この記事では、「身近」と「手近」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「身近」と「手近」の違い
「身近」には、2つの意味があります。
1つめは、自分の身のすぐそばのこと、自分の周辺のことです。
もう一つは、自分と深いかかわり合いがあることです。
「手近」にも、2つの意味があります。
1つめは自分の手が届くほどすぐそばのことです。
もう一つは、ありふれていて、わかりやすいことです。
どちらの言葉にも、自分の近くという意味が含まれていますが、どれくらい近くなのかという点で意味が違います。
「手近」は、自分の手の届く範囲くらいの近さです。
日本人の腕の長さの平均は、男性が74cmほど、女性が67cmほどです。
これくらい近い範囲が「手近」になります。
また、ありふれているという意味もあります。
「身近」は「手近」よりももう少し範囲が広がり、手が届く範囲よりもやや遠くなりますが、自分の体の近くで、自分自身が働きかけることができる範囲をいいます。
また、日常深く慣れ親しんでいる意味もあります。
どちらの言葉にも、飛行機などを使うほど遠くという意味は含まれていません。
「身近」と「手近」の使い方の違い
自分の周辺のこと、自分が働きかけることができる範囲のことを指して「身近」を使用します。
自分とかかわりがあること、なじみがあることにも使用します。
自分の手が届く範囲のことを指して「手近」を使用します。
自分の周辺のことでわかりやすいという意味でも使用します。
「身近」と「手近」の英語表記の違い
「身近」は英語で“near”や“close”と表現をします。
「手近」は英語で、手が届く意味では“reach”や“close”と表現をし、日常的なの意味では“familiar”と表現をします。
「身近」の意味
「身近」には、2つの意味があります。
1つめは、自分の体の近くのこと、自分のいる場所の周辺のことです。
家には本棚があります。
本棚から離れた部屋、たとえばトイレ、お風呂場などに自分自身がいるときには、手の届く範囲ではありませんが、自分のいる場所の周辺ではあります。
このくらい近くのことを「身近」といいます。
家から離れた範囲のことでも、容易に働きかけることができることなら「身近」といいます。
ここに一枚の絵画があったとします。
その絵画は東京の公園を描いたものです。
この公園の近くに住んでいる人なら、描かれている風景は「身近」なものといえます。
絵画には、日本から遠く離れたエチオピアの風景が描かれていました。
エチオピアに頻繁に出かける人は、そう多くはないでしょう。
自分の周辺のことではありません。
これは「身近」とはいわないことです。
もう一つの意味は、自分と深いかかわりがあることです。
日本人が日常的に食べている魚には、アジ、サンマ、カツオ、イワシなどがあります。
これらは一般的なスーパーで購入することができます。
スーパーは自分のいる場所のすぐ近くにあることが珍しくなく、自分がいる場所の周辺でアジやサンマなどの魚を手に入れることができます。
そして、なじみがある魚ということもできます。
普段からかかわりのあることがあり、「身近」な魚です。
深いかかわりがあるとは、珍しいことではないということもできます。
滅多に食べることがないナポレオンフィッシュ、ナマズなどは、深いかかわりがないので「身近」とはいいにくいです。
「身近」の使い方
自分の近くのこと、容易に働きかけることができることについて使用をします。
自分の家の近くは、自分の体の近くなので「身近」だといえます。
飛行機や新幹線を使用して何時間も移動にかかる場所で、しかも自分と深いかかわりがない場所は「身近」ではありません。
「身近」を使った例文
・『身近なことだと感じられる』
・『身近な存在にしてくれた』
・『身近な食材を使った節約レシピ』
・『日本人には身近でも外国人には身近でない』
「身近」の類語
「手近」「身辺」が類語です。
「身辺」には、身の周りという意味があります。
「身近」の対義語
「遠い」が対義語です。
「手近」の意味
「手近」には、2つの意味があります。
1つめは、自分の手が届くほどすぐ近くのことです。
日本人の腕の長さは65cmから75cmくらいで、このくらいの範囲なら自分の手が届きます。
それくらい近いことが「手近」です。
今家にいたとします。
自分が座っている場所のすぐそばには、1冊の本がありました。
手の届く場所です。
この本は「手近」にあるということができます。
家の冷蔵庫には、レタス、トマト、キュウリなどの野菜が入っています。
冷蔵庫の中にあるものは、手が届くほど近くにあるものです。
これらの野菜は「手近」な野菜ということができます。
もう一つの意味は、ありふれていてすぐそばのことに感じられる、ありふれていてわかりやすいことです。
家の近所にゴミ収集場所があります。
このゴミ収集場所では、カラスがゴミをあさることが問題になっていました。
カラスの問題は他の地域でもあることで、珍しいことではありません。
ありふれていることといえます。
この問題は、自分のすぐそばのことだと感じられ「手近」ということができます。
「手近」の使い方
手を伸ばせば届くほど近いことについて使用をします。
実際には手が届かなくても、それくらい近いという意味です。
ありふれていてわかりやすい意味でも使用します。
「手近」を使った例文
・『手近な食材で料理を作る』
・『手近な場所で手に入れることができます』
・『手近なマッサージ店で飛び込みでマッサージをしてもらう』
・『こんなにおいしいのに、手近なもので作れるんです』
「手近」の類語
「身近」が類語です。
「手近」の対義語
「手遠」が対義語です。
手が届くところよりも、ずっと離れていることです。
まとめ
どちらの言葉にも近いという意味が含まれていますが、どれくらい近いのかという点で意味が異なります。
より近いのは「手近」です。
また、「身近」には深いかかわりがある、「手近」にはありふれているという意味も含まれています。