この記事では、「迅速」と「敏速」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「迅速」と「敏速」の違い
「迅速」とは、物事の進行が非常に速いこと、行動が非常に速いことです。
「敏速」とは、反応や行動が早いことです。
どちらの言葉にも、行動がはやいという意味が含まれていますが、ニュアンスが違います。
「迅速」の場合は「速い」ことで、進む速度や動く速度のことを意味しています。
たとえば、ある事件がおきて、その事件をニュースで伝えたとします。
事件が起きてから1週間も経っているようでは、報道するという行動が速くないので、「迅速」ではありません。
事件が起きてその日のうちに報道されるのは、報道するという物事の進行や行動が速いということができ、「迅速」だということができます。
「敏速」の場合は「早い」ことで、一定の基準を過ぎていないことを意味しています。
一般的な会社員の出社時間が9時だとすると、9時が一定の基準になります。
これよりも前の時間、たとえば7時や8時は早い時間です。
「敏速」は、すぐに、素早くという意味になります。
「迅速」と「敏速」の使い方の違い
物事の進行や行動がはなはだしく速いことについて「迅速」を使用します。
速度のことです。
反応や行動が一定の基準よりもあまり時間が過ぎていないことについて「敏速」を使用します。
素早いことです。
「迅速」と「敏速」の英語表記の違い
「迅速」は英語で“quick”や“swift”と表現をします。
「敏速」は英語で“promptness”や“quickness”と表現をします。
「迅速」の意味
「迅速」とは、物事の進行や行動がはなはだしく速いことです。
「速い」は、物事の進む度合いが大きいことを意味します。
新幹線は最高時速320kmを出すことができます。
在来線の電車は時速30~90kmほどで、これに比べると進む度合いが大きいといえます。
こういったことが「速い」です。
「迅速」は進む速さのことです。
通信販売で商品を購入したとします。
一般的には、商品購入から自宅まで届くのに4日かかるとします。
これが1日や2日で届けば、届くスピードが速い、「迅速」だということができます。
物事が滞ってしまっているようでは「迅速」とはいえません。
たとえば、ある企画で他の企業と提携を結ぶ、資料を提出する、商品を開発するなど行うことで考えてみると、企業との提携に問題が生じた、資料をなかなか準備できないといったことになってしまうと「迅速」ではありません。
すぐに資料を準備した、商品の開発がすぐにできたなどは「迅速」です。
子どもが熱を出したとき、様子を見た方がいいのか、すぐにでも病院に連れて行った方がいいのか、悩む方はいることでしょう。
様子を見るのは「迅速」ではありませんが、異変があったときにすぐに病院に連れて行くのは「迅速」です。
「迅」という漢字には、はやい、すみやかという意味があり、「速」という漢字にも、はやい、すみやかという意味があります。
「迅速」の使い方
物事や行動の進む速度がはなはだしく速いことについて使用をします。
のんびりゆっくりしていることではなく、非常に速いことです。
非常になので、一般的なことよりも程度がはなはだしいことをいいます。
速いとはどれくらいの速度なのか定義はなく、そのときどき、人それぞれで「迅速」だと感じられる速さは異なります。
「迅速」を使った例文
・『迅速な対応に感謝しています』
・『迅速に用意をします』
・『会社が迅速に対応してくれた』
・『迅速に調べることが可能です』
「迅速」の類語
「速い」が類語です。
「迅速」の対義語
「悠長」が対義語です。
動作や態度などが落ち着いていて、ゆっくりのんびりしていることです。
「敏速」の意味
「敏速」とは、行動や反応が素早いことです。
てきぱきとしているさまを意味しています。
「敏速」は「早い」ことで、「早い」とは一定の基準より時間があまり過ぎていないことです。
つまり「敏速」とは、速度のことではなく、時間の経過を指していることになります。
ある問題が発生しました。
その問題が発生した時期からあまり時間をおかずに対応することは、「敏速」に対応しているといえます。
他の人が自分の目の前で鉛筆を落下させます。
その鉛筆を自分は落とさずにつかまなければなりません。
鉛筆が落下してからあまり時間をおかずに体が反応し、鉛筆をつかみ取ることができれば、「敏速」な反応だといえます。
もし鉛筆と落としてしまったら、体が素早く反応していないので「敏速」ではありません。
「敏速」は頭の働きのはやさも意味しています。
仕事が「敏速」なのは、行動がはやいということもできますが、頭の回転がはやいということもできます。
「敏」という漢字には、はやい、さといという意味があります。
「敏速」の使い方
一定の基準よりもあまり時間が経っていないことについて使用をします。
特に、反応、行動、頭の働きについていいます。
しゃべり方がはやいと、同じことを話すにも、のんびりと話しているよりも時間がかからずに話し終わりますが、このことは「敏速」とはいいません。
早口言葉のことを「敏速」とはいわないことが一般的です。
また、走る速度の程度が大きいことにも「敏速」は使用しません。
100mを10秒で走るのは、速度は速いですが、「敏速」とはいいません。
運動神経のよさについては、あまり使わない言葉です。
「敏速」を使った例文
・『敏速に修復をする』
・『敏速に行動をしてください』
・『敏速に非難をした』
・『敏速な動きをみせてくれた』
「敏速」の類語
「敏捷」や「敏活」が類語です。
「敏捷」は動作が素早いことで、運動神経や反射神経の働きがはやいことをいいます。
「敏活」は頭の働きや行動が素早いことです。
てきぱきしているようなことをいいます。
「敏速」の対義語
「悠長」「のんびり」が対義語です。
「のんびり」は、ゆったりしてくつろいでいるさまという意味があります。
まとめ
はやいという意味を持つ言葉ですが、「迅速」は速いこと、「敏速」は早いことで、意味が違います。