「あお」という色を表す漢字には、「青」と「蒼」があります。
読み方はどちらも「あお」ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
青とは?
青は光の三原色の一つで、晴れ渡った空の色や海の色を指す言葉です。
英語だとblue(ブルー)に相当する色のことをいいます。
JISでは、スペクトル色の波長が400~450㎜の範囲内と定められています。
また、青は寒色の一つでもあります。
青系統の色は沢山ありますが、それらをまとめて「青」と表現することも多いです。
例えば藍色は濃い目の青で、紫がかった鮮やかな青は群青色といったりしますが、細かく分類せずに青色ということもあります。
日本では昔、緑色のことも青といっていました。
日本では色を「赤」「青」「黒」「白」に分類していたのです。
緑は「青」に含まれます。
青と緑をはっきり区別するようになったのは、平安時代の終わり頃か鎌倉時代の初め頃とされます。
青菜や青信号の色は実際は緑ですが、青という漢字が使われているのはその当時の名残といえるでしょう。
それから人格や振る舞いが未熟な人のことを「青い」といったりもします。
これは果実などが熟していないと青いことが多いからです。
青二才や青臭いといった使い方をすることもあります。
蒼とは?
蒼は干し草のようなくすんでいて緑に近い青色のことをいいます。
「蒼」という漢字は、草かんむりに倉という字が組み合わさって成り立っています。
草が生えていることを表しているのが草かんむりで、倉は米などの穀物を貯蔵しておくものです。
つまり、草で葺かれた屋根を表しており、そこから草のような緑がかった青色を表す漢字になりました。
顔色が悪くて血の気が感じられないことを表す顔面蒼白にも「蒼」が使われています。
近年、蒼は人の名前に使われる漢字としても人気が高く、「そう」や「あおい」「そら」と呼んだりもします。
青空のことを蒼天といったりもするので、雲一つない快晴の空をイメージする人も多いと思います。
しかし、蒼はくすんでいて不透明な色なので、中国で「蒼」を空に使うと曇り空のことを指していました。
日本人が持っている爽やかな明るいイメージとは少し印象が異なります。
青と蒼の違い
蒼は青系統の色をまとめて表す青の中の一つの色です。
くすんでいて緑がった青色のことをいいます。
青が表す色は幅広く、蒼はごく限られた色に使われています。
それから「青」は常用漢字ですが、「蒼」は常用漢字ではありません。
青を使った言葉は世の中にあふれており、青信号や青菜、青天井、青二才、青写真など色々使われています。
蒼を使うことはあまり多くはなく、かなり限定的です。
そのため「あお」と聞くと、青をイメージする人が多いです。
まとめ
蒼は青の中でもくすんでいて緑がかった青色のことをいいます。
青は青系統の色全体を表す言葉ですが、蒼はその中の一部の色だけを指す言葉です。
よく使われているのは青の方です。