「損失」と「損益」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「損失」と「損益」の違いビジネス・就職・転職

この記事では、「損失」「損益」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「損失」と「損益」の違い

「損失(そんしつ)」とは、損(そこ)なって失(うしな)うことという意味で、一般的に財産や利益などを失うことに用いられます。

失ったものそのものをさす場合もあります。

損なうとは、ものを壊したり傷つけたりして駄目にすることという意味で、失うと繋げて強調された表現となっています。

「損益(そんえき)」とは、減ることと増えることや、減らすことと増やすことという意味で、損失と利益を合わせたものです。

何らかの事業をしたときの準備費用と収入を合わせた結果を「損益」と呼びます。

損(そん)には、減らしたり傷つけたりすることや、利益を失うという意味があり、益(えき)には、ふやすことや、役に立つこと、もうけという意味があるため、二つの言葉を繋げて損失と利益を表しています。

「損失」は、損なって失ったものなのに対し、「損益」は、損失と利益を合わせたものという違いがあります。


「損失」と「損益」の使い方の違い

「損失」の使い方は、何らかのものを損なって失っていれば使えるので、一般的に用いられているような財産や利益だけでなく、物質やデータ、エネルギーなどが失われることに対しても使えます。

例えば、物理学や電気工学などの学問では、圧力や電気などの何らかのエネルギーが失われる際の関係式に用いられています。

そのほかの場面としては、機会の損失や社会的損失のように具体的なものでない場合もあります。

表現方法としては、失ったと発信するよりも「損失した」とした方が重大なことや仰々しい印象を与えるため、あえて使われることがあります。

現在の「損益」の使い方は、基本的に金銭的な価値に換算した損失と利益の関係に限定されます。

一般的に使われる会計での損益の関係は、利益と損失を合わせた最終的な収支のこととります。

例えば、何らかの商品を500円で仕入れてきて、2000円で売ったとすると、損失は500円で、売り上げは2000円となり、「損益」は、2000円-500円で1500円となります。

「最終的な損益」と表現した場合には、本業の一つの事業の損益だけでなく、本業以外の「損益」や突発的な「損失」、臨時の利益などを足し合わせたもので、会社の全ての損益を合わせた結果ということになります。

このため、「損益」は、最終的な結果が、プラスで利益となる場合も、マイナスで「損失」となる場合もあることに特に注意が必要です。

よくある勘違いとしては、本来は「損失」と表現すべき場面で「損益」と誤用している人を見かけますが、利益の対義語は「損失」となるため、「損益」でないことに注意する必要があります。

「損失」は、何らかのことがらが損なって失われること全般に使われるのに対し、「損益」は、損失と利益を足し合わせたものに使われるという違いがあります。


「損失」と「損益」の英語表記の違い

「損失」の英語表記には、“loss”“damage”“cost”“deficit”“detriment”“disadvantage”“harm”“hemorrhage”などが考えられます。

直接的に「損失」の意味をカバーする単語はありませんので、状況に応じて使い分ける必要があります。

“loss”は、うしなうこと、空虚さ、損害、死者、死、減量、(保険などの)支払い請求額、(電気回路や摩擦などの抵抗による)損失などの意味があります。

“damage”は、損失、損害、損傷、被害、費用、損害賠償額などの意味があります。

“cost”は、費用、原価、犠牲、代償、損失などの意味があります。

“deficit”は、(収入以上の)損失、(目標に対する)不足額、(取引などの)損失、欠陥などの意味があります。

“detriment”は、損害、損失、不利益、有害物などの意味があります。

“disadvantage”は、不利益な立場、不都合なこと、損失、損害などの意味があります。

“harm”は、(物質的な)損害、損失などの意味があります。

“hemorrhage”は、(金銭的な)損失、(多量の)出血などの意味があります。

「損益」の英語表記には、“gain and loss”(“loss and gain”)、“income and expenses”“income summary”“profit and loss”などが考えられます。

“gain and loss”は、得る、稼ぐ、儲ける、利益、獲得などの意味を持つ“gain”と、失う、損失、損害、死者、敗北、減量などの意味を持つ“loss”を合わせて、損益という意味合いになります。

“income and expenses”は、所得、収益、収入、などの意味を持つ“income”と、経費、費用などの意味を持つ“expenses”を合わせて、損益という意味合いになります。

“income summary”は、“income”と、概要、要約、概略などの意味を持つ“summary”を合わせて、集合損益、損益という意味合いになります。

“profit and loss”は、利益、利得、儲けなどの意味を持つ“profit”と、“loss”を合わせて、損益計算書となります。

「損失」と「損益」を使った例文

・『空売りの損失は、際限なく拡大する可能性がある』
・『摩擦抵抗でエネルギーが損失する』
・『成長する機会を損失する』
・『その大会を開催しないことには、社会的な損失がある』
・『損益が最終的に15億円の黒字になった』
・『最終損益は、過去最大となる100億円の赤字だった』
・『損益が赤字になることは避けたいです』
・『目先の利益に振り回されると、損失が増大して損益が赤字に成る可能性がある』

「損失」の類語

類語には、差損、赤字、欠損があります。

差損とは、売買の決済で発生する損失のことです。

赤字とは、支出が収入より多いことです。

欠損とは、決算上の損失のことです。

「損失」の対義語

対義語には、利益、利得、収益があります。

利益とは、もうけたもの、ためになることです。

利得とは、利益を得ることです。

増幅器で入力に対する出力の比です。

「損益」の類語

類語には、利害、得失、収支があります。

利害とは、利益と損害のことで、有利なことと不利なことです。

得失とは、得ることと失うことです。

収支とは、金銭の収入と資質のことです。

まとめ

「損失」「損益」について説明しました。

「損失」は、損なって失ったものなのに対し、「損益」は、損失と利益を合わせたものという違いがあります。

「損失」は、何らかのことがらが損なって失われること全般に使われるのに対し、「損益」は、損失と利益を足し合わせたものに使われるという違いがあります。