この記事では、「正直」と「素直」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「正直」と「素直」の違い
「正直」とは、曲がったところがなく、道理にかなっていて、人をだますことがないこと、またそのさまです。
また、副詞的に使って、本当のところという意味になります。
「素直」には、5つの意味があります。
1つめは、実際の通りで飾り気がないさまです。
2つめは、性質や態度が落ち着いていて、ゆがんだところがないさまです。
3つめは、物の形がまっすぐで、ねじれているところがないさまです。
4つめは美術などの技術、歌舞や音曲などの芸能に癖がないことです。
5つめは、物事を妨害することがなく、滞ることなく進むことです。
どちらの言葉にもまっすぐ、ただしいという意味を持つ漢字の「直」が使用されている通り、まっすぐである、ただしいという意味が含まれています。
「素直」には複数の意味がありますが、「正直」と意味が似ているのは、性質や態度が落ち着いていて、ゆがんだところがないさまです。
この意味では、どちらも性質や態度のことを指しており、大きな違いはありません。
「素直」は複数の意味があり、その点に違いがあります。
「正直」と「素直」の使い方の違い
曲がったところがなく、道理にかなっていて、人をだますことがない、またそのさまという意味で使用する2つの言葉です。
「素直」はこの意味以外にも、飾り気がない、物が曲がっていない、美術や歌舞などに癖がないといった意味も持っており、こういった意味でも使用されます。
これらの意味では「正直」は使用しません。
「正直」と「素直」の英語表記の違い
「正直」は英語で“honesty”や“frankness”や“integrity”と表現をします。
「素直」は英語で、性質が穏やかな意味では“gentle”や“mild”と表現をします。
「正直」の意味
「正直」とは、道理にかなっていて、人をだますようなことがない、またそのさまです。
Aさんはお母さんが大切にしていたコップを落として割ってしまいました。
そのとき、Aさんのお母さんはその場におらず、どうしてコップが割れたのか知りません。
Aさんのお母さんが帰宅をして、大切にしているコップが割れていることを目にし、「誰が割ったの」と怒りを表しました。
このとき、自分が叱られるのを嫌ってコップを割ってしまったことを隠す人がいますが、この態度は「正直」ではありません。
コップを割ったということを隠して、お母さんをだましていることになるからです。
Aさんはお母さんに、自分がコップを割ってしまったことを話しました。
この態度は、嘘偽りがないといえるでしょう。
こういった態度のことを指す言葉です。
また、副詞として使用をすると、本当のところという意味になります。
ありのままで隠すところなくという意味合いです。
ある飲食店は長蛇の列ができるほど注目されています。
このような店なので、さぞかしおいしい料理なのだろうと考えていました。
しかし、実際に店で料理を食べてみるとごく普通です。
こういったとき「正直なところ~」などと表現をします。
「正直」の使い方
曲がったところがない、嘘偽りがないといった意味で使用をします。
幼稚園生くらいの子どもは、人の目を気にせずに思ったことを正直に話すことが珍しくありません。
小さな子どもの発言には、嘘偽りがないのです。
このようなさまを指して使用をします。
また、副詞として、本当のところという意味でも使用されます。
「正直」を使った例文
・『正直すぎてびっくりした』
・『正直な気持ちを聞かせてください』
・『彼の正直なところが大好きです』
・『彼は正直で信頼できる』
「正直」の類語
「真っ正直」「馬鹿正直」「善良」が類語です。
「真っ正直」は、真に曲がったところがないさまで、「正直」を強めたいい方です。
「馬鹿正直」には、まっすぐすぎて、その時々にあった適切な対応を取れないという意味があります。
「善良」とは、性質がよいことです。
「正直」の対義語
「不正直」が対義語です。
「素直」の意味
「素直」には、5つの意味があります。
1つめは、よく見せようと装飾を施さないことです。
手を加えられていない、自然に近い状態といった意味になります。
2つめは、性質や態度などが落ち着いていて、曲がったところがないことです。
姑が嫁に対してアドバイスをしました。
姑のことなんて嫌い、姑の言うことは聞きたくないという嫁であれば、姑のアドバイスに従わないことでしょう。
このような態度は「素直」ではありません。
姑と嫁の例でいうと、姑のアドバイスを落ち着いて聞き、ひねくれることなく従うことを「素直」といいます。
3つめの意味は、物の形にねじれがないことです。
髪の毛の場合だと、ストレートなことを指しています。
4つめは、美術などの技術、歌舞や音曲などの芸能に癖がないことです。
美術や歌舞などは、その人の特徴が強くでる場合があります。
そのような状態を癖があると表現します。
この言葉は、そういったものがないことを意味しています。
5つめは、物事を妨害するものがなく、滞りなく進むことです。
「素直」の使い方
複数の意味がありますが、2つめの意味で使用されることが多くあります。
人がいったことをそのままに受け取る、性格にねじれたところがないといった意味になります。
「素直」を使った例文
・『素直に謝ったらどうなの』
・『彼はとても素直な人です』
・『素直に言ってください』
・『素直じゃないな』
「素直」の類語
「柔順」「温順」が類語です。
「柔順」には、性質や態度に曲がったところがなく静かという意味があります。
「温順」とは、性格や態度が穏やかで、人と反対の方向に行こうとする性質がないことです。
「素直」の対義語
「ひねくれる」が対義語です。
まとめ
まっすぐ、ただしいという意味を持つ漢字の「直」が使用されている2つの言葉です。
まっすぐ、ただしいという点は意味が似ているのですが、「素直」には複数の意味があり、「正直」が持っていない意味もあります。