この記事では、「復帰」と「復職」の違いを分かりやすく説明していきます。
「復帰」と「復職」の違い
「復帰」と「復職」の違いについて紹介します。
「復帰」と「復職」の使い方の違い
「復帰」は、「人や物などが、元の位置や状態に戻ること」に使われます。
一度その場所を離れたり、違う状態になった人や物が、元に戻ることを言います。
「復職」は、「一度辞めた職に再び就くこと」「休職していた人が部署に戻ること」に使われます。
何らかの事情で離れていた仕事に再び戻ることを言います。
「復帰」と「復職」の英語表記の違い
「復帰」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「return」で、「回復する」「戻る」「復帰する」という意味があり、「リターン」と日本語にもなっています。
“She returned to the previous team.”
(彼女は以前所属していたチームに復帰した)
2つ目は「recover」で、「回復する」「復帰する」という意味です。
こちらは主に障害や病気などから元に戻ることに使われます。
“Please turn on the circuit breaker after the recovery of the main power supply.”
(主電源が復帰した後にブレーカーを入れて下さい)
「復職」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「reinstate」で、「使えるようにする」「復権する」「復職する」という意味で、名詞形は「reinstatement」になります。
“She was reinstated as a secretary.”
(彼女は秘書として復職した)
2つ目は「come back to work」で、仕事に「復活する」「帰る」「戻る」という意味です.
“We are waiting for you coming back to work.”
(私たちはあなたが復職するのを待っています)
因みに、「return to work」も使えます。
「復帰」の意味
「復帰」は「ふっき」と読みます。
意味は「人や物が元の位置や状態などに戻ること」です。
一度その位置から離れたり、違った状態になった人や物が、元に戻ることを言います。
少し離れる、ちょっと変わるというのではなく、完全に離れてしまったり、全く違った状態になったものが元に戻ることを言います。
「復」は「元に戻る」という意味、「帰」は「かえる」という意味、「復帰」で「元に戻る、元に帰る」という同じ意味を重ねた言葉になります。
「復帰」の使い方
「復帰」は、「違う位置や状態になった人や物が、元に戻ること」に使われます。
「復帰する・した」「復帰を果たす・果たした」と使われたり、「復帰して」と副詞として使われたりします。
仕事に関しては、辞令により異動や赴任した人が、元の職場に戻って来ることです。
スポーツ選手に関しては、ケガなどで休みを余儀なくされ、克服した後練習して再度試合に出場することです。
また、賃貸物件を退去する時に元の状態に戻すことを「原状復帰」とも言います。
「復帰」を使った例文
・『彼は海外赴任していたが、今度の4月から本社に復帰するそうだ』
・『一度引退した野球選手が現役復帰を宣言して話題になった』
・『早くケガを直してチームに復帰したい』
・『修繕工事はあくまで現状復帰させるもので、改修工事とは違うらしい』
・『PCがフリーズしてしまったが、画面を何としてでも復帰させたい』
「復帰」の類語
・「舞い戻る(まいもどる)」
「一度去ったものが再び元の場所へ戻ってくること」という意味です。
「舞」は本来「まわる動作」であり、「回って戻って来ること」が転じた言葉です。
「彼はついに大阪支店から東京本社に舞い戻って来た」などと使われます。
・「復活(ふっかつ)」
「死んだものが生き返ること」から転じて「一度廃止したものを再び元の状態に戻すこと」「なくなったものが再びもとの状態に戻ること」という意味です。
「休日にぐっすり眠ったので、気力も体力もすっかり復活した」などと使われます。
「復帰」の対義語
・「離脱(りだつ)」「ある状態から完全に抜け出すこと」「組織などから去ること」という意味です。
「社内の女子グループを離脱してすっきりした」などと使われます。
「復職」の意味
「復職」は「ふくしょく」と読み、以下の2つの意味があります。
1つ目の意味は「退職などで一度離れた職務に再び戻ること」で、その仕事を辞めた人が、同じ仕事に戻ることを言います。
こちらの場合は、同じ会社や部署とは限らず、再就職することも含みます。
2つ目は「休職していた人が元の職に戻ること」で、病気やケガ、出産、育児、介護など何らかの事情があって働けなくなった人が、会社に申請して長期休暇を取り、その後職場に戻ることを言います。
こちらの場合は職務や部署が変わることはありますが、同じ会社に戻ることを言います。
上記に共通するのは「仕事を再度始める」という意味です。
「復職」の使い方
「復職」は、「仕事を辞めた人が元に戻ること」「休職していた人が元に戻ること」に使われます。
「復職する・した」と使われたり、「復職して」と副詞として使われたりします。
本来は「元の職場に戻ること」ですが、産休・育休明けの女性や、うつ病で休職していた人は、時短や仕事の負担を軽減する為に、会社が配慮して違う職場に異動することもあります。
「復職」を使った例文
・『彼はうつ病で半年間休職していたが、先週から復職できた』
・『育休明けに時短扱いとして復職させて貰うことにした』
・『生活が厳しく、来月からタクシー運転手として復職することにした』
・『復職する為に幾つかの資格を取得したいと思っている』
・『復職するまでに保育園を見つけなければならないので大変だ』
「復職」の類語
・「職場復帰(しょくばふっき)」
「元の職場から離れた人が戻って来ること」という意味です。
「彼は病気が完治して職場復帰を果たした」などと使われます。
・「休暇明け(きゅうかあけ)」
「長期休暇を取り終えた後に職場に出勤すること」という意味です。
「休暇明けなので勘が鈍っていると思う」などと使われます。
「復職」の対義語
・「休職(きゅうしょく)」
「やむを得ない事情があって、会社に申請して長期休暇を取ること」という意味です。
「彼は親の介護でしばらく休職することになった」などと使われます。
まとめ
今回は「復帰」と「復職」について紹介しました。
「復帰」は「元の状態に戻ること全般」、「復職」は「元の職場に戻ること」と覚えておきましょう。