似たような意味で感じも似ている言葉として「召集」と「招集」があります。
このふたつはどのような基準で区別されているのでしょうか。
今回は、「召集」と「招集」の違いについて解説します。
「召集」とは?
「召集」とは、「身分の高い者が多くの人を呼び集めること」を意味する言葉です。
「召集」の使い方
「召集」は「召し集める」ことを指します。
召し集めるとは呼び寄せるの尊敬語「召す」と「集める」から成る言葉で「身分の高い人が身分の低い人に対して呼びかけを行い自分のもとに集めること」を表します。
基本的に「召集」という表現は身分の高い特定の人が身分の低い大勢の人に対して呼び集める時に使われる表現ですが、対象が一人や少数の場合でも正式な手続きを通じて自分のもとに来るように手はずを整える時には「召集」という言葉を使います。
「召集」される側の立場からすると呼び集めている人は自分よりも上の立場にいる人や身分の高い人なので特に明記されていなくても強制力が伴います。
「召集」に対して拒否したり断ったりすることも可能ですが可否を問われているのではなく一方的に集まるよう要求されているのが「召集」なので応じないと不利益が生じる可能性があります。
「招集」とは?
「招集」とは、「多くの人を招き寄せ集めること」を意味する言葉です。
「招集」の使い方
「招集」は多くの人を集める必要がある時に用いられる表現です。
身分の上下や立場の違いを気にせず使える表現で平等な権利や立場の人が集まる会合などに多くの人を呼び寄せる場合は「招集」という言葉が適切です。
街道や集いなどを成立させる目的で人を招き集めるために使う言葉なので構成員の一人として上の立場にある人に対して「招集」という表現を用いても賦形には当たりません。
会議や会合などでは事務手続きを主催者やトップではなく幹事などが行いますが、幹事名義で人を呼び集める場合は身分の上の人にも呼びかけを行うので身分の上下を問わない「招集」がふさわしい表現です。
「召集」と「招集」の違い
「召集」と「招集」の違いは「身分」です。
「召集」は上の身分の人が下の身分の人に対して呼び集めることを表すのに対し、「招集」は身分の上下に関係なく人を招き呼び集めることを表します。
「召集」を「招集」に置き換えるのは問題ありませんが、「招集」を「召集」と置き換えると問題が生じる可能性があります。
国会議員が参加する国会は天皇によって開かれるので「召集」という表現を用いますが、地方議会は身分的な違いのない首長が議員を呼び集めるので「招集」が正しい表現です。
「召集」の例文
・『国王が国会議員を召集して議会が開催された』
・『皇帝により召集された軍隊が国境沿いに配備される』
「招集」の例文
・『マンションの住民総会を開催するため管理組合の理事が住民全員を招集した』
・『株主総会開催のため全株主に招集の案内を送付する』
まとめ
「召集」と「招集」は意味が非常に近しく漢字も似ていることから混同に注意が必要な表現です。
間違った使い方をしないようにそれぞれの言葉が持つ正確な意味と使うべきふさわしい場面を覚えておきましょう。