この記事では、「至福」と「幸福」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「至福」と「幸福」の違い
「至福」とは、これ以上ないというほどの幸せのことです。
「幸福」とは、満ち足りていること、しあわせのことです。
どちらの言葉にも「幸せ」という意味が含まれており、似たような意味を持っていますが、ややニュアンスが違います。
「幸福」は、不平不満がない、つまり不十分なところがない、心が満たされていることです。
精神的または物質的に満たされている状態を意味しています。
「至福」は、この上もない幸せのことです。
「幸福」といってもさまざまな形がありますが、その中でも最上の幸せ、これ以上の幸せはないといった意味を持っています。
たとえば、世界には十分な食料を得られない人たちがいます。
そのような人たちがいる中で、24時間いつでも食料を得られる環境が整っている日本は、幸せな国だといえるでしょう。
食料が十分にあり、物質的に満たされている、不満がない状態といえます。
これは「幸福」なことです。
しかし、この状態を指して「至福」とは言わないことが一般的です。
「至福」は単に満たされている、不満がない状態という意味ではなく、最上の幸せのことを意味しています。
いろいろな食べものがある中でも、大好きな老舗和菓子店の大福を食べられるときが、おいしくて幸せといったようなものです。
「至福」と「幸福」の使い方の違い
これ以上ない幸せについて「至福」を使用します。
何を「至福」と感じるかは人によって異なり、その人自身がこれ以上ない幸せだと感じれば「至福」を使用することができます。
物質的または精神的に満ち足りている状態であることについて「幸福」を使用します。
同じ状況にあっても、それが物質的または精神的に満たされていると感じる人もいれば、満たされていないと感じる人もいます。
その人自身が満たされていると感じれば「幸福」を使用することができます。
「至福」と「幸福」の英語表記の違い
「至福」は英語で“supreme bliss”と表現をします。
“supreme”は最上の、“bliss”は無上の喜びを意味する単語です。
「幸福」は英語で“happiness”と表現をします。
「至福」の意味
「至福」とは、これ以上ない幸せのことです。
「至」という漢字には、このうえもない、きわめてという意味があり、「福」という漢字には、さいわい、しあわせという意味があり、漢字からも「至福」の意味がわかります。
これ以上ないとは、それよりも上の範囲がないという意味です。
つまり、「至福」はそれよりももっとよい幸せはないだろうというほど、幸せな状態、不満がない状態といえます。
何を「至福」と感じるかは人それぞれです。
マッサージを受けているとき、大好きなケーキを食べているとき、猫と遊んでいるとき、お風呂上りにアイスを食べるときなど、人それぞれの「至福」があります。
その人自身がこれ以上ない幸せだと感じれは「至福」といえます。
誰かがあなたの「至福」はこれです、と決められるものではありません。
「至福」の使い方
これ以上のことはないというほどの幸せのことを指して使用します。
これ以上ない幸せだからといって、滅多にないわけではありません。
有名パティシエのケーキを食べるなど、普段できることから「至福」を感じることができます。
人それぞれ「至福」と感じるものは違うので、さまざまな場面で使用することができます。
「至福」を使った例文
・『至福のときを過ごした』
・『こたつに入ってアイスを食べるのが至福のとき』
・『至福の表情をみせてくれた』
・『至福のときについて熱く語る』
「至福」の類語
「幸福」「最上の幸せ」が類語です。
「至福」の対義語
「最悪」が対義語です。
これ以上ない悪い状態という意味があります。
「幸福」の意味
「幸福」とは、物質的または精神的に満たされている状態、不平不満がない状態のことです。
幸せということもできます。
何を「幸福」と感じるかは人によって異なります。
毎日食べるものがあるのは物質的に満たされている状態といえ、食べるものがあることを「幸福」と感じられる人がいる一方、おいしくないものでは「幸福」だと感じられなかったり、毎日食べるものがあるのはあたり前で「幸福」だとは思わない人もいます。
また、今の年収が300万円の人からすると、年収が1000万円になることは「幸福」と感じられるかもしれませんが、今の年収が1000万円の人からすると、今の年収が1000万円であることに「幸福」を感じられないかもしれません。
同じ状況でも、「幸福」と感じる人もいれば、感じない人もいるのです。
どのような状態が物質的または精神的に満たされている状態なのかという明確な定義はなく、その人自身が満たされていると感じられるのであれば「幸福」といえます。
ある人が「幸福」と感じることを、他の人は「幸福」でないとしていても、ある人が「幸福」だと思えば、それは「幸福」だといえます。
「幸福」の使い方
満ち足りている状態、幸せなことについて使用をします。
幸せは本人が感じることで、外から与えられるものではありません。
親からするといい大学に入って、有名な企業に就職することは、子どもにとっての「幸福」だと考え、そのような道に進ませたとします。
しかし、そのような道を子どもに与えたからといって、子どもが「幸福」だと感じるとは限りません。
自身が「幸福」だと感じることができることについて使用する言葉です。
「幸福」を使った例文
・『毎日幸福だと感じています』
・『幸福に過ごしていることを願います』
・『幸福のシンボル』
・『幸福感でいっぱいです』
「幸福」の類語
「幸せ」「福」が類語です。
「幸せ」とは、運がよいこと、不満がないことです。
「福」には、運がよいこと、神さまへの供え物のおさがりという意味があります。
「幸福」の対義語
「不幸」が対義語です。
まとめ
どちらの言葉にも「福」という漢字が使用されており、似たような意味を持っていますが、「至福」は最上の幸せ、「幸福」は満ち足りていることで、ややニュアンスが異なります。