普段の生活においては、通称も略称も普通に使われています。
通称と略称の違いについて紹介します。
通称とは?
通称とは正式な名称とは異なりますが、世間一般で通用している名称のことをいいます。
例えば、作家や漫画家は本名ではないペンネームを使用することが多くあります。
日本の推理小説家として知られる江戸川乱歩は、アメリカの小説家だったエドガー・アラン・ポーをもじってペンネームにしたといわれています。
また、日本文学「浮雲」の著者として知られる二葉亭四迷もペンネームです。
父親から「くたばってしめえ」と罵られたことから二葉亭四迷という名前にしたというエピソードがあります。
これらのペンネームは通称です。
それから俳優やタレントが芸名を付けて活動することもありますし、力士の四股名、プロ野球選手の登録名、格闘家のリングネーム等も通称です。
有名なのはメジャーリーグでも活躍したイチロー選手で、本名は鈴木一朗といいます。
オリックス時代の登録名が「イチロー」だったため、鈴木よりも通称であるイチローの方がよく知られています。
また、職場などで戸籍名とは異なる通称を使用することもあります。
その多くは結婚で苗字が変わったけれど、旧姓をそのまま使用したいという場合です。
日本では現在のところ夫婦別性が認められていないので、職場で通称を使用することを認める企業が増えています。
また、通称は人以外に使われることもあります。
香川県は特産品である讃岐うどんをアピールする目的で、「うどん県」を通称としました。
略称とは?
略称とは、地名や人名、団体名などの固有名詞について正式な名称の一部を省略して呼ぶことをいいます。
例えば、NATOは北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization)の略称です。
また、日本の政党である自由民主党も、自民党という略称で呼ばれています。
大学名などでも「東京」とつく大学はいくつもありますが、東大といえば東京大学をイメージします。
東大は東京大学の略称なので、他の東京がつく大学は東大とはいいません。
略称が生まれるのは正式名称を呼ぶのが長くて大変だったり、短い方が簡単という理由からです。
通称と略称の違い
通称は正式名称とは異なるものですが、略称は正式名称を省略したものになります。
正式名称と関係がないのが通称で、正式名称に関係しているのが略称です。
ただし、通称として使われている略称もあります。
例えば、DV防止法は正式名称を「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」といいます。
いちいち正式名称を言うのが大変なので、DV防止法という分かりやすい通称が使われています。
正式名称を短く言い換えたものなので略称でもありますし、通称でもあります。
まとめ
通称は正式名称とは異っているものの世間全般で通用する名称のことをいいます。
略称は正式名称の一部を省略したものです。