この記事では、「はしたない」と「だらしない」の違いを分かりやすく説明していきます。
「はしたない」とは?
「女の子が胡坐をかいて座るなんて、はしたないよ」などと使われるこの言葉は「慎みがなく、世間一般の言動や動作からかけ離れること。
品位が欠けて見苦しい様子」を表す時に用いる言葉で、注意・叱責するときに利用されますが、目上の人に対して使われることはありません。
また、きちんとした決まりはないようですが、一般的に女性に向けて使われることが多い言葉でもあります。
「はしたない」の語源は古く平安時代の書物「伊勢物語」にも「ふる里にはいとはしたなくてありければ…」と使われており、これは数が合わない様子を表す「はした」に、それを打ち消す「ない」を付けて「どっちつかずで収まりが悪い」「決まりが悪く、身の置き場がない」と、自分の恥ずかしい感情を表す言葉として例えられるようになり、それが転じて「行儀が悪い」「見苦しい」といった相手の態度に対して抱く不愉快な感情を表すようになったとされています。
「だらしない」とは?
「このくらいでへばるなんて、だらしない」のように使われるこの言葉は「キリッと締まらない、節度のない。
秩序がなく、物事のけじめがつかない様子」を表す時に用いられる言葉です。
また、「時間やお金にだらしない」など人の動作以外にも用いられる事もあり、どちらも怠けている様子を表現する時、使われることが多い言葉と言えます。
「だらしない」の語源は諸説ありますが、「しだらない」の「しだら」が音転したと言われています。
「ふしだら」の語源でもある「しだら」は「修多羅」と書く紐や糸の名前で、正確で秩序よく束ねる事も意味していました。
この漢字から読み方に濁点が付いて変化したと言われており、「しだらない」より濁音で始まる言葉の方が悪い印象を与えるため、この順序になったとも言われています。
「はしたない」と「だらしない」の違い
人(主に女性)の行動や言動に対して品位に欠けている様子を表す言葉「はしたない」と人や対象とする物に対して怠けている様子を表す言葉「だらしない」ですが、どちらも相手に不快を与えている言葉なので、あま登場する事がないよう生活したいものです。
「はしたない」の例文
・『はしたない言葉遣いはやめましょう』
・『ドタバタ走るのは、はしたないですよ』
・『些細な事で言い争うのは、はしたないです』
「だらしない」の例文
・『だらしなく腰掛けるのはやめよう』
・『服装がだらしないと注意された』
・『時間にだらしない奴だと思っていたら、案の定遅刻した』
まとめ
「はしたない」と「だらしない」はどちらの言葉も語源が古く、昔の人も使用していた言葉だという事もわかりました。
今ではあまり耳にしない言葉ですが、その背景には「差別」や「ハラスメント」などの兼ね合いから、使うにも配慮が必要になり、使用するのが億劫になったのかもしれません。