混同されがちな言葉として「鎮める」と「静める」があります。
このふたつはどちらも同じ読みを持つ言葉ですが意味はどのように違うのでしょうか。
今回は、「鎮める」と「静める」の違いについて解説します。
「鎮める」とは?
「鎮める」とは、「乱れをおさえて落ち着かせること」を意味する言葉です。
「鎮める」の使い方
「鎮める」というのは暴動や騒乱、あるいは体の痛みや発熱など異常事態への適切な対処を意味する言葉です。
乱れた状態を放置すれば今よりもひどい状態になりますが「ひどい状態に発展しないよう平常ではない状態にあるものに対して適切に対処し乱れた状態を解消して落ち着かせること」を「鎮める」といいます。
一般的には「勢いをそぐ」という意味で使われます。
乱れがうねりとなってさらに発展するエネルギーを内包しているとき「有効な対処法でエネルギーを抑えこみ勢いをそぐ」のが「鎮める」の意味合いです。
「鎮める」という言葉が用いられるのは「通常の方法では制御できない状態」です。
市民が興奮して暴徒化したり騒乱で暴れまわったりなど「コントロールできていないものに対し強引な方法を含むあらゆる手段を使って落ち着かせること」を「鎮める」と表現します。
人と人同士である場合は主に暴力や武力を使って無理やり行動を停止させるという意味で用いられますが説得や対話によって落ち着かせる行為も「鎮める」に含まれます。
火災や病気による発熱などコントロールが効かず乱れた状態になっているものを落ち着かせる行為も「鎮める」です。
「静める」とは?
「静める」とは、「静かにさせること」を意味する言葉です。
「静める」の使い方
一般的には「音を発しているものに対して対処し音が出ないようにすること」を「静める」といいます。
さらに「目障りだったりうっとうしかったりする状態にあるものに対処して落ち着かせる」「行動を停止させる」といった「平成を取り戻させる」という意味でも使われる言葉です。
基本的には音を小さくすることに主眼が置かれた表現ですが人の動きにより動作音が発生したり声を上げたりと何らかの音が発せられることから行動を停止させる行為も「静める」に含まれます。
人の意志や意図により音が小さくなる様子を表しているのが「静める」であり、自然発生的に音が小さくおとなしくなる場合は「静まる」と表現します。
「鎮める」と「静める」の違い
「鎮める」と「静める」の違いは「音」です。
「鎮める」は乱れた状態を落ち着かせる様子を指すのに対し「静める」は音が出ないようにする行為を指します。
どちらの言葉にも「興奮状態にあるものに平静を取り戻させる」という意味を持ちますが乱れた状態の解消を強調しているのが「鎮める」、音が小さくなり落ち着いた状態に戻った結果を強調しているのが「静める」という違いで区別されます。
まとめ
「鎮める」と「静める」はとてもよく似た意味合いの言葉であり置き換えて使われることもありますが本来の意味はまったく違います。
対処する相手の状態やどのような状態に戻したいのかに注目して言葉を使い分けてください。