ずっと悩んでいたけれど結局は心配無用だったとき、「取り越し苦労」と言いますか、それとも「杞憂」と言いますか。
この記事では、「取り越し苦労」と「杞憂」の違いを分かりやすく説明していきます。
「取り越し苦労」とは?
確実に起きるかどうか分からないことを、あれこれと悪い方に想像して心配することです。
「杞憂」とは?
周代、杞の国の人が天は落ちてこないかと心配したという列子天端の故事による言葉で、あれこれと無用な心配という意味です。
杞人の憂いとも言います。
「取り越し苦労」と「杞憂」の違い
「取り越し苦労」と「杞憂」の違いを、分かりやすく解説します。
「取り越し苦労」と「杞憂」は、両方ともほとんど同じ意味で、必要のない心配するときに使います。
「取り越し苦労」は日本でできた慣用句で、「杞憂」は中国の熟語です。
言い換えも可能ですが、「取り越し苦労」は日常会話で使われることが多く、「杞憂」はビジネス上など、かしこまった雰囲気のときに用いられることが多くなります。
「取り越し苦労」の例文
「取り越し苦労」の例文を紹介していきます。
・『私は息子にはできないと思って心配していましたが、取り越し苦労でした』
子どもを持つ親は心配事が絶えませんが、意外な力を発揮し成長を感じることもあるため、「取り越し苦労」も多くなるでしょう。
・『私は部屋に大きな毛虫がいると思い腰が抜け、一日中何もできませんでしたが、帰宅した主人が確認したところ毛糸だと分かり、取り越し苦労で終わりました』
全く心配の必要がないことで、とても心配してしまうときに当てはまります。
誰もが心配してしまうような原因があるときには「取り越し苦労」と「杞憂」は当てはまりません。
・『取り越し苦労かもしれませんが、彼は不誠実そうな顔に見えます』
ほとんど根拠はないようなことで不安になってしまうときに使われます。
「杞憂」の例文
「杞憂」の例文を紹介していきます。
・『杞憂かもしれませんが、今一度課長に相談してみるのはいかがでしょうか』
ビジネスで使うことも多く、余計なお世話かもしれませんが、と言うより、丁寧に表現できます。
この場合の「杞憂」は謙遜しているだけで、本当に要らない心配で余計なことが言いたいわけではありません。
真摯に受け止めましょう。
・『書類が足りないと思い、何枚も印刷しましたが杞憂に過ぎませんでした』
大事な仕事の前など、落ち着かないため必要以上に心配し、要らないものまで用意してしまうこともあるでしょう。
・『彼女は心配してばかりで何もしませんが、杞憂でしかないと思います』
何か行動する前に不安な気持ちが勝ってしまい、結局何もしないままになる人はよくいます。
まとめ
「取り越し苦労」と「杞憂」は両方とも同じ意味で無用な心配ということを表しますが、言葉の成り立ちが違い、使う場面が少し違います。
「取り越し苦労」は日本の慣用句で、日常会話でよく使い、「杞憂」は中国の故事の熟語になり、ビジネス上で使われることがあります。
「取り越し苦労」も「杞憂」も貴重な時間を無駄にしてしまうことが多く、それを続けると、本当はできたこともできなくなってしまい、結果損することになります。
やり直しができることで、命に関わることでなければ、失敗することは考えず一度挑戦してみましょう。