この記事では、「慣れる」と「馴れる」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「慣れる」と「馴れる」の違い
「慣れる(なれる)」の意味は、「同じような物事を何度も経験してなじむこと」や「同じ行為を何度もして上達(習熟)する」になります。
「慣れる」に対して「馴れる(なれる)」は、「動物が警戒心を弱めて人になつくこと」や「人に対する抵抗感が弱まって親しみを感じる」といった意味を持っている違いがあります。
「馴れる」は「動物・人に対して親しみの感情を抱く」のニュアンスがありますが、「慣れる」にはそういったニュアンスはありません。
「慣れる」と「馴れる」の使い方の違い
「慣れる」は「何度も繰り返してなじんだり上手くなったりすること」の意味で使われますが、「馴れる」は「動物がなついたり素直に人の言うことを聞くこと」の意味で使われる大きな違いがあります。
例えば、「この虎の赤ちゃんは人に馴れています」という漢字表記はできますが、「この虎の赤ちゃんは人に慣れています」の漢字表記は厳密にいうと間違いになります。
逆に「新しい生活に慣れました」と書くことはできますが、「新しい生活に馴れました」という「馴れる」の使い方は間違った使い方になってしまうのです。
「慣れる」と「馴れる」の英語表記の違い
「慣れる」の英語表現は以下になります。
“get used to~”……~を何度もして慣れる。
~を習慣的に行う。
~に慣れる。
“grow(be) accustomed to~”……~することが習慣になる。
~を当たり前のように行うようになる。
~に慣れる。
“become skilled in~”……~に習熟したり上手くなったりする。
~に慣れる。
「馴れる」の英語を使った表記は以下になります。
“become domesticated”……抵抗が弱まって親しみを感じる。
親しい関係になる。
馴れる。
“become(get) familiar with~”……~に親しみ(親近感)を感じる。
~と親しくなる。
~に馴れる。
“become tame”……動物などが警戒心を抱かなくなる。
動物が人に対してなついて馴れる。
馴れる。
「慣れる」の意味
「慣れる(なれる)」とは、「何度も同様の状態・行為を繰り返すことで、違和感が薄れてそれが当たり前になる」や「道具・モノを何回も使ってなじむこと」を意味しています。
「慣れる」の言葉には、「同じ行動・仕事などを繰り返し行うことによって習熟(上達)する」といった意味合いも備わっています。
「慣れる」の使い方
「慣れる」は、「何度も同じことをリピートして経験したり、長期にわたって同じ状態に置かれたりすることでなじむ」の意味で使われます。
例えば、「新しい職場の働き方に慣れました」や「シンガポールの暑さにも慣れました」などの文章で使用可能です。
また、「同じ行為・仕事・方法などを繰り返し行うことで、それが上手くなったり習熟(熟達)したりする」といった意味でも使用することができます。
その「慣れる」の使い方として、「乗馬には慣れています」や「慣れたベテランには敵いません」などの文章で使えます。
「慣れる」を使った例文
・『北海道の冬の厳しい寒さには、何年か住んでいてもなかなか慣れることができません。』
・『慣れた職場を離れて転職することになりましたが、新たな仕事が楽しみで仕方ありません。』
・『漁師さんたちが慣れた手つきで、釣った魚を捌いて(さばいて)いました。』
・『熱帯地方に特有の環境や食生活に慣れるにはかなりの月日がかかります。』
・『渡米してからだいぶ英語に慣れてきたので、日常生活に使うレベルの英会話ではほとんど困ることがなくなりました。』
「慣れる」の類語
「慣れる」の類語には、以下の言葉があります。
・『馴染む(なじむ)』……同じ環境に長くいたり同じ活動を繰り返したりすることで、違和感(抵抗感)がなくなり当たり前(平常)になる。
・『順応する(じゅんのうする)』……環境の変化に従って、行動や性質が適応的な方向に変わること。外界の変化に感覚が慣れること。
・『習熟する(しゅうじゅくする)』……ある物事・技術・仕事などを繰り返し行っていく中で慣れて上手くなること。
「慣れる」の対義語
「慣れる」の対義語には、以下の表現があります。
・『馴染まない(なじまない)』……ある物事・活動・相手などに対して慣れないこと。慣れなくて違和感・苦手意識などを感じること。
・『適応しない(てきおうしない)』……特定の環境や人間関係などに合わせる形で、自分の行動・認知(受け止め方)・性質を変えられないこと。
「馴れる」の意味
「馴れる(なれる)」とは、「動物が人を恐れずになつくこと」を意味しています。
「馴れる」というのは、「犬・猫・ウサギなどの動物が人を警戒したり怖がったりせずになつくこと」を意味する言葉なのです。
「馴れる」の表現は、「他者(ある人)に対して、警戒感・違和感を抱かなくなり親しみを感じるようになる」という意味合いも持っています。
「馴れる」の使い方
「馴れる」という表現は、「犬や猫、サルのような動物が人になれる」の意味合いで使う使い方になります。
例えば、「うちで飼っているチワワは家族によく馴れています」などの文章で使用されます。
また「馴れる」は「馴れた人であれば会話が弾むタイプです」のように、「ある人に対する抵抗感が薄れて親しみの感情を感じるようになる」の意味でも使えます。
「馴れる」を使った例文
・『サバンナのシマウマが人間に馴れて、さらに人が背中に乗って操れた事例はほぼありません。』
・『自然の過酷な環境でサバイバルしている野生動物の多くは、人に簡単に馴れることはありません。』
・『私は人見知りの性格なので、クラスメイトになかなか馴れることができませんでした。』
・『自分から人に馴れていくことができないと、新しい職場で良好な人間関係を築くことは難しいでしょう。』
・『馴れているはずの飼い猫からいきなりひっかかれて、腕に大きな傷が出来てしまいました。』
「馴れる」の類語
「馴れる」の類語には、以下のような言葉があります。
・『懐く(なつく)』……動物・子供などが、ある人になれて親しむこと。親しみの感情を感じて、言うことに従うさま。
・『親しむ(したしむ)』……相手に対して親愛の情を感じること。相手との距離が縮まり、親しい気持ちを感じること。
「馴れる」の対義語
「馴れる」の対義語は以下になります。
・『懐かない(なつかない)』……動物・子供などが、なれずに近寄らないさま。親しみの感情を抱かずに、言うことも聞かないこと。
・『警戒される(けいかいされる)』……信用してもらうことができず、危害を加えられるのではないかと用心(注意)されて距離を置かれること。
まとめ
「慣れる」と「馴れる」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「慣れる」と「馴れる」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。