「なるべく」と「できるだけ」は、似通った意味を持つ言葉です。
「なるべく」と「できるだけ」には、どのような違いがあるのかを紹介します。
「なるべく」とは?
「なるべく」には、成り行きや状況に応じて可能な限りという意味があります。
漢字では「成る可く」と書きますが、漢字で書くことはまずありません。
「成る」は動詞で、人為的に何かしたわけではなく自然の変化によって別の状態になることをいいます。
それに古文の助動詞である「べし」の連用形「べく」が付いて、「なるべく」という言葉になりました。
「べし」には、実現していないことや確かではないことを推量するという意味があります。
「なるべく」の使い方
「なるべく」を使った具体的な例を幾つか挙げてみます。
・今夜は雨と風が強くなるという天気予報なので、なるべく早く帰ってきてください。
・道路が混雑しているので何時に着けるか分かりませんが、なるべく早く行くようにします。
・自炊する時は、なるべく緑黄色野菜を食べるようにしています。
・ピアノの発表会では、なるべく失敗せずに演奏できるように頑張ります。
「できるだけ」とは
「できるだけ」には、できる範囲のことは全てとか可能な限りといった意味があります。
積極的なニュアンスが含まれています。
可能であることを表す「できる(出来る)」と範囲や限度を表している「だけ」が組み合わさっています。
また、文脈によっては可能であればその範囲でという意味にもなります。
その場合、積極的なニュアンスは抑えられています。
「できるだけ」の使い方
「できるだけ」を使った具体的な例を幾つか挙げてみます。
・父と母が楽しみに待っているので、明日はできるだけ早く来てください。
・できるだけ溜まっている仕事を片付けておきたいので、今日は残業します。
・ゴミを捨てる時は、できるだけ分別をきちんとするようにしましょう。
・次の試験には合格するように、休日にはできるだけ勉強時間を確保します。
「なるべく」と「できるだけ」の違い
「できるだけ早く来てください」と言われた場合、努力して可能な限り早く来てほしいという意味で受け取ります。
そこには積極的なニュアンスが含まれています。
「なるべく早く来てください」と言われた場合、可能であれば早く来てほしいけれど無理だったら早く来なくてもいいといった意味で受け取ります。
つまり「できるだけ」は限界まで力を尽くすという意味で使われており、「なるべく」は力は尽くすけれど限界まではいかない状況になります。
ただし、文脈によっては「できるだけ」を「なるべく」と同じ意味で使っていることもあります。
まとめ
「なるべく」と「できるだけ」を比べてみると、「できるだけ」の方が可能な限りというような強い意味で使われることが多いです。
「なるべく」は、もし可能ならばといった弱いニュアンスで使われています。
ただし、「できるだけ」を「なるべく」と同じ意味で使うこともあり、はっきり区別されているわけではありません。