この記事では、「増大」と「増幅」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「増大」と「増幅」の違い
「増大」とは、数や量がたくさんになること、程度などがはなはだしくなることです。
「増幅」には、2つの意味があります。
1つめは、振幅を大きくすることです。
もう一つは、程度がはなはだしくなること、範囲が広がることです。
どちらの言葉にも、ます、ふえるという意味を持つ漢字の「増」が使用されており、2つの言葉は増えるという意味を持っています。
しかし、何が増えるのか、大きくなるのかという点で意味が異なります。
「増大」の場合は、数、量、程度などを意味しています。
たとえば、被害を受けた人が最初は5人だったのに、10人、20人と多くなっていくことをいいます。
「増幅」の場合は、程度や範囲を意味しています。
怪我をすると痛いです。
痛みの感じ方は怪我の状態によって違い、我慢できるほどのものもあれば、我慢できないもののほどもあります。
この我慢できる、我慢できないなどが程度です。
どんどん痛みが強くなっていくことを、痛みが「増幅」するということができます。
範囲とは、ある場所からある場所までの、ここからここまでと区切られている空間の広がりのことです。
たとえば、最初はお腹の右側が痛かったのに、だんだんとお腹の左側まで痛みが出てきた場合、痛みの範囲が広がっているということができます。
「増大」と「増幅」の使い方の違い
数や量が多くなること、程度がはなはだしくなることについて「増大」を使用します。
程度がはなはだしくなること、範囲が広くなることについて「増幅」を使用します。
どちらの言葉も小さくなったり、少なくなったりすることには使用しません。
「増大」と「増幅」の英語表記の違い
「増大」は英語で“increase”と表現をします。
「増幅」は英語で、振幅の意味では“amplification”と表現をします。
「増大」の意味
「増大」とは、数や量が多くなること、程度がはなはだしくなることです。
日本は高齢者の数が増えており、介護施設の需要が増えています。
これは、介護施設を利用する人の数が増えているということができます。
介護施設を利用する人は、1人、2人など数えられるので数です。
これが増えているので「増大」ということができます。
世界のゴミは増えています。
2050年には2010年の2倍に増えるともいわれています。
このことは、ゴミの量が多くなっているということができます。
このように、どんどん多くなること、はなはだしくなることを意味する言葉です。
介護施設の例でいうと、増え方が少しずつではなく、それなりに多くなってきています。
ゴミの量についても、2050年には2010年の2倍というのは、少しの量ではなく、それなりに量があります。
少しずつ増えることを意味しているのではなく、それなりに多くなることを意味する言葉です。
「増大」の使い方
多くなること、程度がはなはだしくなることについて使用をします。
数、量、程度などに使う言葉です。
数えられるもの、度合などに使用されます。
増え方が少しのものには使用することは、あまりありません。
たとえば、最初に持っていた鉛筆が1本で、新しく購入をして2本になったなどには使わない言葉です。
この場合は増え方が少しです。
「増大」を使った例文
・『今後、利用者が増大することが予想される』
・『重量が増大する』
・『売り上げの増大が見込めます』
・『ファンが増大しています』
「増大」の類語
「増加」「増殖」「増量」が類語です。
「増加」は数が多くなることです。
「増殖」には、生物や細胞が増えるという意味があります。
「増量」は量れるものについて使う言葉で、増えることです。
「増大」の対義語
「減少」が対義語です。
数や量が少なくなることです。
「増幅」の意味
「増幅」には、2つの意味があります。
1つめは、振幅を大きくすることです。
もう一つは、程度がはなはだしくなること、範囲が広がることです。
怒っている人に対して、相手の気持ちを考えないことをいうと、さらに怒らせてしまうことがあります。
怒りは、程度で表すことができます。
イラッとしても抑えることができる程度のものもあれば、叫ぶ、叩くなどしてしまうほどの程度のものもあります。
最初は抑えられるほどの怒りだったものが、叫ばずにはいられないほどになった場合、怒りの程度が大きくなっているということができます。
この大きくなっていることを意味する言葉です。
笑いも程度で表すことができます。
ニコニコとほほ笑む程度のものや、大きな声を出して笑うほどのものなどがあります。
最初は笑っていなかったのに、だんだんと声を出すほどの笑いになっていくことも「増幅」といえます。
数や量などが多くなることは、意味に含まれていません。
たとえば、ある空間に最初は1人しか人がいなかったのに、50人、100人と数が多くなることはいいません。
程度や範囲についてを意味している言葉です。
「増幅」の使い方
度合がどんどんとはなはだしくなること、範囲がどんどんと広がっていくことについて使用をします。
程度がはなはだしくなる意味では、不安、寂しさ、怒り、楽しさなど感情について使われることが多くあります。
感情は程度で表すことができます。
振幅の意味では、日常では頻繁に使われることはありません。
また、小さくなることには使わない言葉です。
「増幅」を使った例文
・『うれしさが増幅する』
・『その知らせを聞いて期待感が増幅した』
・『怒りを増幅させる結果となった』
・『ツヤ感が増幅することでしょう』
「増幅」の類語
「増える」「広がる」が類語です。
「増える」とは多くなること、「広がる」とは規模や面積などが大きくなることです。
「増幅」の対義語
「減少」が対義語です。
まとめ
増えることを意味する2つの言葉ですが、何が増えるのかという点で意味が異なります。
「増大」は数、量、程度について、「増幅」は程度や範囲についてを意味している言葉です。
何についてなのか意味が違うので、使われる場面も違います。