「次第」と「所存」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「次第」と「所存」の違い生活・教育

この記事では、「次第」「所存」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「次第」と「所存」の違い

「次第(しだい)」の言葉は、「理由・物事をする一定の順番・物事の成り行き・何かをする意志やその人の意向・~が終わると直ちに」などたくさんの意味を持っている多義語になります。

ただし「~した次第です」の表現では「理由(わけ)」の意味となり、「~次第です(あなた次第です・時間次第ですなど)」では「~の意向・~に従うまま(~で決まる)」の意味になります。

「次第」に対して「所存(しょぞん)」は、「思うところ・考えているところ」を意味している違いがあります。

「~する所存です」とすると、「~する意志があります・~するつもりです」の意味となります。

「次第」「事情・わけ・意向・あるものに従うまま」を示し、「所存」「意志・つもり・意図(考え)」を意味する点が異なっています。


「次第」と「所存」の使い方の違い

「次第」には「謝罪に来た次第です」のように「~した次第です」で、「~した理由・事情」を意味する使い方がありますが、「所存」には理由を示唆する使い方はありません。

「次第」の使い方として「~次第です」で、「~の人の意向・選択」「~で物事・大勢が決まる」を意味しますが、「所存」はそういった意味の使い方はできません。

また「所存」「~する所存です」「~するつもりです・~する意図です」の意味合いで使えますが、「次第」にはそういった「意思表示の意味の用法」はありません。


「次第」と「所存」の英語表記の違い

「次第」を、英語で表記すると以下になります。

“depend on~”……人以外の特定の条件・要因に依拠している場合に使われる英語表現。

~次第です。

“up to~”“up to you”……あなた次第のような人次第の意味合いで使われる英語表現。

~次第です。

“as soon as~”……~するとすぐに。

~してから直ちに。

~次第。

“how~”……どのように~したという事情・理由を意味する英語表現。

~した次第です。

「所存」を、英語で表現すると以下になります。

“will~”……未来形で使われる助動詞で、「単純未来」だけではなく「意志未来」の用法でも使われます。

~するつもりです。

~しようと思います。

~する意志があります。

~する所存です。

「次第」の意味

「次第(しだい)」の名詞としての意味は、「現状に至るまでの物事の状態・成り行き」「このようになってしまった理由(わけ)・事情」「行事・物事を執り行う際の決められた順番」になります。

「次第」「あなた次第・その人次第」のように名詞につけて接尾語として用いる場合には、「~の意向(考え)による・~で決まる」の意味を持ちます。

また「次第」「望み次第」のように動詞の連用形につける場合は、「ある動作(行為)が行われるままに・その行為に従って」を示しています。

「到着次第」に示すように、「~するとすぐに」の意味もあります。

「次第」の使い方

「次第」には「事件の次第を伝える・お願いに参った次第です」のように、「今に至るまでの成り行き」あるいは「このようになった理由・事情」の意味で使う使い方があります。

「次第」「式次第」で示すように、「物事を実施する場合の一定の順番・順序(流れ)」の意味でも使用されます。

「彼次第・あなた次第」のように、「~の意向(気持ち)による・~で物事が決まる」の意味合いで使うこともできます。

さらに「手当たり次第」などで「ある行為が行われるままに」「起き次第」のように「(時間を空けず)~すると直ちに」の意味で使う用法もあります。

「次第」を使った例文

・『私は小さい頃から自動車のデザインに興味があり、その強い興味から御社を志望した次第です。』

・『ぜひ田中さまの専門的な技術やノウハウを活かしたご協力を頂きたいと思い、ご連絡を差し上げた次第です。』

・『このクライアントからのオファーを受諾するか否かは、社長であるあなた次第です。』

・『手当たり次第に関係者に電話をしてみましたが、良い返事は聞けませんでした。』

・『あらかじめ定めている定員になり次第、この団体パックツアーの募集は終了となります。』

「次第」の類語

「次第」の類語には、以下の表現があります。

・『理由(りゆう)』……物事がそのような結果に至った事情。ある人がそういった行為をしたわけ。

・『順序(じゅんじょ)』……ある物事を実行する時の順番。ある基準・ルールに依拠している手順や並び。

・『状態(じょうたい)』……人物・モノ・物事のある時点におけるありさま。時間経過に合わせて変わる性質・様子。

「次第」の対義語

「次第」「物事の決められた順番・こうなったわけ・今に至った経緯」などの反対の意味を想定しづらい意味を持つため、「次第」の国語辞典などに記載されている対義語はありません。

「所存」の意味

「所存(しょぞん)」とは、「思うところ・考えているところ・意図していること」を意味しています。

「所存」の表現は「~する所存です」の文章で、「~するつもりです・~する意志を持っています」といった意味を示しています。

「所存」の使い方

「所存」「~する所存です」の文章の形で、「これから~するつもりです」「~する意志・意図があります」の意味で使う使い方になります。

「所存」は英語でいう「意志未来」の用法で使うことができる表現であり、「今から~するつもりである」を示すことができるのです。

例えば、「努力する所存です・努力してまいる所存です」「邁進する所存です」などの文章で使用可能です。

「所存」を使った例文

・『御社のために私の持てる力をフルに発揮して貢献してまいる所存です。』
・『地域社会の発展と地域の人たちの雇用・生活を守るために尽力する所存です。』
・『もし万が一、この疑惑が事実であることが明らかになった場合には、議員を辞職する所存です。』
・『お客様の満足と安心のために、全力を注いで努めてまいる所存です。』
・『これからも地域の食生活を豊かにしていくために、精進してまいる所存でございます。』

「所存」の類語

「所存」の類語には、以下の言葉があります。

・『意向(いこう)』……これからどのようにしていくのかという考え・思惑。気持ちが向かうところ。

・『つもり』……未来に対する自分の意志・意図を示している言葉です。

・『所感(しょかん)』……ある物事に対して感じたところ・感じた内容。

「所存」の対義語

「所存」の対義語には、以下の表現があります。

・『不心得(ふこころえ)』……何かをしようとする意志がないさま。

(思慮深さ・意志が乏しくて)これからどうするかについて心得ていないこと。

まとめ

「次第」「所存」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「次第」「所存」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。