「設置」と「置く」はとてもよく似た意味を持つ言葉ですがいったいどのような基準で使い分ければよいのでしょうか。
今回は、「設置」と「置く」の違いについて解説します。
「設置」とは?
「設置」とは、「人や物をそれぞれの位置につけること」を意味する言葉です。
「設置」の使い方
「設置」というのは「継続的に使用する目的でその場所に据え置く」ことを意味します。
一時的だったりすぐに異動させる目的だったりする場合には「設置」という言葉は使われません。
「設置」の「設」という字には「しつらえる」という意味があります。
しつらえるとは「ある場所に用意する」「そのために作る」など「特定の目的のために人や物を決まった場所に備え付ける」という意味があります。
「設置」とっは「設えて据え置く」ことであり「これから長く使い続けるために決まった場所に備え付けること」をあらわす言葉です。
人や物以外にも組織や仕組みを作ることも「設置」と表現します。
「対策本部を設置」という場合は実際に対策本部の場所や人員を確保するという意味合いも含みますが「組織内に対策本部という部署を設ける」ことを表しています。
物理的なものだけではなくシステム的なものに対しても使われる表現です。
「置く」とは?
「置く」とは、「人や物をある場所の上に移動させとどめること」を意味する言葉です。
「置く」の使い方
「置く」という言葉はあまりにも一般的なためあらためて説明しにくい言葉です。
直接的に説明するならば「人や物をある場所に位置させること」となります。
もっと簡単にいうと「移動させ静止状態をたもつこと」が「置く」です。
「置く」で重要なのは「運動しない状態を維持すること」です。
物品を場所に「置く」場合、その瞬間から静止状態が継続する必要があります。
移動させた途端に滑って動いたり位置することなくふらふらと移動し続けたりする場合は「置く」が成立しません。
その場所にじっととどまっている状態を「置く」と表現します。
「設置」と「置く」の違い
「設置」と「置く」の違いは「継続性」と「手間」です。
「設置」は一定期間その状態を継続させることを前提にしており、さらにその状態にするのにある程度手間がかかる時に用いられる表現です。
「置く」は継続性の有無にかかわらず使われる言葉で特殊な作業を必要とせず手を離しその場に位置させることを意味します。
これからしばらくの間動かないようしっかり固定してとどめておくのが「設置」、やり方や状態にかかわらずその場所に位置させてとどめておくのが「置く」という違いで区別されます。
「設置」の例文
・『防犯のため玄関に監視カメラを設置する』
・『エアコンの設置工事が行われるため明日いっぱいビルは封鎖され関係者以外誰も中には入れない』
「置く」の例文
・『机の上に本を置く』
・『駐輪場はいっぱいで自転車を置くところがない』
まとめ
「設置」と「置く」は意味が共通する部分も多く言い換えられることも多い言葉ですがはっきりとした違いもあるため安易な言い換えには注意が必要です。
どのような場面で使う言葉なのか、それぞれの意味を正確に覚えておきましょう。