「表記」や「標記」という言葉は、どちらも「ひょうき」と読み、ビジネスの場でよく使われている言葉です。
普段それほど使用しない言葉なので、いざ、使おうと思ったときに、どちらを使用したらいいのか迷った人もいるのではないでしょうか。
この二つの言葉の違いを、詳しく説明します。
「表記」と「標記」の違い
「表記」は、おもてに書くこと、またはおもて書きのことを表します。
また、書いて表現する行動そのものをいいます。
それに対し、「標記」は、目印をつけることや、標題として書くことを指します。
すでに書かれている題や目印を指すときにも使われます。
「表記」と「標記」の使い方の違い
文章や文字、記号などを書き表すことを指している「表記」は、「現代仮名遣いで表記する」などという表現や、「カナ表記」などと使われます。
それに対して、「標記」は書き方について使われることはありません。
「おもてがき」のことを、「表記」といいますが、「標記」は使われません。
「表記」には、タイトルや目印、前に述べた項目についてという意味は入っていないので、「表記の件」という言い方はあまりされません。
「表記」と「標記」の英語表記の違い
「表記」を英語で表すと、ある特定の記号などによる表記法という意味がある、notationや、書くという意味のwriteまたは、spell(スペル)などが当てはまります。
それに対し、「標記」は、目印としての意味合いがあるので、mark(マーク)などが当てはまります。
見出しのことを英語で表すときには、titleやheadlineを使います。
「表記」の意味
「表」と「記」という漢字が組み合わされた言葉です。
表という漢字には、表面という意味と、あらわすという意味があります。
そして、記という漢字は、しるすことや記号といった意味があります。
よって、「表記」は、表面やおもてに書きしるすという意味になります。
また、おもてがきを指すこともあります。
また、文字などで書き表す行動を「表記する」といいます。
「表記」の使い方
「表記されている内容をご覧下さい」などのように、文字などを使って書いてあるものを表すときに使います。
また、「表記の連絡先にご連絡ください」のように、おもてに書いたものについて使われることもあります。
また、カタカナ表記、ローマ字表記など、書き表すときの方法について書く場合にも使用されます。
文字だけではなく、「図形を資料中に表記してあります」というように、記号や図形などを書く場合に使うこともあります。
「表記」を使った例文
・『姓名のローマ字表記に関するルールを決めました』
・『表記の仕方は、こちらをご覧になって参考にしてください』
・『取引先に送ったメールに、表記ミスを発見した』
・『漢字の読みは、カタカナで表記して下さい』
・『読みやすい文章にするために、表記揺れに気をつけましょう』
「表記」の類語
書き取ることをあらわす「筆記」や、言葉を繋げて文章を書く「書き綴る」などが類語にあたります。
また、「スペル」や、言葉などを表音文字で書き表すことを指した「綴字」【ていじ】も、類語だといえます。
「標記」の意味
「標」という漢字は、目印や目あてという意味があります。
「標」が使われる言葉に、「標示」というものがあります。
文字や記号など、目印になるもので、人に表現して示すことをいいます。
そのように、目印をつけるという意味があります。
「標記」は、目印を記すこと。
または、文字や符号など、目印そのものを指します。
タイトルとして書き表すことも、「標記する」といいます。
「標記」の使い方
ビジネスシーンでよく使用されます。
ビジネスでメールを使用する場合には、タイトルは必ず入れます。
そして、ひと目で内容が分かるように、タイトルに要件を書くことが一般的です。
タイトルに伝えたい内容を書いた時に、本文でも同じ文章を繰り返すと、くどい印象になってしまうことがあります。
そのような時に、タイトルで要点を書き、本文では、「標記の件」などと書いて、使用します。
また、資料などの中で、タイトルについて指し示したい時に、「標記」を使います。
「標記」を使った例文
・『先方より、標記に関する情報提供がありました』
・『標記の件について、後日話し合いましょう』
・『電車の形式標記の変遷をたどっていくと、より楽しめます』
・『標記の件、日程が変更になりましたのでお知らせします』
・『標記につきまして、別紙のとおり決定しましたので、関係者に連絡をお願いします』
「標記」の類語
「チェック」「標題」「標示」「目印」などが類語にあたります。
まとめ
「表記」と「標記」は、読み方は同じで、とても似ていますが、意味は少し違います。
メールなどでよく使用される言葉なので、会社によっては、独自のルールで統一しているところもあるようです。
二つの言葉の違いを知って、使い分けるようにしましょう。
