この記事では、「悲観」と「悲嘆」の違いを分かりやすく説明していきます。
「悲観」と「悲嘆」の違い
「悲観」と「悲嘆」の違いについて紹介します。
「悲観」と「悲嘆」の使い方の違い
「悲観」は、「ものごとを好ましくない方向に捉えて悲しむ考え方のこと」に使います。
ある動作や反応ではなく、人の思考を表す言葉です。
「悲嘆」は、「強い悲しみに満ちて声が出る程の状態のこと」に使われます。
非常に悲しいことがあった時の、人の感情や行動を表す言葉です。
「悲観」と「悲嘆」の英語表記の違い
「悲観」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「pessimistic」で、「根暗」「陰気」「悲観的」という意味があります。
“He was pessimistic that he was crushed by his girlfriend.”
(彼は彼女にフラれて悲観的になっていた)
因みに、「楽観する」「楽観的」は「optimistic」と言います。
2つ目は「negative」で、「否定的」「悲観的」という意味であり、「ネガティブ」と日本語にもなっていて、日本人には使い易い単語です。
“She always thinks negative.”
(彼女はいつも悲観的に考える)
因みに「前向き」「楽観的」は「positive」といい、「ポジティブ」と日本語にもなっています。
「悲嘆」の英語表記は以下の通りです。
1つ目は「grief」で、「悲しみ」「悲嘆」という意味です。
“She is in deep grief by her mother’s death.”
(彼女は母親が亡くなり悲嘆している)
2つ目は「heartbroken」で、「胸が壊れる」=「悲嘆する」というニュアンスです。
“I am heartbroken to hear you are leaving.”
(あなたがいなくなると聞いて悲嘆に暮れています)
「悲観」の意味
「悲観」は「ひかん」と読み、以下の2つの意味があります。
1つ目は「ものごとが思い通りにならずに、失望すること」という意味で、好ましい将来が見込めずに落胆することを言います。
2つ目は「世の中や人生は、悪いことと苦痛に満ちていると考えること」という意味で、人生に対する考え方のことを言います。
上記に共通するのは、「ものごとに対して良くない方向に考える」という点です。
「悲」は「かなしい」という意味、「観」は「意識的に見ること」という意味、「悲観」で「ものごとを意識的に悲しいと見ること」になります。
「悲観」の使い方
「悲観」は、「ものごとを悪い方向に捉えること」に使われます。
「悲観する・した」と使われたり、「悲観して」と副詞として使われたりします。
「悲観的」は、「ものごとを常に悪い方向へ考える傾向があること」としてよく使われる表現です。
基本的に、その人の根本的な考え方を表す言葉で、直接行動することではありません。
「悲観」を使った例文
・『コロナ禍で将来を悲観して自殺する人が増えてしまった』
・『子供の顔立ちが悪いことを悲観して、整形させる親が増えている』
・『第一志望の大学に入れずに悲観して引きこもりになってしまった』
・『彼女は常に悲観的に考える人だから、言葉に注意した方がいいよ』
・『ものごとはなる様にしかならないから、悲観的に考えすぎな方がいい』
「悲観」の類語
・「先が思いやられる(さきがおもいやられる)」「これから先悪い状況になりそうで、不安で仕方がない様子」という意味です。
「初日から遅刻するとは、先が思いやられる」などと使われます。
・「五里霧中(ごりむちゅう)」「ものごとの今の状態や事情がつかめず、見込や方針が立てられずに困ること」という意味です。
「五里も続く深い霧の中にいて、何も見えない状態」に由来しています。
「この事件は五里霧中で全く犯人の見当がつかない」などと使われます。
「悲観」の対義語
・「楽観(らっかん)」
「ものごとの先行きをよいほうに考えて心配しないこと」という意味です。
「何もせずに楽観していると、万が一問題が起きた時に対応できないと思う」などと使われます。
「悲嘆」の意味
「悲嘆」は「ひたん」と読みます。
意味は、「非常に辛いと感じて心が痛み、ため息をついたり泣いたりするほどの状態」です。
ただ悲しいだけではなく、心が痛んでがっくりと落ち込んでしまったり、ため息をついたり、泣きたくなることを言います。
「嘆」は「なげく」とも読み、「ため息をついたり泣いたりすること」という意味、「悲嘆」で「悲しくてため息をついたり、泣いたりすること」になります。
「悲嘆」の使い方
「悲嘆」は、「非常に辛い状態で心が痛み、ため息をついたり泣いたりすること」に使われます。
「悲嘆する・した」「悲嘆に暮れる・暮れた」と使われたり、「悲嘆して」と副詞として使われたりします。
「悲観」との違いは、ものの考え方や捉え方ではなく、「その時悲しい気持ちになっていて、酷くなげく様子」という動作に使われるという点です。
「悲嘆」を使った例文
・『彼女は可愛がっていたペットが亡くなり悲嘆に暮れていた』
・『彼は絶望のあまりに悲嘆して大声で叫んだ』
・『有名人がコロナで亡くなり、大勢のファンが悲嘆に暮れた』
・『いつまでも悲嘆に沈んでいないで、前を向くべきだと思う』
・『悲嘆に暮れていた私を親友たちが集まって元気づけてくれた』
「悲嘆」の類語
・「打ちひしがれる(うちひしがれる)」
「激しい衝撃や精神的な苦痛などによってやる気を失ったり、失望すること」という意味です。
「彼女は恋人を事故で失った悲しみに打ちひしがれた」などと使われます。
・「胸が張り裂ける思い(むねがはりさけるおもい)」
「悲しさや悔しさなどで、心が激しく痛んでたまらない状態」という意味です。
「もう二度と彼と会えないと思うと胸が張り裂ける思いだった」などと使われます。
「悲嘆」の対義語
・「歓喜(かんき)」
「非常に喜ぶこと」という意味です。
「10年ぶりの勝利に全員が歓喜した」などと使われます。
まとめ
今回は「悲観」と「悲嘆」について紹介しました。
「悲観」は「ものごとを悪く考えること」、「悲嘆」は「悲しくてなげくこと」と覚えておきましょう。