この記事では、「霞」と「霧」の違いを分かりやすく説明していきます。
「霞」とは?
「かすみ」と読み、空気中に様々な細かい粒子が浮かび、そのために遠くがはっきりと見えない現象のことをいいます。
また、遠方にある山などの前に霧などが帯状にかかり、雲のように見えるものに対しても「霞」といいます。
「翳み目」と言った場合には、視力の衰えなどにより、よく見えないことを表します。
「霞む」とは、かすみのようなものがかかった感じで、はっきりと見えなくなるという意味になります。
また、もっと素晴らしいものが近くに現れ、目立たなくなる時にも使います。
例えば、「結婚式に有名な女優が来て、あまりの美しさに花嫁が霞む」などになります。
「霞」の使い方
名詞として、「霞がたなびく」などと、使用します。
どちらかというと文学的な表現となり、天気予報の際などにはあまり使用されません。
また、「目が霞む」や、「彼の存在は霞んでしまった」などと使います。
「目が霞む」と「目が翳む」の使い分けは、厳密ではありませんが、「霞」という漢字は、かすみがかかっている状況を表す漢字で、目がかすんでいるさまを表します。
それに対し、「翳」という漢字は、かげのことなので、「翳む」のほうが、目が見えないニュアンスが強くなります。
「霧」とは?
「きり」と読み、水蒸気を含んだ大気の温度が下がり、露点温度になったときに、水蒸気が水粒となって空中に浮かんでいる状態をいいます。
日本の気象観測では、水平方向での見通せる距離が、1km未満の場合をいいます。
陸上で100m以下、海上で500m以下の霧の場合には、「濃霧」といいます。
1km以上のときには、靄(もや)となります。
霧が発生すると、浮かんでいる水滴によって大気が白く霞んで見えます。
そのことによって、見通せる距離が短くなり、視界が悪くなります。
また、液体を霧のように細かくして飛ばした場合にも、「霧」ということがあります。
「アルコールを小さめな霧吹きに入れて持ち運ぶ」などと、使います。
「霧」の使い方
名詞として「霧がたちこめる」「山で濃い霧に囲まれた」などと、使います。
また、「霧を吹く」、「農薬を霧状に散布する」ということもあります。
「霞」と「霧」の違い
「霞」は、細かい粒子により、風景などがはっきりせずにぼやけて見えるという意味なので、厳密には、粒子は水ではなくても構いません。
「黄砂の霞」ということもあり得ます。
それに対し、「霧」は、水蒸気が水粒となって空中に浮かんでいる状態のことをいいます。
また、「霞」は春の季語で、「霧」は秋の季語となります。
「霞」の例文
・『目が霞んだので、目薬を使いました』
・『わたしの撮った写真がぼやけてしまったのは、春霞のせいに違いない』
「霧」の例文
・『気が付くと、周囲には霧が立ち込め、自分がどこにいるのか全く分からなくなってしまいました』
・『自宅の観葉植物の葉に元気が無かったので、葉に霧を吹きました』
まとめ
「霞」と「霧」についてみてきました。
「霧」は、天気予報で使われている言葉ですが、「霞」は使われません。
違いを知って、役立ててください。