「絶滅危惧種」と「天然記念物」には違いがあるのか。
あるのなら、どのような違いなのか。
この記事では、「絶滅危惧種」と「天然記念物」の違いを分かりやすく説明していきます。
「絶滅危惧種」とは?
「絶滅危惧種」は、その名前の通り絶滅が危惧されている生物の種類となります。
危惧とは、危ぶみ恐れることです。
絶滅が危ぶまれ恐れられている生物の種類が「絶滅危惧種」なのです。
それらは、国際自然保護連合や環境省、47都道府県の自治体などで作成されレッドリストと呼ばれるもので管理されています。
「絶滅危惧種」には、9つのカテゴリーがあり、それぞれのカテゴリーで「絶滅危惧種」が管理されています。
そのなかには既に絶滅したと考えられている種類もあり、カテゴリーによって捕獲禁止などが設定されています。
「絶滅危惧種」が多い国にはエクアドルやアメリカ、マレーシア、インドネシアが上位を占めています。
「絶滅危惧種」となる主な動物には、レッサーパンダやホッキョクグマ、アジアゾウ、ジャイアントパンダ、シロサイ、チンパンジーなど日本でも人気のある動物が並んでいます。
「天然記念物」とは?
「天然記念物」は、天然のもの。
つまり、自然のものの中で重要なものとなるようなものを指します。
学術的な価値を重視したものとなり、その個体数などは関係ありません。
生息数が多くても学術的に高い価値があるとなれば、それは「天然記念物」となります。
「天然記念物」は文化庁の管轄となり文化財保護法及び文化財保護条例で指定されます。
あくまでも、文化的な視点で重要な生き物である、貴重な生き物である、といった場合に適応されるものとなります。
国指定の「天然記念物」だけでも1,000件以上あり「特別天然記念物」は75件ほどとなります。
コウノドリやオオサンショウウオ、カモシカ、トキ、イリオモテヤマネコなどが主な「天然記念物」です。
「絶滅危惧種」と「天然記念物」の違い
「絶滅危惧種」と「天然記念物」は全く別物です。
審査基準も異なります。
「絶滅危惧種」は、絶滅しそうな生物を指し国際自然保護連合や環境省などでレッドリストと言われるものが作成され管理されています。
一方、「天然記念物」の場合、個体数は関係ありません。
学術的に価値があると考えられるものに対し指定されるものとなります。
絶滅しそうな野生生物に対するものが「絶滅危惧種」。
学術的、文化的に価値のある自然のものが「天然記念物」。
この点に大きな違いがあります。
例を挙げると奈良公園にいるシカは個体数が増えすぎているぐらいですが、学術的に価値があるため「天然記念物」に指定されています。
まとめ
以上が「絶滅危惧種」と「天然記念物」の違いです。
同じように思われることも多いですが、全く異なった視点で指定されるものとなります。
「絶滅危惧種」はその個体数を。
「天然記念物」は学術的な価値を。
それらの視点でそれぞれ選出され管理されています。