「撤退」と「退散」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「撤退」と「退散」の違い生活・教育

この記事では、「撤退」「退散」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「撤退」と「退散」の違い

「撤退」とは、軍隊などが陣地や拠点を取り払って、他の場所に移ることです。

「退散」とは、その場所から去って散らばることです。

どちらの言葉にも、立ち去るという意味が含まれていますが、同じことではありません。

「撤退」は軍隊などについて使うことが多い言葉です。

軍隊は、陣地を作り、その場所で戦いに備えます。

ここには、装備を配置したり、軍隊が控えていたりします。

その場所から立ち去ることが「撤退」です。

現在は軍隊のことだけでなく、該当する地域から大規模に退く意味でも使われており、企業が立ち去ることも意味しています。

「退散」は、ちる、ちらばるという意味を持つ漢字である「散」という漢字が使われているように、バラバラに去ることを意味しています。

逃げ去るという意味も含まれています。

「撤退」の場合は、用が済んだから去るということもあり、逃げ去っているとは限りません。


「撤退」と「退散」の使い方の違い

ある地域から立ち去ることについて「撤退」を使用します。

軍隊や企業について使うことが多いです。

逃げ去ることについて「退散」を使用します。

おどけた意味合いを含んで使うことがあります。

たとえば、軍隊が地域を平定するために、ある地域に出かけていたとします。

その地域で目的を達成することができ、もうそこにいる意味がなくなりました。

そして、その場所から去ることにした場合、それは「撤退」になります。

敵に負けて逃げているのではありません。

逃げているときは「退散」を使用します。


「撤退」と「退散」の英語表記の違い

「撤退」は英語で“ evacuation”“withdrawal”と表現をします。

「退散」は英語で、散る意味では“disperse”、逃げる意味では“run away”と表現をします。

「撤退」の意味

軍隊などが、陣地や拠点から立ち去ることです。

軍隊が敵陣に出かけたとき、自分たちの領土ではないため、自分たちが過ごすための場所がありません。

そこで、陣地というものをつくります。

ここには、テント、火器などの武器などが設置されます。

陣地が必要とされるのは、ある地域でやるべきことがあるときです。

軍隊なら、敵と戦う、地域を治めるなどがあります。

こういった用事が済んだ後にも敵陣に居ても、危険なだけです。

いつまでもその場所にいる必要はありません。

そこで、その場所から立ち去ります。

そのことが「撤退」です。

軍隊以外のことでも、企業などがある地域から去る意味もあります。

現代では、企業が海外に進出することが珍しくありません。

企業が進出した先は、拠点ということができます。

ある場所を拠点にして、製品の生産をする、販売をするなどの活動をします。

しかし、世界情勢が悪い、売り上げがいまひとつ、他のことをやりたいなど、さまざまな理由によって、進出した先から去ることがあります。

そのことが「撤退」です。

売上がいまひとつなどは悪いことに感じますが、「撤退」は必ずしも悪いことを意味しているのではありません。

「撤退」の使い方

ある地域から立ち去ることについて使用をします。

大規模に去る意味を含む言葉です。

森に一人でテントを張っていたとします。

テントで過ごすことも飽きてきたので、引き上げることにしました。

このことについては「撤退」とはいわないことが一般的です。

一人でテントを張っているのは、規模が小さいです。

規模が大きいとは、軍隊や企業のようなものをいいます。

引き払ってそこからいなくなる意味であり、なぜ引き払うのかという意味は含まれていません。

そのため、悪いことがあって引き払っていなくなることも、悪いことはないけれど引き払ってい亡くなることにも使用できます。

「撤退」を使った例文

・『撤退を視野に入れる』
・『撤退するようにいわれている』
・『撤退することを決めた』
・『撤退を明らかにした』

「撤退」の類語

「退陣」「撤兵」が類語です。

「退陣」は、軍地を退くこと、ある地位から退くことです。

「撤兵」には、軍隊が派遣先から引き上げることという意味があります。

「撤退」の対義語

「進出」が対義語です。

進み出る、進み出て領域を広げるという意味があります。

「退散」の意味

「退散」とは、立ち去ってちらばること、その場からいなくなることです。

好ましくない状態を避けるために去るという意味を含みます。

複数人が楽しく屋外で活動をしていました。

そこに、嫌な人がやってきたとします。

嫌な人がやってくると、嫌な目にあうかもしれません。

好ましくない状態ということができます。

そこで、その場所から去ることにしました。

こういったことが「退散」です。

おどけた意味合いを含むこともあり、「悪霊退散」のようないい方をすることもあります。

悪霊が逃げていく意味合いです。

「退散」には、好ましい状態を避けるという意味は含まれていません。

「退散」の使い方

立ち去ってちらばること、逃げ去ることについて使用をします。

好ましくない状態になったときには、そこから去ることが多いことでしょう。

いつまでも同じ場所にいては、好ましくない影響を受ける可能性があります。

そこで、その場から立ち去ります。

そのような状態を指して使用する言葉です。

自分たちが逃げ去ることにも、他のものが逃げ去ることにも使える言葉です。

「退散」を使った例文

・『さっさと退散しよう』
・『悪霊も退散するに違いない』
・『ここから退散するぞ』
・『そそくさと退散していった』

「退散」の類語

「退去」「退避」「避難」が類語です。

「退去」には、本来いるべきでないところから立ち去るという意味があります。

「退避」「避難」は、危険を避けるためにその場所から立ち去ることです。

「退散」の対義語

「とどまる」が対義語です。

同じところにいるという意味があります。

まとめ

去るという点では同じ意味を持っている言葉ですが、どのように去るのか、なぜ去るのかといった点で意味が異なる言葉です。