この記事では、「現状」と「原状」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「現状」と「原状」の違い
同じ読み方でも、まったく意味が異なるため、意味を間違っていると大きなトラブルにもなりかねないのが「現状」と「原状」です。
なにがどう違うのかというと、その時系列が違うものとなります。
同じ状態でも、「現状」の場合は、今現在の状態を意味する一方、「原状」は、元の状態を意味するものとなります。
この、今現在の状態なのか、元の状態なのか、といった違いがあり、これを間違って使用する、解釈してしまうと、言われた通りの状態にしたつもりでも大きな間違いを犯してしまう可能性があるのです。
このような違いがある「現状」と「原状」について、より詳しくお話しさせて頂きます。
「現状」と「原状」の使い方の違い
「現状」と「原状」の使い方で一番間違ってはいけないのが、不動産契約の際に重要なげんじょう回復です。
不動産契約で主に行う必要があるのは「原状回復」です。
そのため、意味としては、元の状態、つまり、自分が入居したときの状態にするといった意味となります。
決して、今現在の状態を意味する「現状回復」といった使い方は行われません。
そのため、「原状」の場合、使い方としては、回復や戻る、復すといったような使い方が行われ、「現状」の場合は、維持、保存といったように、今の状態を保つといったような使い方が行われています。
「現状」と「原状」の英語表記の違い
「現状」の英語表記は、present situation、current condition、present stateです。
「現状を打破する」は、break the status quo 「現状を踏まえる」は、take the 《economic》 state into consideration 「現状維持」は、maintenance of the status quo 「現状と同じ」は、Same as the existing conditionとなります。
「原状」の英語表記は、present situationです。
「原状に復する」は、return [restore] something to its original state、【法律, 法学】 reestablish [restore matters to] the status quo ante. 「原状回復」は、Restitutio in integrumとなります。
「現状」の意味
「現状」は、今目の前にある状態を指します。
どんなものでも、どんなことでも、時間の経過とともに変化することがあります。
その変化したもの、ことでも、今、どのような状態、状況にあるかということを示すのが「現状」となります。
簡単に言えば「現在の状態」。
それが、「現状」なのです。
そして、この「現状」は、同じものでも1つではありません。
例えば、同じぬいぐるみを同じ時に姉妹で購入したとします。
そして、3年後、そのぬいぐるみの現状は、姉妹の使い方によって大きく変化します。
そのため、「現状」は、同じものでもタイミングや使用頻度などによって異なったものとなります。
「現状」の使い方
今現在の状態を意味する「現状」。
そのため、今現在の状態を示す言葉として、様々な使い方があります。
例えば、今の状態に甘えるといった意味として、「原状に甘える」。
今の状態を維持するという意味として、「現状維持」。
今の状態よりも良い状態にするという意味として、「現状を打破する」。
今の状態を分析するという意味として、「現状分析」。
今しなければいけない課題という意味として、「現状の課題」。
今の状態を知るという意味として、「現状を知る」などといった使い方があります。
「現状」を使った例文
・『若いうちは、現状維持ではなく、できるだけ挑戦する気持ちを持っていたいと思う。』
・『現状を打破するために試行錯誤する必要がある。』
・『生徒には、学力に応じた現状の課題を出していきたいと思っています。』
・『裁判において、現状のままでは完全にこちらが不利な状態です。』
「現状」の類語
「現状」の類語は、「現況」です。
そのほかにも、今の有り様といった意味として、実情、シチュエーションも類語となります。
「現状」の対義語
「現状」には、明確な対義語はありませんが、「現状維持」の対義語としては、「現状打破」が挙げられます。
「現状維持」とは、今現在の状態を保つことを意味し、「現状打破」は、今現在の状態を打ち破るといった意味となります。
「原状」の意味
初めの状態、もとのままの状態、形態、を意味する「原状」。
そのものやことのもともとの状態や状況、形などを指す言葉となります。
そのため、「原状」は、今よりも前のこと、以前を指すことになります。
そして、この「原状」は、もとの状態、形態を意味することから、1つしかありません。
元通りにするといった「原状回復」において、その状態はみな同じ1つなのです。
「原状」の使い方
初めの状態、もとのままの状態、形態を意味する「原状」。
そのため、元通りにするといった意味として、「原状回復」といった使い方が主な使い方となります。
それ以外にも、「原状回復」と同じような意味となる「原状復帰」や元の状態に戻るといった意味となる「原状に戻る」。
元の状態に回復したといった意味となる「原状に復した」などがあります。
「原状」を使った例文
・『長年、住み続けたアパートを原状回復するのは、思っていたよりも大変でした。』
・『やっとの思いで、原状に復することができました。』
・『一度、原状に戻って考え直したいと思います。』
・『一度、悪いイメージが付くと、原状回復することは非常に困難です。』
「原状」の類語
「原状」には、明確な類語がありません。
「原状」の対義語
対義語においても、「原状」には、明確なものはありません。
まとめ
今現在の状況、状態を意味するのが、「現状」。
もとの状況、状態を意味するのが、「原状」と大きな違いがある「現状」と「原状」。
そのため、決して、意味を取り違ってはいけない言葉となります。
また、数においても、「現状」の場合は、複数あることが考えられ、「原状」の場合は、1つしかないということも忘れてはいけません。