言葉を伝えることを表す表現として「具申」と「答申」があります。
このふたつはどのような基準で使い分けられているのでしょうか。
今回は、「具申」と「答申」の違いについて解説します。
「具申」とは?
「具申」とは、「自分夜上野立場にいるものに対し意見や見解を申し述べること」を意味する言葉です。
「具申」の使い方
意見や見解というのは基本的に人から聞かれて応えるものですが「具申」は「聞かれていないのに上のものに対して自分が持つ意見や見解を申し述べること」を指します。
一方的に上司に自分の意見を言ったりレポートを提出したりする行為が「具申」にあたります。
会社や団体など上下関係のある組織内において行われる申し述べ行為を指す言葉ですが、基本的には正式な手続きとしてではなく「聞かれていないのに勝手に意見を伝える」という私的行為を指します。
制度として「具申」を認めている組織もありますが上下関係のある組織において下のものが上のものに勝手に意見を上げるというのは通常ありえないことです。
一般的には上司にどうしても意見を伝えたいときや現場の状況が伝わっておらずどうしても意見しなければならないときなどに用いられる非常手段のような意見提出を「具申」と表現します。
「答申」とは?
「答申」とは、「問いに対して回答としての意見を申し述べること」という意味の言葉です。
「答申」の使い方
「答申」を簡単にいうと「たずねられたときの返答」です。
「上の者から聞かれたときに提出する意見や見解」が「答申」であり内容は「上の者からの問いに対する返答」の形式で提出されます。
問いに対する答えなので「答申」が単独で出されることはありません。
基本的には行政や政治など正式な手続きとしてやりとりされる問に対する回答に対して使われる表現であり、個人としてではなく団体や組織がそれぞれの意見をまとめあげる形で「答申」が作られます。
「具申」と「答申」の違い
「具申」と「答申」の違いは「意見を求められているかどうか」です。
「具申」は上司から聞かれていないのに申し述べられる意見や見解を意味するのに対し、「答申」は上司からの問いに対する返答として申し述べられる意見や見解を意味します。
部下から一方的に上がるのが「具申」、上司の問いに対する反応として上がるのが「答申」という違いで区別されます。
どちらも上下関係がある組織内や組織同士の関係性において用いられる表現であり口頭と書面のどちらでも構いませんが、友人や親戚など個人間の私的な関係性で使うことはありません。
「具申」の例文
・『上官に意見を具申する』
・『具申された作戦案を採用する』
「答申」の例文
・『総理大臣からの問いかけに対する答申が発表された』
・『答申では安全管理の不足が厳しく指摘されている』
まとめ
「具申」と「答申」は日常会話ではまず使うことのない言葉ですがビジネスや行政ではよく使われます。
ニュースなどでも耳にすることがあるので言葉の意味を覚えておきましょう。