この記事では、「親切」と「親身」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「親切」と「親身」の違い
「親切」とは、相手のことを思って、あれやこれやと手を貸すことです。
「親身」には、2つの意味があります。
1つめは、血縁関係にある人や、結婚などでつながっている人のことです。
もう一つは、身内のようにあれやこれやと気にかけることです。
「親切」の意味と、「親身」の身内のようにあれやこれや気にかけることという意味は似ていますが、ニュアンスはやや異なります。
「親身」の場合は、身内のようにという意味が含まれていますが、「親切」にはこの意味は含まれていません。
自分の子どもには、他人の子どもよりも優しくしてあげる人は少なくないことでしょう。
身内だからこそ、あれこれ気にかけます。
これくらい他人のことも気にかけることが「親身」です。
「親切」はここまででなくても、相手のことを思ってあれこれと手を貸すことです。
また、相手のことを思って、相手の身の上に気を配ってという意味も含まれています。
「親切」と「親身」の使い方の違い
どちらの言葉も人に優しくすることについて使用します。
「親切」の場合は、相手の身の上に気を配って、あれこれ手を貸すことです。
「親身」の場合は、身内のように考えて気にかけることです。
「親切」と「親身」の英語表記の違い
「親切」は英語で“kindness”や“goodwill”と表現をします。
「親身」は英語で、肉親の意味では“blood relation”、肉親のように考えて優しくすることには“kindness”と表現をします。
「親切」の意味
相手の置かれた状況に配慮をして、相手のためにあれこれと手を貸すことです。
歩道橋を渡ろうとしている高齢者がいたとします。
その高齢者は、重たそうな荷物を持っていて、階段を上るのがつらそうです。
それを見たある人が、あの高齢者は階段を上るのが大変に違いない、誰かが荷物を持ってあげれば楽になるだろうと考えました。
そこで、ある人は高齢者の荷物を持ってあげて、一緒に歩道橋を渡りました。
この行為は、相手の身の上を思って、相手のためを思って、何かをしてあげたということができます。
このような行為が「親切」です。
「親切」なことをしてあげたと思っていても、その行為を受けた相手は迷惑だと感じていることもあります。
独身の女性がいて、その人のことをかわいそうに思い、お見合いを勧める近所の人がいたとします。
近所の人からすると、独身の女性のことを思ってやっていることですが、独身の女性は好きで独身でいるので、お見合い相手を勧められても迷惑です。
このように、何かをしている人は「親切」だと思っていても、その行為を受ける人にとっては「親切」ではないことがあります。
「親切」の使い方
相手のことを思って力を貸すことについて使用をします。
単に力を貸すことではなく、相手の状況を考えて、相手を思いやってする行為のことです。
道がわからなかったので、周囲にいた人に道を尋ねました。
尋ねられた人は、道を教えてあげました。
このような行為は、相手のことを思って行っているといえ、「親切」だといえます。
もし、道を尋ねられても知らんぷりしてしまえば、「親切」ではありません。
尋ねられても本当に道がわからず、答えてあげることができない場合は「親切」でないとはいいません。
思いやりのある行為について使用する言葉です。
「親切」を使った例文
・『親切な人がいて助けてくれた』
・『私の周りには親切な人ばかりがいる』
・『親切にされてうれしかった』
・『親切に案内してくれた』
「親切」の類語
「懇切」が類語です。
相手のことを思って、細かなところまで丁寧に対応するという意味があります。
「親切」の対義語
「不親切」が対義語です。
「不」には打消しの意味があります。
「親身」の意味
「親身」には、2つの意味があります。
1つめは、血のつながりのある関係や結婚などによって、近い関係にある人のことです。
もう一つは、父・母・兄弟など、近い血縁関係にある人であるように、細かなところまで気を配ることです。
もしも自分の子どもがいじめにあっていたら、その子の話をよく聞いてあげることでしょう。
親が何かできることがあれば、できる限りのことをしてあげるはずです。
では、他人の子どもが同じような状況であったとき、自分の子どもと同じようにしてあげることができるでしょうか。
自分の子どもほど気を配ってあげるということは、あまりないはずです。
自分の子どもは肉親といいます。
肉親に対するような対応をしていないことは「親身」とはいいません。
他人の子どもが「いじめにあっているんだ」と話しかけてきたとき、「ふーん、そうなんだ」といった対応をすることは「親身」だとはいえないでしょう。
このような態度は、自分の子どもにはとらないはずです。
肉親のようにもっと相手の心に寄り添い、配慮をすることを「親身」といいます。
「親身」の使い方
近しい関係の人の意味よりも、近しい関係の人のように心遣いをすることの意味で使われることが多いです。
「親身」は心遣いのことで、話を聞くなども心遣いになります。
具体的にどのような心遣いが「親身」なのかという定義はなく、心遣いをされている人が「親身」だと感じれば、「親身」ということができます。
「親身」を使った例文
・『親身な対応に感謝している』
・『親身になって接してくれた』
・『親身ではなかった』
・『親身なサポート』
「親身」の類語
「心遣い」「気配り」が類語です。
「心遣い」とは、気を配ることです。
「気配り」には、あれやこれやと心を働かせるという意味があります。
「親身」の対義語
「不親切」「冷たい」が対義語です。
「冷たい」には、心情に心を配れていないという意味があります。
まとめ
他の人にあれやこれやと手を貸すこと、心遣いをすることの意味を持つ言葉ですが、2つの言葉はニュアンスが異なります。
「親切」は配慮が行き届いていること、「親身」は肉親であるかのようにもっと配慮が行き届いていることです。