球の数が減った、鳥がよくやってきているということです。
このことから、鳥が浮き球を持って行ったのではないかと見当をつけました。
実際に鳥が浮き球を持って行っている様子を見たのではないので事実ではありません。
別の例で考えてみます。
ある人がコンビニで雑誌の立ち読みをしていて、そのそばを店員が通りました。
そのときに、立ち読みをしていた人は慌てて雑誌を元の場所に戻し、慌てて店内を出て行きました。
わかっていることは、ある客が雑誌を読んでいた、そのそばを店員が通った、客が慌てて出て行ったということです。
このことから、立ち読みを後ろめたくて逃げて行ったのではないかと見当をつけました。
本当に立ち読みを後ろめたく思って出て行ったのかは、客に聞かないとわかりません。
このように、そうであろうと考えることを意味する言葉です。
「推測」の使い方
ある事柄をもとにしてこうであろうと考えることについて使用をします。
事実のことではありません。
こうであろうと出すために使っているものは、すでに知っていることや現在の状況です。
客観的な資料などは用いないことがあります。
「推測」には、主観が入ることがあります。
「推測」を使った例文
・『これは私の推測です』
・『猫は狭いすき間を通って室内に侵入したと推測される』
・『このことを知ったら喜ぶのではないかと推測される』
・『寒さでじっとうずくまっていると推測される』
「推測」の類語
「推定」「推量」「推察」が類語です。
「推測」の対義語
対義語はありません。
まとめ
推し量るという意味を持つ2つの言葉ですが、どのように推し量るのかという点で意味が違います。