会社更生法と民事再生法は、どちらも会社の経営が破綻した時に行う法的整理のための法律になります。
両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
会社更生法とは?
会社更生法は、経営が難しくなった株式会社についての更生手続きを定めるために作られた法律です。
再建の見込みがある株式会社を対象にしており、株主や債権者といった利害関係者の利害を調整し事業を更生させようというものです。
企業が解体されてしまうと社会的な損失が大きいため、それを防ぐ目的もあります。
会社更生法は、2002年に大幅な改正が行われました。
この法律に基づく更生手続きのことを会社更生手続といいます。
全面改正が行われる前は手続きがかなり厳格だったため、事業を再建するまでに時間がかかることも多かったといわれています。
時間がかかるというのは大きなデメリットでした。
それが改正されたことで、以前よりも再建までのスピードが格段に速くなったのです。
効率的にもなりました。
会社更生法は、大企業の事業再建に利用されることが多いです。
民事再生法とは?
民事再生法とは、経済的に困窮している事業者が経営を立て直すために制定された法律になります。
裁判所によって事業を再生するための計画を認可してもらうことを民事再生手続といいますが、その民事再生手続に関する法律です。
再生計画には、債務を減額してもらうことや返済条件を変更するといったことも含まれます。
裁判所の監督の下で、債権者の利害を調整して事業者が負っている債務を削減します。
それにより事業者の経済生活の再生を図るのです。
民事再生法は、個人から法人まで幅広く対象となっています。
倒産する恐れがある段階で手続きを申し立てることができます。
経営権や財産管理の権利、財産を処分する権利などを手放さなくていいというメリットがあります。
そのため資産を分散化することを防げます。
会社更生法と民事再生法の違い
2つの法律は、どちらも倒産法の1つに分類されます。
日本の倒産法には会社の解散を目的とする精算型の法律もありますが、会社更生法も民事再生法も事業継続を目的としています。
その違いは、利用できる対象者にあります。
会社更生法は、株式会社のみを対象としています。
それに対して民事再生法は、法律上の制限はありません。
個人でも法人でも利用することができ、株式会社も対象となります。
中小企業の利用者が多いですが、大企業が利用することもあります。
会社更生法の場合には、主に大企業が利用しています。
それから会社更生法の場合、民事再生法とは違って担保権者や株主も更生手続の対象となります。
まとめ
2つの法律の違いは、対象となる利用者にあります。
株式会社だけが対象となるのが会社更生法で、主に大企業が利用することが多いです。
民事再生法は個人から法人まで利用することができます。
何か制限があるわけではありませんが、中小企業の利用者が多いのが特徴です。