この記事では、「批評」と「批判」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「批評」と「批判」の違い
何か物事について述べる際に用いられることが多い「批評」と「批判」。
同じような意味として使用されていますが、実際のところ、「批評」と「批判」には少し異なった意味合いがあります。
まず、「批評」は、物事の良い悪い、是非などをよく考え、そして、その評価を述べる、示すといった意味があります。
この「批評」において、その物事に対し判断することはありません。
あくまでも、その物事に対し、考え評価するまでとなります。
一方、「批判」は、その物事に対し真偽や可否を検討。
そして、その結果において、判定または断定するといった意味となります。
そのため、「批判」の場合は、判断した結果となります。
このことからわかるように、「批判」には、「批評」し「判定」するといった意味が含まれているのです。
間違った意味として、「批評」、「批判」ともに人を責める際に使用する人もいますが、それは間違いです。
「批評」、「批判」ともに人を責める意味は全く含まれていません。
「批評」と「批判」の使い方の違い
判定、評価といった明確なニュアンスが含まれている「批判」とは異なり、その評価を述べる程度といった意味となる「批評」。
そのため、使い方も異なってきます。
「批評」の場合、「論文を批評する」といったように、その論文に対し良い、悪い、を考え、その評価を伝えるといった意味で用います。
一方、「批判」の場合、同じ○○するといった使い方でも、判断した結果という意味から強く自分の考えを主張する際に用いられることが多く、「政府を批判する」といった使い方となります。
このように、是非などについて考え、自分の考えを述べる場合は、「批評する」。
「批評」し、判断した結果を述べる場合は、「批判する」といった使い方の違いがあります。
「批評」と「批判」の英語表記の違い
「批評」は英語で、critique; criticismです。
「本の批評を書く」は、write a review about the book
「批評家」は、a critic、a reviewer
「文芸[美術]批評家」は、a literary [an art] criticとなります。
「批判」は英語で、criticismです。
「痛烈な批判」は、severe criticism
「批判的な態度をとる」は、take [【形式ばった表現】 assume] a critical attitude 《to, toward》、take a dim view 《of》
「批判的な目で見る」は、look 《at something》 critically [【形式ばった表現】 with a critical eye]となります。
「批評」の意味
物事の良い、悪い、善悪、是非、などをよく考え、その結果を述べることといった意味を持つ「批評」。
そのため、「批評」には、その物事に対し明確な判定を示すといった意味合いはありません。
あくまでも、よく考えた結果を述べる、相手に伝える、といった意味となります。
物事に対し、良い、悪いと結果だけではなく、その結果に至る理由などを踏まえ述べる、伝えるという意味が強くなります。
もちろん、この「批評」の中には、ポジティブな考えもネガティブな考えも含まれます。
「批評」の使い方
「批評」の使い方としては、物事の良い、悪いなどについて考え、その考えを述べるといった意味で使用するため、自分が「批評する」、相手から「批評される」、「批評を求められる」といった使い方のほか、「批評家」、「批評的」といった使い方があります。
「批評」を使った例文
・『映画評論家の批評を確認してから、見に行く映画を決めたいと思う。』
・『美術の専門学校では、生徒同士でお互いの作品について批評することが多い。』
・『教授に論文を批評してもらうことができ、とても参考になった。』
・『他人に自分の作品を批評してもらうことは、今後の励みにもなります。』
「批評」の類語
物事について、真剣な調査と判断を意味する「批評」の類語として、品評、品定、レビューなど。
批判的に評価するといった意味としては、講評、論評、評論などが類義語となります。
「批評」の対義語
「批評」には、明確な対義語はありません。
「批判」の意味
物事に対し、検討し判断、評価するといった意味を持つ「批判」。
「批判」の場合は、明確にする、判断するといった意味が強くなり、物事に対しはっきりとした意見を述べるといった意味が強くなります。
一般的に「批判」の場合、ネガティブな意味として用いられることが多くなりますが、必ずしもネガティブな意味だけで使用する言葉ではなく、ポジティブな意味としても使用することができます。
そのため、「批判」されたからと言って、必ずしも悪い評価だということはありません。
「批判」の使い方
「批判」の使い方として、物事の良い、悪いなどについて考え、判定する、判断するといった意味として使用するため、自分が「批判する」、相手から「批判される」、「批判を受ける」といった使い方のほか、「批判的」、「批判の声」といった使い方があります。
「批判」を使った例文
・『喧嘩になると、いつも相手のことを批判してしまう。』
・『自分の考えに対し、周囲から多くの批判を受けることになった。』
・『周りから批判されることを覚悟したうえで、実行したいと思っています。』
・『徹底的に批判されるとメンタルがやられてしまいます。』
「批判」の類語
論理的に正しい結論といった意味としての「批判」の類語は、裁き、審判、判断力、分別、鑑識、判断などがあります。
「批判」の対義語
「批判」の対義語には、賛同、同情、称賛、絶賛などがあります。
まとめ
このような違いがある、「批評」と「批判」。
どちらも、ネガティブ、ポジティブが含まれており、「批判」するためには、「批評」し「判断」しなければいけません。
