この記事では、「貢献」と「尽力」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「貢献」と「尽力」の違い
「貢献」とは、何かのため、誰かのために、役に立とうとして力を出すことです。
「尽力」とは、何かこうしたいというものがあり、それを現実のものとするために、自分が出せる力の限りを出し切ることです。
どちらの言葉にも、自分が持っている力を出すという意味が含まれていますが、同じ意味の言葉なのではありません。
「尽力」は力を出し切ることですが、「貢献」は力を出し切ることにより、人や社会などの役に立つという意味が含まれています。
ある人が、自分のブランドを立ち上げようとしたとします。
このことに、自分が出せるだけの力を使いました。
これは「尽力」です。
自分のブランドを立ち上げることは、この人自身のためであり、他の人の役に立つことが目的ではありません。
自分のブランドを立ち上げて、そのブランドの収益の一部を募金すれば、募金によって社会に役に立つことができます。
これは「貢献」です。
力を尽くしたことにより、人や社会などの役に立っていれば「貢献」になります。
「貢献」と「尽力」の使い方の違い
力の限り物事にあたるなどをして、何かの物事や誰かにとって有用になることについて「貢献」を使用します。
出せるだけの力を出すことについて「尽力」を使用します。
「貢献」と「尽力」の英語表記の違い
「貢献」は英語で“contribution”と表現をします。
「尽力」は英語で“effort”や“endeavor”と表現をします。
「貢献」の意味
自分の力をある物事や社会に役立てることです。
「貢献」が意味する力とは、経済力、体力、知力などを指しています。
物質的なことも、非物質的なことも、ある物事や社会に役立てることができます。
ゴミ拾いのことで考えてみます。
道にたくさんのゴミが落ちていました。
ゴミをそのままにしていると、下水道に入り込み、海に流れて海洋生物に悪影響を与えるかもしれません。
また、ゴミが道に落ちていると景観がよくありません。
ある人が道に落ちているゴミを拾い、地域のゴミ処理ルールに従ってゴミを捨てました。
ゴミを拾うという行為は、自分の持っている力を使っていることになります。
そして、力を使ったことにより、道がきれいになる、野生動物への悪影響を抑えられるなど、何かの役に立っています。
この人は社会に「貢献」したといえるでしょう。
メガネのことで考えてみます。
あるメガネはとても重たく、かけていると耳が痛くなってしまいました。
そんなとき、軽い素材が登場をし、この素材はメガネに使えることがわかりました。
この素材をメガネに実際使用したところ、軽くて負担が少なく、耳が痛くなることがありませんでした。
これは、ある素材が軽量化に「貢献」したということができます。
人に対してだけでなくある物事についても、有用であれば「貢献」です。
「貢献」の使い方
自分の力がある物事や社会にとって有用なことについて使用をします。
特別大きなことでなくても、役に立っていれば使える言葉です。
コンビニの募金箱にお金を入れる、道に落ちているゴミを拾う、環境に配慮した製品やフェアトレード商品を購入するなども、それにあたります。
どのような行為であっても、物事や社会に有用になるようにと力を尽くすことをいいます。
「貢献」を使った例文
・『誰かに貢献することは難しくない』
・『未来に貢献する』
・『それも立派に貢献しています』
・『身近なことで貢献できる』
「貢献」の類語
「尽力」「献身」「寄与」が類語です。
「献身」には、自分のことを考えないで、役に立つために力を出し切るという意味があります。
「寄与」とは、力の限りを尽くすことで役に立つことです。
「貢献」の対義語
ぴったりな言葉はありませんが、強いて言えば「無益」です。
「尽力」の意味
何かこうしたいというものがあり、それを現実のものとするために、自分が出せる力の限りを出し切ることです。
スポーツの大会を開催したいと考えたとします。
この大会を開くためには、会場を用意する、会場整備のためにスタッフを集める、選手のサポートをするスタッフを集める、広告を出すなど、さまざまなことをやらなければなりません。
大変なことですが、これらはスポーツ大会を開くという目的にためにやらなければならないことです。
これは、こうしたいというものを現実のものとするために、自分ができる限りの力を出しているということができます。
このように、何かの目的のために力の限りを出すことをいいます。
大学受験のことで考えてみます。
ある大学に入るために、受験生は日々勉強に力を注いでいることでしょう。
傾けられるだけの力を勉強に注いでいるはずです。
しかし、このようなことは一般的には「尽力」とはいいません。
この場合は励むという意味も含まれているため、「尽力」とはいわないことが一般的です。
また、「尽力」は自分だけのために何かをすることについては、あまりいわない言葉です。
受験勉強は自分のために行うものです。
先の例のスポーツの大会は、大会の開催を望んでいる人が自分以外にもいます。
「尽力」の使い方
何かこうしたいというものがあり、それが頭の中の考えで終わらせるのではなく、現実のものとするために、力を出し切ることについて使用します。
力を出し切るのは、目的があってです。
目的もなく力を出し切ることはあまりありません。
目的があると頑張ることができます。
「尽力」を使った例文
・『後進の育成に尽力する』
・『新薬の開発に尽力する』
・『子どものために尽力する』
・『尽力なくしては実現しませんでした』
「尽力」の類語
「貢献」「献身」「寄与」が類語です。
「尽力」の対義語
ぴったりな対義語はありませんが、「怠惰」が対義語です。
なまけてだらしないことという意味があります。
力を出し切っていれば、だらしなくなどしていられないはずです。
まとめ
力を出すという意味を持つ2つの言葉ですが、力を出すことだけの意味では「尽力」で、人や社会などの役に立つ意味も含む場合は「貢献」になります。