濡れ衣と冤罪は意味が似ている言葉です。
しかし、微妙に意味や使い方は異なっているので、どのような違いがあるのかを紹介します。
濡れ衣とは?
濡れ衣とは、身に覚えのない罪を着せられることや根拠のない噂のことをいいます。
読んで字のごとく濡れた衣服という意味もありますが、身に覚えのない罪を着せられるという意味で使われることの方が圧倒的に多いです。
その語源には諸説ありますが、継母に妬まれた娘が無実の罪をかぶせられてしまった説が有力です。
美しい娘を妬んだ継母が娘の枕元に漁師の濡れた衣服を置いておいたら、漁師と通じたと誤解した父親が娘を斬り殺してしまったという説に由来します。
濡れ衣の使い方
濡れ衣を使った具体的な例を幾つか挙げてみます。
・加害者とされる人物は濡れ衣を着せられただけで本当は何もしていない。
・職場できちんと情報を伝えなかったのは私だと濡れ衣を着せられている。
・亡くなってしまった弟の濡れ衣を晴らしたい。
・彼女の家から宝石を盗んだというのは濡れ衣だ。
濡れ衣は日常的に使われている言葉で、犯罪を犯した場合以外に使われることもあります。
あらぬ疑いをかけられてしまった場合などです。
冤罪とは?
冤罪とは罪を犯していないのに、犯罪者として扱われてしまうことをいいます。
法律の分野で使われることが多い言葉で、刑事訴訟で有罪判決を受けた場合に使われることもあれば捜査段階で容疑者として扱われた場合が含まれることもあります。
冤罪は、無実の罪と言い換えることもできます。
冤罪の「冤」という漢字はウサギがおおいの中で身を縮めている様子を表しています。
「冤」には、この1字だけで無実の罪で陥れられるという意味があります。
冤罪の使い方
・彼は冤罪で20年以上も刑務所に入れられていた。
・電車に監視カメラを設置するのは痴漢の冤罪を防ぐ取り組みの一つだ。
・人が判断する以上、この世の中から冤罪が無くなるとは思えない。
・警察は冤罪を生まない捜査を目指しているが、まだその取り組みは十分とはいえない。
濡れ衣と冤罪の違い
濡れ衣は日常的に使われる言葉です。
犯罪に対しても使われますが、日常で起こる失敗や根拠のない噂などにも使われています。
それに対して冤罪は法律の分野で使われる言葉で、犯罪に対して使われことがほとんどです。
例えば、職場で何か備品を壊してしまったことを疑われたような場合には、犯罪とは違うので濡れ衣を使用するのが適切です。
裁判で有罪判決を受け、無実の罪を晴らしたいという時には濡れ衣よりも冤罪を使う方が適しています。
まとめ
濡れ衣と冤罪の違いは、日常的に使われる言葉なのか犯罪に対して使われる法律用語なのかにあります。
日常的に使われているのが濡れ衣で、犯罪だけではなく失敗や根拠のない噂などにも使われています。
冤罪は無実にもかかわず裁判で有罪判決を受けたり、捜査段階で容疑者として扱われた場合などに用いられます。