この記事では、「云く」と「曰く」の違いを分かりやすく説明していきます。
「云く」とは?
云くは、いわくという読み方をすべき言葉です。
文字で記されたこの言葉を目にすれば一目瞭然な事でしょうが、いわくやいうといった意味の云の漢字に、平仮名のくを加える事で完成した言葉となっています。
以上の点から云くは、言う事にはという意味を表すのです。
「云く」の使い方
云くは、~が言うには、といった意味を表す際に使われる言葉となります。
具体的には自分の意見ではなく、他人の意見を引用して述べる際にこの言葉が使用されるケースが多く見られるのです。
例えば、友人云く~や、父親云く~といった形式で、友人や父親が発言した言葉や意見等を紹介する際の前置きの言葉として、云くが使われる事が少なくありません。
「曰く」とは?
曰くとは、いわくという読み方をする言葉となっています。
文字で書かれたこの言葉を見れば理解可能な事ですが、いうやのたまう、いわれ等の意味を持っている曰の漢字に、くの平仮名を付け足す事で成立した言葉です。
だからこそ曰くは、~が言うにはや隠れた事情といった意味を示します。
「曰く」の使い方
曰くは、~が言う事にはという意味として用いられる言葉です。
基本的に文章表現として見られる事が多い言葉で、先生曰く~といった形式で、先生が言うには、といった意味を表現する事が出来ます。
とはいえ漢文や古文で良く使用される、古い言葉です。
更に曰くは、隠された理由がある、という意味を表現する際に用いられています。
曰く付きの物件、という表現でその物件には隠されたネガティブな事情があるという意味を、示す事が可能です。
「云く」と「曰く」の違い
云くと曰くの文字表記を見比べてみれば、即座に最初の漢字が云と曰という明らかな違いがある事に気付く事が出来ます。
所がややこしい事にその後に続くのが、同じくの文字であり、読み方も同じいわくで、持つ意味合いにも共通する部分があるのです。
そのためいざ使い分けを意識すると、どちらを使うべきかで迷ってしまう人も珍しくありません。
ただし最初の漢字が違う事により、表現する意味にも違いを見付ける事が出来ます。
まず云くは、~が言う事には、という風に他者の意見や発言を引用する際に、使用される言葉です。
一方の曰くも同様に、~が言うには、という同じ意味を持ち、同様の使い方が出来ます。
ですがこの曰くにはもう1つ、隠れた事情という意味にも用いる事が出来る言葉です。
まとめ
2つの言葉は、2文字目に同一の、くの文字が使用されていて、読み方も同じで、しかも同じ意味を持つ言葉同士です。
もっとも最初の漢字に違いがある事で、示す意味の幅に相違点があるので、そこをきちんと踏まえる事で難なく使い分けを行う事が出来ます。
ちなみに云くは、~が言う事には、という風に他人の意見等を引用する際の前置きの言葉として使われるのです。
対する曰くは、云くと同じ他の人の意見等を引用する際の言葉として、使用出来ます。
加えて、打ち明けるべき隠された事情、という意味にも用いる事が可能です。