この記事では、「返済」と「返却」の違いを分かりやすく説明していきます。
「返済」と「返却」の違い
「返済」と「返却」の違いについて紹介します。
「返済」と「返却」の使い方の違い
「返済」は、「借りたお金を相手に返すこと」に使われます。
金銭的な貸し借りがある関係で、借りた側が貸した側にお金を全額、または一部返すことを言います。
「返却」は、「借りたり預かったりしたものを相手に返すこと」に使われます。
金銭以外で、形があるものの貸し借りがある関係で、借りた側が貸した側に全て返すことを言います。
「返済」と「返却」の英語表記の違い
「返済」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「pay back」で、「払い戻す」=「返金」というニュアンスです。
“I have to pay back my loan.”
(私は借金を返済しなければならない)
2つ目は「repay」で、「払い返す」「返金する」という意味です。
“My father will finish to repay the loan on our house by the end of this year.”
(私の父は、住宅ローンの返済を今年中に終了させるそうだ)
「返却」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「return」で、「戻る」「帰る」「返却する」という意味で、「リターン」と日本語にもなっています。
“Please return following books to library as soon as possible.”
(以下の本をできる限り早く図書館に返却して下さい)
2つ目は「take back」で、「取り戻す」=「(相手が自分に)返却する」という意味、主体が貸した側にある表現です。
“Did you take back the DVD?”
(DVDを返却しましたか?)
「返済」の意味
「返済」は「へんさい」と読みます。
意味は、「人から借りた金品を相手に返すこと」です。
基本的に、金銭の貸し借りがある関係で、借りた側が貸した側にお金を返すことを言います。
「返」は「かえす」とも読み、「元に戻すこと」という意味、「済」は「すむ・すませる」という意味、「返済」で「元に戻してすませること」になります。
借金を「返済」する場合、現在の借入金額を全て払い返すことだけではなく、利息分など一部を払い返すことにも使われます。
「返済」の使い方
「返済」は「人から借りた金銭を相手に返すこと」に使われます。
「返済する・した」と動詞を伴って使われたり、「返済して」と副詞として使われたりします。
また、「返済計画」「返済能力」など、「返済」をするに当たり必要な言葉を組み合わせて複合語としてつかわれることもあります。
「返済」は、基本的に借りたお金を返すことに対して使われます。
何らかの事情でお金を人から借りた人が、貸し主に対してお金を返して自分の義務を終わらせることを表す表現です。
「返済」を使った例文
・『彼は住宅ローンの返済で毎月生活が苦しいと言っている』
・『彼女は結婚詐欺に遭い、数百万円もの借金を背負ったが、無事返済したらしい』
・『カードローンを申し込む際にはしっかりとした返済計画が必要だ』
・『借金は雪だるま式に増えるので、毎月利息分を返済するのがやっとだ』
・『借金の返済に悩んだ末に、弁護士に相談することにした』
「返済」の類語
・「返金(へんきん)」
「商品を返品したなどで、一度支払われたお金を相手に戻すこと」という意味です。
「クーリングオフを申請したのに返金に応じてくれない」などと使われます。
・「精算(せいさん)」
「金額を細かく計算して、過不足がある場合に正すこと」という意味です。
「専用ソフトを導入してから旅費の精算がグンと楽になった」などと使われます。
「返済」の対義語
・「借入れ(かりいれ)」
「資金や生活費など、不足しているお金を他人から借りること」という意味です。
「銀行に借り入れを申し込んだら審査で落ちてしまった」などと使われます。
「返却」の意味
「返却」は「へんきゃく」と読みます。
意味は、「借りたものや預かったものなどを、持ち主に戻すこと」です。
人のものを使いたくて借りたり、一時的に預かったりしたものを、持ち主の元に戻すことを言います。
「却」は「しりぞける」「かえす」という意味、「返却」は「元に戻し返すこと」になります。
直接相手に手渡しすることもあれば、郵送や宅配便など人に頼んで送り返すことも含まれています。
ただ返すだけではなく、「返却」するに当たり、何らかの手続きが必要なこともあります。
「返却」の使い方
「返却」は、「借りたものや一時的に預かったものなどを、持ち主に戻すこと」に使われます。
「返却する・した」「返却される・された」と使われたり、「返却して」と副詞として使われたりします。
「返却」は、金銭ではなく形のある物の貸し借り対して使われる言葉で、洋服やアクセサリー、家具や雑貨など、幅広いものが対象になります。
自動販売機の「返却ボタン」は、単に「入れたお金を戻す」という意味で、金銭の貸し借りには当たりません。
「返却」を使った例文
・『図書館から借りた本の返却期限がとっくに過ぎいていた』
・『レンタルDVDを返却しないでいたら、督促状が届いた』
・『使い終わりましたペンはこちらにご返却下さい』
・『ゲームソフトを借りていたが、相手が引越してしまい返却できなくなった』
・『返却ボタンをおしたがお金が戻ってこなかった』
「返却」の類語
・「返還(へんかん)」
「土地や国家など、規模が大きなものに対して、もとの所有者に所有権をもどすこと」という意味です。
「沖縄が返還されてからもうすぐ50年が断つ」などと使われます。
・「返上(へんじょう)」
「上の立場の人から貰ったものを返すこと」という意味です。
「仕事が忙しくなり休日返上で働いた」などと使われます。
「返却」の対義語
・「借用(しゃくよう)」
「あるものを使う目的で借りること」という意味です。
「調べ物をしたくて図書館から資料を借用した」などと使われます。
まとめ
今回は「返済」と「返却」について紹介しました。
「返済」は「お金を相手に返すこと」、「返却」は「ものを相手に返すこと」と覚えておきましょう。