「暗黙」と「沈黙」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「暗黙」と「沈黙」の違い生活・教育

この記事では、「暗黙」「沈黙」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「暗黙」と「沈黙」の違い

「暗黙」とは、意志を口に出さないこと、口に出さずに黙っていることです。

「沈黙」には、3つの意味があります。

1つめは、黙り込むことです。

2つめは、物音がなく静かなことです。

3つめは、活動をせずにじっとしていることです。

「暗黙」の意味と「沈黙」の黙り込むことという意味が似ていますが、それぞれの言葉が意味しているものは違います。

「沈黙」は、無言になるという意味です。

会話をしているときに話す内容がなくなってしまい、口をきかなくなることがありますが、あのような状態です。

「暗黙」は単に無言になることではなく、意志を口に出さないことです。

たとえば、職場によっては先輩が遅刻しても後輩が指摘をしてはいけないというルールがあります。

これは、口に出して「こういうルールがあるんですよ」と職場に浸透しているものではなく、口に出さずにルールがあることが認められているものです。

このようなものを「暗黙のルール」といいます。

「暗黙」は黙っていて静かであるという意味ではなく、語らずにいるといった意味です。


「暗黙」と「沈黙」の使い方の違い

意志などを口に出さないことについて「暗黙」を使用します。

会話がなくなってしまい黙っていることには使用しません。

物音がしないで静かな状態について「沈黙」を使用します。

会話が途切れてとき、会話をしている人たちの間で静かな状態が続きます。

自分の意志を語らない意味でも使うことができますが、言うのをやめるといった意味で使います。


「暗黙」と「沈黙」の英語表記の違い

「暗黙」は英語で“implicit”と表現をします。

「沈黙」は英語で“silence”と表現をします。

「暗黙」の意味

「暗黙」とは、口に出さないこと、意志などを示さないことです。

実際にはそうではないのですが、学校教育では、先生の能力が教える効果に影響を与えるという、語らずにいられるルールがあるようです。

表には出ていない語られていないこと、それが「暗黙」です。

競馬に出場している馬は、一生を競走馬として過ごすのではなく、走ることができないと判断されると登録抹消されます。

登録抹消が生じた理由の項目には、乗馬、時効、繁殖などがありますが、食用のための肥育や屠畜という項目はありません。

しかし、実際には食用のために肥育されたり、屠畜されたりしています。

このことを競馬関係者は知っています。

知っていながら実際には口に出さないのです。

こういったことは「暗黙のルール」といいます。

「暗黙」とは、会話がなくなってしない黙り込むことではなく、口に出して伝えないことです。

会話がなくなって黙り込むと気まずく感じることがありますが、「暗黙」には黙り込んで気まずいという意味は含まれていません。

「暗黙」の使い方

意志を伝えず無言になることについて使用をします。

機嫌が悪くなって会話をしない、話す内容がなくなって黙り込む、授業中などしゃべってはいけない場面だからしゃべらないなどの意味ではなく、こういった場面では使用しません。

「暗黙」を使った例文

・『暗黙のうちに認める』
・『職場には数多くの暗黙のルールが存在する』
・『暗黙の人種差別が存在していた』
・『暗黙のうちに決められることが、そこでは常識だった』

「暗黙」の類語

「黙る」が類語です。

しゃべらない、自分の考えなどを言わないという意味があります。

「暗黙」の対義語

「おしゃべり」「饒舌」が対義語です。

「おしゃべり」には口が軽いことという意味があり、「饒舌」にはむやみにしゃべることという意味があります。

「沈黙」の意味

「沈黙」には、3つの意味があります。

1つめは、黙り込むことです。

会話をしているときに、話す内容がなくなってしまい、突然会話が途切れてしまうことがあります。

そのとき、会話をしていた人の間に音がない静かなときが流れます。

このような状態が「沈黙」です。

話す内容があっても、意図的に口をきかないこともあります。

たとえば、機嫌が悪い、相手のことを嫌い、などの理由です。

また、どう返事をしていいのか困ることもあります。

「君って太っているよね」といわれて、「失礼な」と返すことができる人もいれば、「そうでしょ」といえる人もいますが、あまりにも正直に言われてどう返事をしていいのか困ってしまう人もいます。

そのときも黙ってしまいます。

こういった黙ってしまうことが「沈黙」です。

2つめの意味は、音がなく静かなこと、音を出さないことです。

夜の森はほとんど音がしないことがあります。

風で葉がこすれるような音が少しすることはありますが、ほとんど気がつかないようなものです。

そういった静かな状態が「沈黙」です。

家にいても夜遅い時間の都心から離れた場所は、人がほとんど活動しておらず、自宅のテレビなど音がするものの電源を落としてしまえば、ほとんど音がしません。

このような状態も「沈黙」です。

3つめの意味は、活動を休んでじっとしていることです。

これまで精力的に作品を発表していた画家が、ある時期活動を休んでいました。

仕事をもらえなくて休んでいたのではありません。

この休んでいる期間が「沈黙」で、ある時期活動を休んでいたけれど、活動を再開して新しい作品を発表したときには「沈黙を破る」といいます。

「沈黙」の使い方

「沈黙」には3つの意味がありますが、音がしない、静かであるという意味で使われています。

「沈黙」を使った例文

・『沈黙の時間を苦痛に感じる』
・『長い沈黙を破って新しい楽曲を発表した』
・『沈黙が生まれて気まずい』
・『5分ほど沈黙の時間が流れる』

「沈黙」の類語

「黙る」「黙りこくる」が類語です。

「黙る」には、しゃべらないという意味があります。

「黙りこくる」は、いつまでも黙っていることで、「黙る」よりも無言の時間が長いです。

「沈黙」の対義語

「おしゃべり」が対義語です。

まとめ

2つの言葉には、無言という意味が含まれていますが、どういった状態の無言なのか意味が異なります。