「自我」と「自己」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「自我」と「自己」の違い生活・教育

この記事では、「自我」「自己」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「自我」と「自己」の違い

「自我」とは、自分、自己のこととなり、自分の意識に対して用いられるもので、エゴという意味の「自我」には、うぬぼれ、慢心、自尊心、自負心などの意味合いもあります。

「自己」とは、自分、自身、おのれのこととなり、自分の意識だけでなく、身体なども含めて用いられる場合があります。

「自我」「自己」は、自分の意識といったような一般的な意味合いでは、同じようなものとして受け取られるものですが、哲学や精神分析学などの分野で、それぞれの学者によって定義が異なります。


「自我」と「自己」の使い方の違い

「自我」の使われ方としては、基本的に自分の意識に対する定義として用いられています。

哲学では、自己意識と呼ばれ、自己を対象とした認識作用のことになり、精神分析学では、フロイトによって、意識を中心にした自己、私に近い意味として用いられていました。

精神分析学では、1923年に心的構造論という理論ができ、自我という概念は、意識と前意識と無意識的防衛を含む心の構造とされています。

このように、細かい定義や認識がそれぞれの分野の学者によって異なることに注意が必要です。

学術的な分野での「自我」というものは、簡単に説明できるものではありません。

例えば、自分自身の意識のことを思い浮かべてもらえれば、自分でもすべての意識が理解できている訳では無いことを認識できるはずです。

自分のことも完全に理解していないのに、他人の「自我」についてまで考えることになるため、非常に難しいことがわかります。

このように、「自我」の定義について知りたい場合は、哲学や精神分析学などを広く勉強する必要があります。

「自己」の使われ方としては、「自我」のように自分の意識に対する定義だけでなく、一般的に使われる言葉によって含まれる範囲がことなりますので、いくつか例をあげます。

「自己免疫」では、自己の身体に作用する免疫反応となり、「自己紹介」では、自分に関することを紹介することとなるため、意識だけでなく身体なども含まれた意味として使われます。

「自己資本」では、総資本のうち返済する必要がない資本となり、「自己株」では、会社が発行した自社の株を所有することとなるため、自分の所有するものと合わせて使われるということもあります。

また、「自己着火」では、エンジンの燃料が自然に燃焼を始める現象のこととなり、「自己誘導」では、電気の流れの変化を阻止しようとする方向に発生する電流の現象のことのように、現象に対しても使われます。

このように、自分の意識に対する定義だけでなく、身体を含む自分自身や、人以外の現象などに対しても使われます。

「自我」は、学問で自分の意識を定義するのに使われるのに対し、「自己」は、自分の意識に対する定義だけでなく、身体を含む自分自身や、現象などに対しても使われるという違いがあります。


「自我」と「自己」の英語表記の違い

「自我」の英語表記は“ego”となります。

“ego”は、(世界や他人と区別された)自己、自身という意味や、(心理分析学の)エゴ、自我という意味、うぬぼれ、慢心という意味、自尊心、自負心という意味があります。

“ego”には、自我という意味のほかに、慢心や自尊心のように、心の変化に踏み込んだものがあるということに注意が必要です。

「自己」の英語表記は、“self”となります。

“self”は、名詞として、自己、自分、自分自身、本人、そのものという意味があり、形容詞として、一様の、単色のという意味があり、自動詞や他動詞として、自家受粉のような意味合いがあります。

名詞としての使い方には、自己の意識や身体に対しても使われる点は同じですが、形容詞や自動詞、他動詞としての使い方は、違うことに注意が必要です。

「自我」と「自己」を使った例文

・『子供は、自我のある一人の人間です』
・『事故のショックで自我を喪失する』
・『年齢と共に自我が強くなって、周りの人の話を聞かなくなる傾向があります』
・『借金が返せなくなってしまったので、自己破産する必要があります』
・『ストレス軽減のためには、自己満足することも大事です』
・『自己啓発は、視野を狭めてしまう可能性があります』

「自我」と「自己」の類語

類語には、主我、我、自分、自身があります。

主我とは、自己の利益を優先して他人の利益を顧みないことです。

我とは、自分、自我、自分の意志や考えを言い張って人の言葉に従わないことです。

自分とは、その人自身、おのれ、自己という意味と、一人称の人代名詞としてのわれ、わたしという意味があります。

自身とは、自分みずから、自分、自己という意味と、自分自身のように、他の語についてそれを強める意味があります。

彼自身のように、他人に対して使われる場合もあります。

「自我」の対義語

対義語には、彼我、他我、非我があります。

彼我とは、相手と自分、他社と自分、自他という意味です。

他我とは、自我に対して、他人に存在すると考えられる我という意味で、他人の自我のことです。

非我とは、哲学で、同一の意識の統一を保っている自我に対立して存在しているいっさいのものです。

自我と区別された外界や環境、自然などをさします。

「自己」の対義語

対義語には、他者、他人があります。

他者とは、自分以外のほかのものや、あるものに対する他のものという意味です。

他人とは、自分以外の人、他の人という意味や、血のつながりの無い人という意味、そのことがらに関係ない第三者という意味があります。

まとめ

「自我」「自己」について説明しました。

「自我」とは、自分、自己のこととなり、自分の意識に対して用いられるのに対し、「自己」とは、自分、自身、おのれのこととなり、自分の意識だけでなく、身体なども含めて用いられるという違いがあります。

「自我」は、学問で自分の意識を定義するのに使われるのに対し、「自己」は、自分の意識に対する定義だけでなく、身体を含む自分自身や、現象などに対しても使われるという違いがあります。