この記事では、「平素は」と「平素より」の違いを分かりやすく説明していきます。
「平素は」とは?
「平素」は「へいそ」と読みます。
「ふだん、つね日ごろ」といった意味があり、断定を表す助詞「は」が付いています。
ですから、「平素は」とは、「ふだんは、日ごろは」といった意味合いになります。
「平素より」とは?
「平素より」には、「より」という助動詞が付いています。
この助動詞「より」には「時・起点」と「比較」の2つの意味合いがあります。
「平素より」のケースでは、「時・起点」の機能が働いています。
ですから、「平素より」は、「ふだんから、日ごろから」という意味合いになります。
「平素は」と「平素より」の違い
「平素は」の「は」は、助詞としての働きがあります。
助詞は、“名詞”を含む「主語」を強調する機能を持っています。
ですから、「平素」つまり、「日ごろ」という事を強調するための助詞「は」であることが分かります。
つまり、「平素は、〇〇である」というニュアンスの言い回しが続きます。
一方で、「平素より」の「より」は、助動詞としての働きがあります。
助動詞は、“動作”や“状態”を表す「用言や体言」に意味を持たせる機能を持っています。
ですから、「平素」つまり「日ごろ」という言葉に、「過去から今日まで」という意味合いを持たせていることが分かります。
つまり、「平素より、〇〇になっている」というニュアンスの言い回しが続きます。
「平素は」の例文
それでは、ビジネスシーンにおいて「平素は」を使った実際の例を見てみましょう。
・「平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」
読み方を細かく見ていくと、「へいそは、かくべつの、ごこうはいを、たまわり、あつく、おんれい、もうしあげます」となっています。
「格別の」は「特別の」という意味のより丁寧な言い方です。
「ご高配」は、「心遣い」の最上級の丁寧な言い方です。
この言い回しを、「平素は〇〇である」に当てはめると、「日ごろは、特別な心遣いだ」というニュアンスになります。
「賜る」は「もらう」の最上級の敬語表現で、その後に丁寧な敬語でお礼を述べているわけです。
つまり、「日ごろから、特別な心遣いをもらっていて、とても感謝しています」という意味を、最も丁寧な敬語表現で言い表した言葉が、この例文になります。
「平素より」の例文
ここでは、「平素より」を使ったビジネスシーンでの例文を見てみましょう。
・「平素よりご厚情を賜りありがとうございます」
助動詞「より」の働きによって、「平素」に「いつからいつまで」という意味合いを与えています。
ですから、「平素より」には、「過去から今日までいつも」というニュアンスが含まれています。
「ご厚情」は、「思いやり」という意味をとても丁寧に表現した言葉です。
つまり、「過去から今日まで、いつも思いやりをくれて、本当にありがとう」というニュアンスを、とても丁寧な敬語表現で言い表した言葉と言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「平素は」と「平素より」には、助詞と助動詞が深く関わっていることが分かりました。
これによって、ニュアンスの違いを感じ取ることが出来ます。
こういった言葉の機能を学ぶことで、日本語の美しさと機能性を理解することが出来るでしょう。