この記事では、「背景」と「目的」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「背景」と「目的」の違い
「背景」には、3つの意味があります。
1つめは、絵画や写真の主要題材の後ろにある景色のことです。
2つめは、書き割りのことです。
3つめは、物事の隠れた事情のことです。
「目的」には、実現しようと目指す事柄という意味があります。
「背景」には複数の意味がありますが、その中でも3つめの意味である、物事の隠れた事情が「目的」の意味と混同されてしまうことがあります。
たとえば、「人生の目的は出世だ」といったり、「出世の背景にあるもの」といったり、同じような場面で使われます。
しかし、2つの言葉が意味するものはまったく違います。
「目的」の場合は、目指すもののことです。
温泉に入ることを「目的」に旅行に行く、結婚を「目的」に結婚相談所に入会する、支援を「目的」に人員を派遣するなどを、目指すものということができます。
「背景」の場合は、ある事柄の隠れた部分のことです。
旅行に行ったには実は見せかけで、借金取りから逃げているのかもしれません。
結婚相談所に入会をしたのは、親にうるさく結婚しろといわれたからかもしれません。
こういった隠れた部分のことをいいます。
「背景」と「目的」の使い方の違い
「背景」には複数の意味があり、それぞれ使い方が違います。
絵画や写真の主要題材の後ろにあるものの意味では、絵画に興味がある人や写真を撮る人が使うことが多いです。
書き割りの意味では、日常の中で使うことはあまりありません。
物事の隠れた部分の意味では、「事件の背景には男女関係があるようだ」のような使い方をします。
「目的」は目指すもののことを指して使用し、抽象的なものにも用いられることがあり、使用範囲は広いです。
「背景」と「目的」の英語表記の違い
「背景」は英語で、絵画などの後ろの景色の意味では“background”、書き割りの意味では“scene”や“scenery”、物事の事情の意味では“background”と表現をします。
「目的」は英語で“purpose”や“aim”と表現をします。
「背景」の意味
「背景」には、3つの意味があります。
1つめは、絵画や写真などで主要題材の後ろに景色のことです。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」と呼ばれる絵画でいうと、主要題材が女性で、「背景」にあたるものは女性の後ろにある山や川のようなものです。
2つめは、部隊の後ろ側を仕切る絵のことです。
これを書き割りといいます。
3つめは、物事の隠れた部分にある事情のことです。
猫に食べさせると危険なものを紹介した書籍があります。
この書籍が出版されることとなったのは、室内の環境が変化してきており、人間にとっては安全でも猫にとっては危険はものもあり、事故を防いで欲しいという事情があるようです。
このような事情は、表側からは見ることができません。
隠れた部分にある事情が「背景」です。
「背景」の使い方
絵画や写真の後ろにある景色のことを指して「背景」といいます。
書き割りの意味では、舞台関係者の間で使用されます。
また、物事の隠れた部分の意味でも使用されます。
「背景」を使った例文
・『山岳地帯を背景にした写真』
・『売り上げが急激に伸びた背景』
・『学校教育を受けられない背景には貧困がある』
・『事件の背景には有力者が絡んでいる』
「背景」の類語
「バック」が類語です。
背中、背景、後ろ盾などの意味があります。
「背景」の対義語
絵画や写真などの後ろの景色の意味の対義語は、「前景」になります。
主要題材の前に取り入れる景色という意味があります。
「目的」の意味
「目的」とは、実現を目指す事柄のことです。
ある人が地域の写真を撮り、展示会を開催しました。
なぜこのような活動を行ったかというと、地域を活性化したかったからです。
この場合は、地域を活性化するというのが目指す事柄で、その事柄を「目的」といいます。
「目的」の使い方
実現しようと目指す事柄を指して使用をします。
事柄のことであり、行動のことではありません。
「○○万円売り上げ達成」のような具体的なものではなく、「人生の目的は出世」のような、抽象的な目指す事柄であり、内容に重きを置いています。
「目的」を使った例文
・『目的に応じて道具を使い分ける』
・『地域の魅力を伝えることを目的に活動をしています』
・『支援を目的に人員を派遣する』
・『貯金をする目的』
「目的」の類語
「目標」「目当て」が類語です。
「目標」には、実現を目指す事柄という意味があります。
「目的」よりも具体的です。
「目当て」には、目標とするものという意味があります。
「目的」の対義語
「無目的」が対義語です。
目的を持たないという意味があります。
まとめ
似たような場面で使われる2つの言葉なので、意味も似ているのではと感じますが、2つの言葉が持っている意味はまったく違います。