「発給」と「発行」はどちらも同じような意味で使われる言葉ですが具体的にはどのような基準で区別されつか分けられているのでしょうか。
今回は、「発給」と「発行」の違いについて解説します。
「発給」とは?
「発給」とは、「効果のある書類や書面などを作成して与えること」を意味する言葉です。
「発給」は「行政や団体などが書類や書面などを作成し給付すること」を表します。
ただ書類や書面などを作成するだけではなく完成した書類や書面を求めている人に支給するときに用いられます。
基本的には特定の相手に対して作成し与えることを指し、不特定多数に対して作り出し与える場合には使われない表現です。
例えば、住民票は必要に迫られて市役所などに写しの作成を求め所定の手続きを経て求めた本人に与えられるので「発給」と表現されます。
一般的に「発給」という表現が用いられるのは「効果や効力があるもの」です。
住民票は公的な書類であり身分証明や住所確認に効果が認められているので「発給」という表現が用いられます。
通常は書類や書面そのものを指しますが転じて書類や書面によって認められる価値や権利を指す意味合いでも使われています。
「ビザを発給する」というとき「発給」されているのは入国を認める証書ですが、重要なのは証書によって認められる入国の許可のほうです。
書類と究極許可は不可分ではありますが文章の意味合いとして紙切れとしての証書よりも入国が許可されたことの方に重きが置かれています。
「発給」の使い方
・『10年使えるパスポートが発給された』
・『書類が発給されるまで1週間かかる』
「発行」とは?
「発行」とは、「印刷物を作成して世に出すこと」を意味する言葉です。
「発行」という言葉は本来「本や雑誌などの出版物を印刷して世間に発表すること」を意味していました。
現在ではそこから転じた「効果や効力を持つ印刷物を作成し通用させる」という意味合いでも使われておりどちらの意味も同程度浸透しています。
「発行」の使い方
・『全線開通50週年を記念して記念きっぷが発行される』
・『戦前に発行されたお札の中には高値で取引されているものがある』
「発給」と「発行」の違い
「発給」と「発行」の違いは「誰が作成しているのか」です。
「発給」は効果や効力を持つ印刷物を作成し特定の人に与えることを意味する言葉なので許認可権を持つ公的機関が作成するときに用いられます。
「発行」は出版物や印刷物全般に用いられる表現なので官民問わず用いられる表現です。
公的機関や公的な性質の強いものが書類などを作り出し与えるのが「発給」、官民問わず印刷物を作成し世に出すのが「発行」という違いで区別されます。
「発給」は与える相手が特定されているのに対し、「発行」は誰の手に渡るかはっきりしていないという違いもあります。
まとめ
「発給」と「発行」は似ているようで違う言葉です。
混同されることが多い言葉ですが正確な意味が伝わらなくなる恐れがあるのではっきりと区別し使い分けてください。