この記事では、「定石」と「定跡」の違いを分かりやすく説明していきます。
「定石」とは?
「定石」とは、囲碁で、昔から研究されていて最善とされる手順のことです。
そこから転じて、物事を処理する際の、最良の手順を「定石」と言います。
囲碁では、碁石と呼ばれる道具を使いますが、「定石」の文字からその様子がうかがえます。
「定跡」とは?
「定跡」とは、将棋で、昔から研究されていて最善とされる手順のことです。
そこから転じて、物事を処理する際の、最良の手順を「定跡」と言います。
「跡」には、「歩いた足跡、残したしるし」といった意味があります。
将棋では、軍隊のような名前の付いた駒を使います。
将棋盤の上を縦横無尽に駆け巡る駒の動きを、軍隊が残した形跡になぞらえて、戦術的な最善の動き方として研究された「定跡」が、将棋を学ぶ上での基礎となっています。
「定石」と「定跡」の違い
「過去の経験から学び研究された最善の手順」という意味を持つのが、「定石」と「定跡」です。
読み方は、どちらも「じょうせき」になります。
「定」には、「そうと決まった事」という意味合いがあります。
「石」は「囲碁の最善手順」というニュアンス、「跡」は「将棋の最善手順」というニュアンスが、それぞれ含まれていることが分かります。
このことから、違いは、言葉の成り立ちであると言えるでしょう。
「定石」は囲碁と密接な関係があり、「定跡」は将棋と密接な関係があります。
「定石」の例文
・『終盤の1点差の争いでは、バントでランナーを送るのは定石だ』
野球についての解説で、よく耳にするフレーズです。
野球は最終回を終えて、相手より1点でも多く得点していたチームが勝ち、というルールですから、終盤のクライマックスで進塁とアウトカウントひとつの価値の交換は、勝利に近づく定石としてよく使われている戦術です。
・『前人未踏のこの宇宙開発は、今後多くの定石が誕生していくだろう』
火星への有人惑星探査プロジェクト。
文字通り、前人未踏の挑戦です。
多くの失敗と成功の上にある開発ですが、常に危険と隣り合わせのプロジェクトでもあります。
最初の大きな成功を定石として、さらなる最善策が練られていくでしょう。
「定跡」の例文
・『定跡をなぞることが、上達への近道だ』
定跡は、先人たちが研究に研究を重ねた、最善の方法へのヒントになります。
・『この指示書は、定跡を詳しく解説している』
人員の配置、緊急時の動きなど、この指示書の定跡解説を理解すれば、支援活動の仕組みをより良くできるだろう。
過去の例をあげて分析された、とても分かりやすい指示書だ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「定石」と「定跡」は、先人たちの研究の成果と言えるでしょう。
多くの挑戦と失敗の上に成り立っています。
「あの時、このように対処していたら、どうなっていただろうか」という飽くなき探求心が、その道の「定石」や「定跡」を作りだしていくのでしょう。