この記事では、「実業」と「虚業」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「実業」と「虚業」の違い
「実業(じつぎょう)」とは、「農林水産業・製造業・小売業(卸売含む)など、何を生産して何を販売しているのかが分かりやすくて堅実な印象のある事業」を意味しています。
「実業」に比べて「虚業」とは、「物理的な商品(製品)の生産・製造や加工・販売に関わっていなくて、どういった仕組みで利益を上げているのかが分かりにくい堅実ではない印象のある事業」を意味している違いがあります。
また「実業」は「商品のニーズ+顧客の満足(社会的便益)が分かりやすい事業」だが、「虚業」は商品・サービスの必要性が分かりにくく、顧客の満足や社会の役に立っているかが定かではない違いもあります。
「実業」と「虚業」の使い方の違い
「実業」と「虚業」の使い方の大きな違いは、「実業」は「その会社・経営者が行っている事業を肯定的に評価する場合」に使われるが、「虚業」は「その会社・経営者がしている事業を否定的に評価する時」に使われる違いにあります。
「虚業」という言葉を、その対象になっている企業およびビジネスを賞賛したり評価したりする場合に使うことはないのです。
また「実業」は「お客さんあるいは社会全体のプラス(利便性・豊かさ・満足度の向上)になる仕事をしているニュアンス」で使われます。
しかし「虚業」は、「お客さんや世の中のプラスになる要素がなくて、ただその経営者が儲けるためだけの怪しげな仕組み・サービスを考えてやっている仕事のニュアンス(別にないならないで誰も困らない仕事のニュアンス)」で使われる点も異なっています。
「実業」と「虚業」の英語表記の違い
「実業」を、英語で表現すると以下になります。
“business”……商品・サービスを販売したり顧客・取引先と契約したりして利益を上げる商業的なビジネス。
実業。
“industry”……広義の工業・製造業に分類されるモノをつくる仕事を包摂する産業。
実業。
「虚業」を、英語を用いて表記すると以下になります。
“risky business”……リスクを伴うギャンブル的要素のある不確実なビジネス。
虚業。
“money geme”……商品販売の実態がなく、市場でお金を増やして利益を得ることだけが目的のマネーゲーム。
虚業。
「実業」の意味
「実業(じつぎょう)」の言葉は、「農林水産業・工業・商業に分類される、実際に商品になるものやその原材料を生産したり、生産されたものを加工・仕入れ・販売したりする堅実なイメージがある仕事」を示しています。
「実業」には、「世の中に必要とされている商品・サービスの供給に関係していて、顧客(人々)の主観的な満足度や生活の豊かさを向上させている事業」といったニュアンスがあります。
「実業」というのは、「何を生産して何を販売しているのかが明らかであり、お金儲けだけが目的ではなく世の中・人々の役に立つことを目的にして行われている仕事」のことなのです。
「実業」の使い方
「実業」は、「どんな商品・サービスを扱っていてまっとうな仕組みで利益を上げていることが分かりやすい、社会貢献している堅実なイメージを与える事業」を総称して使います。
「実業」は具体的な用法では、「農業・漁業・林業の第一次産業、工業・製造業の第二次産業、卸売業・小売業・サービス業の第三次産業に当てはまる形態の事業・仕事」を指示して使用することができます。
「実業」を使った例文
・『農家の人たちが毎日一生懸命に作っている野菜・果物を、できるだけ高い価格で売ることができる実業に携わりたいと考えています。』
・『現代では実業は稼げない仕事のように見られがちだが、社会やお客さんが本当に欲しいと思っているものを作りたいのです。』
・『実業と呼べる仕事をしていることに、私はプライドを持っています。』
・『金融業は実業に分類されないこともありますが、適切な融資は社会利益に適っていると思います。』
・『昔気質の人たちは、いくらお金を儲けても実業でないとなかなか評価してくれないのです。』
「実業」の類語
「実業」の類語には、以下の言葉があります。
・『産業(さんぎょう)』……農業・工業・製造業・小売業などをはじめ、社会や人々にとって需要および価値があるものを生産することに関係している仕事。
・『事業(じぎょう)』……営利・社会福祉など何らかの目的を持って、会社や組織体を経営すること。
「実業」の対義語
「実業」の対義語には、以下の言葉があります。
・『虚業(きょぎょう)』……ビジネスとしての実態や扱っている商品が明確ではなく、何をやって稼いでいるのかが分かりにくい事業。利益至上主義で、世の中の役に立っていない事業。
・『マネーゲーム』……実際的なビジネスをすることなく、投機的市場でお金を増やすことだけを目的として行っている取引・やり取り。
「虚業」の意味
「虚業(きょぎょう)」の経済用語は、「ビジネスとしての実態・仕組みが分かりにくくて、投機的要素のある事業」を意味しています。
「虚業」というのは、「どんな商品・サービスを扱っているのかが明らかではなくて、お金儲けだけを目的にしている怪しげなイメージ(社会・顧客の実際的な利益・ニーズにつながらないイメージ)を持たれやすい仕事」を示唆しているのです。
「虚業」の使い方
「虚業」の言葉は、「従来からある産業分野(第一次・第二次・第三次の産業)の分類や定義に当てはまらない、どんな商品・サービスを売ってどんな仕組みで稼いでいるのかが把握しにくい事業」を意味して使います。
「虚業」は、「企業やビジネスの実態が分かりにくくて、社会・顧客の利益にもつながらない堅実ではない仕事」といったネガティブなニュアンスで使う使い方が多くなっています。
「虚業」を使った例文
・『IT企業はインターネットが普及したばかりの時代には虚業と見なされることも多かったのです。』
・『ビジネスが複雑化した現代では、虚業と実業を区別するための境界線も曖昧になってきています。』
・『新しいビジネスモデルやアイデアが、虚業だとして批判されることは多いのです。』
・『誰からも必要とされていない虚業に全力で取り組む気持ちにはなれません。』
・『お客さんからの感謝や世の中の役に立っている実感がないので、虚業でお金を儲けても虚しいのです。』
「虚業」の類語
「虚業」の類語には、以下の言葉があります。
・『投機(とうき)』……金融市場におけるギャンブル要素のあるハイリスクな投資行為。機会に乗じて稼ごうとするハイリスクな起業・事業。
・『マネーゲーム』……物理的な商品を扱わずに、投機市場や企業間のM&Aなどでお金を動かすだけで稼ごうとする仕事。
「虚業」の対義語
「虚業」の対義語には、以下の言葉があります。
・『実業(じつぎょう)』……ビジネスの実態や商品の実在を把握しやすい堅実なイメージが根付いている事業。
農林水産業や製造業、小売業などの常にある社会的ニーズ(人々の需要)に答えるための仕事。
まとめ
「実業」と「虚業」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「実業」と「虚業」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。