この記事では、「希望」と「志望」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「希望」と「志望」の違い
「希望」とは、ある事柄の実現をのぞみ願うこと、将来に対する期待のことです。
「志望」とは、自分はこうなりたい、こうしたいとのぞむことです。
ある事柄の実現をのぞみ願うことは、こうなりたい、こうしたいという思いの実現をのぞみ願うことということができます。
その点では「希望」と「志望」は意味が似ています。
しかし、意味が同じなのではありません。
「希望」には、将来に対する期待、明るい見通しという意味もありますが、この意味は「志望」にはありません。
「希望」と「志望」の使い方の違い
「希望」は、将来への明るい見通しや、実現をのぞみ願うことに使用をします。
「新薬が希望をもたらしてくれた」「入社を希望する」のような使い方です。
「志望」は、自分はこうなりたい、こうしたいのぞむことに使用をします。
「編集者志望の青年」のような使い方をします。
「希望」は自分以外のものがこうなって欲しいと願うことに使用できますが、「志望」は自分がこうなりたいと願うことに使用する点が違います。
また、「希望」には明るい見通しという意味があり、「復興の希望の光」のような使い方ができますが、「志望」には明るい見通しの意味はないので、「復興を志望する」のような使い方はしません。
「希望」と「志望」の英語表記の違い
「希望」は英語で“hope”や“wish”と表現をします。
「志望」は英語で“wish”や“desire”や“ambition”と表現をします。
「希望」の意味
「希望」の主な意味は2つあります。
1つめは、ある事柄の実現をのぞみ願うことです。
A大学に入りたいと考えている人がいました。
A大学に入りたいというのは、のぞみといえます。
のぞみが叶って欲しいと願っていることなので、これは「希望」といえます。
もう一つの意味は、将来への期待、明るい見通しのことです。
真面目に働いていれば、いつか出世できるだろうと考えている人がいました。
いつか出世できるだろうとは、将来こうなるであろうというのぞみであり、期待といえます。
この人は「希望」を持っているといえるでしょう。
これは、実現するだろうという思いであり、実現して欲しいという思いとは違います。
「希望」の使い方
ある事柄の実現をのぞみ願う意味では、「希望を聞き入れる」「A大学入学を希望する」のような使い方をします。
「A大学入学を希望する」のような使い方は、自分がこうなりたいと実現をのぞむことですが、「希望を聞き入れる」とは自分以外の人がかかわっていることになります。
つまり、自分以外の物事にも「希望」という言葉は使えるということです。
将来への期待、明るい見通しの意味では、「希望を持ち続ける」のような使い方をします。
「期待」には、あることが実現するだろうと待ち望むことの意味があります。
「景気が下がることを期待する」のように望ましくないと思われることには使用せず、「景気の回復を期待する」のように明るい事柄に使用をします。
つまり、「希望」も望ましくないことに使用するのではなく、明るい事柄に使用をするのです。
「希望」を使った例文
・『希望にあふれている』
・『父の仕事を引き継ぐことを希望する』
・『希望の火が灯された』
・『昔販売されたお菓子の復活を希望する』
「希望」の類語
「望み」が類語です。
そうなればいい、そうしたいう願いのことです。
「希望」の対義語
「絶望」が対義語です。
希望を失うことという意味があります。
「志望」の意味
「志望」とは、自分はこうしたい、こうなりたいとのぞむことです。
将来は作家になりたいと考えている人がいました。
このことは、自分はこうなりたいのぞんでいることといえます。
そのため、これは「作家を志望する」といいます。
「志望」の使い方
「志望」は、自分はこうなりたい、こうしたいとのぞむことに使用をします。
自分のことに関して使用する言葉で、他人のことには使用しません。
自分が作家になりたい人が「作家を志望する」とはいいますが、自分以外の人、たとえば子どもが作家になって欲しいことを「子どもが作家になることを志望する」とはいいません。
「志望」を使った例文
・『俳優志望の青年』
・『第一志望の学校に合格できた』
・『看護師を志望して勉強に励む』
・『プロ志望の院生たちとともに学ぶ』
「志望」の類語
「望む」が類語です。
物事がこうあって欲しい、自分はこうしたい、こうなりたいと願うことです。
「志望」の対義語
「絶望」が対義語です。
まとめ
どちらの言葉にも、こうなって欲しいと願う意味が含まれていますが、「希望」は自分以外の物事のことを指す場合があり、「志望」は自分がこうなりたい、こうしたいと願うことにだけ使用をし、ニュアンスや使い方が違います。