「権力」と「権威」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「権力」と「権威」の違い生活・教育

この記事では、「権力」「権威」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「権力」と「権威」の違い

「権力」「権威」は共に、「他者を従わせる力」という根本の意味は共通しています。

しかし、「権力」「武力・罰則などによって無理やりにでも従わせる力」を指しています。

「権力」と比べて「権威」は、「自発的にその人のほうから従ってしまいやすい力」を示唆している違いがあります。

「権力」とは「他者に何かを強制できる他律的なパワー」なのです。

それに対して、「権威」とは「大多数に自らの価値を認めさせることで自ら従わせる影響力」を意味している違いが挙げられます。

また「権威」には、「特定分野の専門家・上位者として、その知識・技能が最高水準にあると承認されている人」という「権力」にはない独自の意味があります。


「権力」と「権威」の使い方の違い

「権力」は、「他者を武力やルールによって強制的にでも服従させられる力」を意味して使われる言葉です。

「権威」の表現は、「権力」のように「強制してでも相手を屈服・同意させる力」といった意味で使われることはありません。

「権威」「大多数の人々が優れていると承認して信じている力や地位」の意味合いで使えますが、「権力」「大勢の人たちが認めて信用することで生まれる影響力」の意味では使われません。

さらに「権威」「当該分野において最高の能力や知見を持つと世の中で認められている専門家・熟練者」を指示して使うという、「権力」にはない使い方があります。


「権力」と「権威」の英語表記の違い

「権力」を英語を使って表記すると、以下になります。

“power”……他者に何らかの行為や選択を強制することができる物理的・政治的な力。

パワー。

権力。

“succession”……。

「権威」を英語を用いて表記すると、以下になります。

“authority”……大勢の人が認めている地位・資格・功績などによって生まれる自発的に服従させる力。

権威。

“influence”……他者を何らかの要因によって動かす影響力。

影響力としての権威。

「権力」の意味

「権力(けんりょく)」とは、「他人にある行動・意思決定を、無理やりにでも強制することのできる力」を意味している言葉です。

「権力」というのは、「有形の武力・刑罰などを行使可能な権限を前提にして、相手の抵抗・拒絶を排除してでも従わせられる力」を示唆しています。

アメリカの社会心理学者ジョン・フレンチとバートラム・ラーベンは、「権力」の根拠として「法律や制度における正当性・報酬・刑罰(威嚇)・専門性・尊敬(準拠)」の5点を列挙しています。

「権力」の使い方

「権力」は、「他者の抵抗姿勢を力づくで跳ね除けてでも服従させられる力」を意味して使うという使い方になります。

「権力」という言葉は、政治権力を典型的なものとして、「相手が賛成であろうと反対であろうと、ある行為を武力や法律を盾にして強制できるパワー」を指して使用することができるのです。

「権力」を使った例文

・『組織の意思決定をコントロールしたいというのであれば、強い権力を握らなければ話にもなりません。』

・『若い頃は権力など欲しいとは思いませんでしたが、政治の世界に進んでからは権力を渇望するようになりました。』

・『一度手に入れた絶対的な権力は、それをどうしても手放せなくなるような恐ろしい依存性があるのです。』

・『権力の私的流用を繰り返したことで、人々から恨まれて悲惨な末路を迎えた独裁者は多くいます。』

・『権力を正しく行使できる政治家を選挙で選ぶことで、民主主義の政治は自浄作用を発揮できます。』

「権力」の類語

「権力」の類語には、以下のような言葉があります。

・『強制力(きょうせいりょく)』……他者に対してある意思決定や行為を、無理にでも強いることができる力。

・『威力(いりょく)』……他を傷つけたり従わせたりすることができる強い力。物理的に強い力や勢い。

・『権限(けんげん)』……地位・職業的な役割に付随している限定的な範囲での権力。

「権力」の対義語

「権力」の対義語には、以下の言葉があります。

・『非力(ひりき)』……他者に何かを強制できるような力を何も持っていないさま。

「権威」の意味

「権威」とは、「強制しなくても、他者を自発的に従わせたり同意させたりできる影響力」を意味しています。

「権威」は、「社会構成員の大多数が認める地位や実績などによって、半ば自動的に相手を服従させられる力」を示唆している言葉なのです。

「権威」の表現には、「特定の分野において、最高レベルの能力・技術・功績などを持っていると社会的に認められている人」といった別の意味合いもあります。

「権威」は、「ある分野で特別に抜きん出て優秀なこと」を示唆する表現なのです。

「権威」の使い方

「権威」は、「他者をその人の側から自発的に従わせられる影響力」の意味合いで使うことができます。

「権威」というのは。

「マジョリティーが認めている価値や立場を根拠として、相手を自発的に同意させられる力」を意味して使用できる言葉なのです。

また「権威」は、「ある分野で特別に優れていること・その道の最高水準の人物であると承認された人」を意味する用法でも使用されています。

「権威」を使った例文

・『大企業の権威とブランドが、無条件で通用してきた時代が少しずつ変化してきています。』

・『その経済学者は、東大やハーバード大を出ている学歴をひけらかすような権威的な態度が大衆に嫌われていました。』

・『その医学部教授は、がんの遺伝子治療研究の権威として世界的にも有名な人物でした。』

・『何度も閣僚を歴任してきた政治家としての権威によって、交渉相手に強い圧力をかけていました。』

・『私は権威主義者ではないので、相手がどんな地位や名誉を持っていてもそれだけで従うわけではありません。』

「権威」の類語

「権威」の類語には、以下の言葉があります。

・『第一人者(だいいちにんしゃ)』……その分野・業界を代表するような優れた人物。

・『威勢(いせい)』……人を威圧して服従させるような力・勢い。

・『大御所(おおごしょ)』……現役の第一線からは引いているが、その業界において大きな影響力を持っている人物。

「権威」の対義語

「権威」の対義語には、以下の言葉があります。

・『無位無冠(むいむかん)』……位階・官職に基づく権威を何も持っていないさま。権威に由来する他者への影響力がないこと。

まとめ

「権力」「権威」の違いをいろいろな視点から詳しく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「権力」「権威」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。