この記事では、「秘密」と「内緒」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「秘密」と「内緒」の違い
「秘密」【ひみつ】と「内緒」【ないしょ】は、どちらも「知られないよう隠す」という意味を持ちます。
ただし、使い方は少し異なります。
「秘密」は文語表現で、公的な場合、話し言葉と幅広く使えます。
一方「内緒」は口語表現のため、話し言葉にしか使えません。
「内緒」の意味は「知られないよう隠すこと」のひと通りだけだけですが、「秘密」は「未知のもの」「奥の手」の例えとして使われることもあります。
「秘密」と「内緒」の使い方の違い
「秘密」は文語表現であり、ビジネスシーンや公的な文書などで用いることができます。
また、日常会話で使っても堅苦しくなることはありません。
「内緒」は口語表現なので、話し言葉のみで使います。
「秘密」よりもくだけた印象があり、子どもと話す時は「秘密」を「内緒」に言い換えると、やさしい口調になります。
また「秘密」は「未知のもの」「奥の手」という意味に使えます。
「太古の秘密」「美貌の秘密」など、隠されているために神秘的な雰囲気がするもの、特別な感じがするものを「秘密」と称することが多いです。
こちらは「内緒」には言い換えても意味は通じません。
「秘密」と「内緒」の英語表記の違い
「秘密」は主に“secret”“arcanum”、「内緒」は“privateness”と英語表記されます。
“secret”と“privateness”は共に、人に見られないよう隠すことを意味し「秘密」「内緒」のどちらの意味でも使えます。
また“secret”と“privateness”は、「奥義」【おうぎ】や「神秘」という意味があり、あまり表ざたにされず、どこか神秘的な雰囲気がする「秘密」にも使われます。
「秘密」の意味
「秘密」とは、人に知られてはいけない事柄、または人に知られないようにすることです。
「秘」と「密」はどちらも隠すこと、人に知られないようにすることを意味する漢字です。
この2つの漢字が組み合わされた「秘密」は、ただ隠すだけでなく、それを人に知られてはいけない状況を表しています。
また、隠された状態でいまだ発見されていない事実、奥の手なども「秘密」と表現します。
「秘密」の使い方
「秘密」は、隠すべきこと、人に教えたり見せたりしたくない事柄に対して使われます。
「秘密」の対象になるものは、人に知られると当事者が困るもの、または損害を被る可能性があるものが多いです。
隠す努力をしなければならない、第三者が他人に教えないよう約束や取り決めをする、といった状況で使われる言葉です。
秘密の対象にされる事柄は、「誰かに知られると恥ずかしい」といった個人的な事情から、国家レベルで保持しなければならない情報までさまざまです。
特別な情報、大切にしなければならないものも多く、法律、契約上の義務でも「秘密」に関する取り決めを扱ったものがみられます。
また、まだ発見されていないもの、いわゆる「奥の手」と呼ばれる特別な技術も「秘密」と称されます。
「秘密」を使った例文
・『このことは君と私だけの秘密にしてくれないか』
・『それは企業秘密なのでお見せできません』
・『書面上で秘密保持契約を締結する』
・『成功の秘密を教えてくれないか』
・『宇宙にはまだ発見されていない秘密が隠されている』
「秘密」の類語
「秘密」の類語には「内密」「秘匿」「機密」などがあります。
「内密」【ないみつ】表ざたにしないこと
「秘匿」【ひとく】隠して見せないようにすること
「機密」【きみつ】重要な事柄を知られないよう隠すこと
「内緒」【ないしょ】表に出さないこと
「内密」「内緒」は「秘密」とほぼ同じニュアンスを持ちますが、口語表現なので公的な場合には用いません。
「内密」は「秘密」に比べ硬い印象、「内緒」は柔らかい印象を与えます。
見られないようしっかり隠す場合には「秘匿」を、政治・軍事上の重要な情報を隠す時は「機密」を使うのが一般的です。
また「奥の手」という意味で使うならば「秘訣」【ひけつ】や「奥義」【おうぎ】と言い換えることもできます。
「秘密」の対義語
「秘密」の対義語は「公然」【こうぜん】です。
「公然」とは、隠さず人に広く知れわたるようにすることです。
知られないよう隠す「秘密」とは正反対のふるまいといえます。
「内緒」の意味
「内緒」とは、内側に隠しておくこと、人に教えたり見せたりしないことです。
「内証」【ないしょう】という言葉が転じたもので「内緒」「内証」のどちらを使っても問題ありません。
「内証」はそもそも仏教用語で、サンスクリット語の「心の中にある悟り」を意味しています。
徐々に「(心の)内側に秘めていること」として使われるようになり、呼び方も「ないしょう」から「ないしょ」に変わりました。
「内緒」という漢字は当て字です。
「内緒」の使い方
「内緒」は、人に知られないようにすること、何か隠し事があることを言い表す時に使います。
口語表現のため公的な場合には用いません。
日常会話で、特に相手が子どもの場合に使うことが多い言葉です。
漢字で表記する際は「内証」を選ぶこともできますが、「内証」を使うと「家計の事情」という意味になる場合があります。
「内緒」を使った例文
・『内緒にしておいたのにばれてしまった』
・『こそこそと内緒ばなしをする』
・『親に内緒でオーディションを受けに行った』
・『内緒ごとの多い人だな』
・『誰にも言ってはいけないよ、絶対に内緒だよ』
「内緒」の類語
「内緒」の類語には「内内」「内密」「隠し事」などがあります。
「内内」【ないない】【うちうち】表に出さず、ひそかに 「内密」【ないみつ】表ざたにしないこと 「秘密」【ひみつ】知られないように隠すこと 「内緒」とニュアンスが近いのは「秘密」です。
「内内」「内密」は「内緒」と同じように表に出さないことを意味し、「内内」は目立たないようひそかに事を進めること、「内密」は知られないよう隠すことの口語表現として使われています。
「内緒」の対義語
「内緒」の対義語は「公然」【こうぜん】です。
「秘密」の対義語でもある「公然」は、表に出して広く知れわたるようにすることを意味します。
まとめ
「秘密」と「内緒」は、意味が似ていて混同しやすい言葉ですが、使い方は異なります。
適切な選択をするとより深みのある表現ができます。
「秘密」と「内緒」の意味を知って上手に使い分けをしていきましょう。