「恩恵」と「恩寵」の違いとは?分かりやすく解釈

「恩恵」と「恩寵」の違い生活・教育

似たような意味で使われる言葉として「恩恵」「恩寵」があります。

このふたつの言葉にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。

今回は、「恩恵」「恩寵」の違いについて解説します。

「恩恵」とは?

「恩恵」とは、「他者の功績や自然の恵みなど自分の努力によらず手に入れる幸福や利益」を意味する言葉です。


「恩恵」の使い方

「恩恵」が意味するのは「他の存在からもたらされる幸福」です。

働いて稼いだり体を鍛えて健康になったりなど自分の努力や苦労を通じて獲得した幸福ではなく「自分の行動とは関係なく他者によってもたらされた幸福」「恩恵」といいます。

「恩恵」の本来の意味は「天の恵み」です。

神や天使など人知の及ばない超常的な存在や超常的な存在によってこの世に生み出された天然自然によってもたらされる「人の手ではどうすることもできないかけがえのないもの」が本来の「恩恵」であり湧き水や食べられる植物、野生動物から得られる食肉など人間がどうがんばっても生み出せない、ありがたいものを表します。

現在では神や自然から持たされるものだけに限らず「自分以外からもたらされる恵み」全般を指す表現です。

隣の店が繁盛したおかげで自分の店にも客が増える、競争が起きたことで販売価格が下がるなど「他者の行為によって生じる自分の利益」「恩恵」です。


「恩寵」とは?

「恩寵」とは、「神様が人間に与える恵み」を意味する言葉です。

「恩寵」の使い方

「恩寵」というのはキリスト教で使われる言葉で「神の愛」を意味します。

キリスト教では天上の神が人間を見守っていると考えられていますが、人間を見守る神が人に対して与える愛やもたらす幸福を指して「恩寵」と表現します。

「恩寵」「寵」には「めでる」「かわいがる」という「慈しみを持って接する」という意味があります。

「恩寵」というのは神が人間に対してむける慈しみであり、慈しみの心によってもたらされる結果としての利益や幸福を指す言葉です。

例えば作物を育てるために必要な雨が降ったり太陽で明るく大地を照らしたりといった「人にとって利益となる人知の及ばない現象」がキリスト教でいうところの「恩寵」です。

「恩恵」と「恩寵」の違い

「恩恵」「恩寵」は本来同じ意味の言葉でどちらも神によってもたらされる恵みを指していました。

現在では意味が区別されて使い分けられるようになり神を含む自分以外の他者によってもたらされる利益や幸福を「恩恵」、神に限って使われるもたらされた利益や幸福を指す言葉が「恩寵」という基準で区別されています。

人のおこぼれで得をすることを「恩恵にあずかる」といいますが「恩寵にあずかる」とはいいません。

「恩恵」の例文

・『隣の店の恩恵にあずかり商売が順調である』
・『観光客が多いのは天然温泉や雄大な景色など自然の恩恵である』

「恩寵」の例文

・『神の恩寵にすがる』
・『恩寵はすべての人に分けへだてなく与えられる』

まとめ

「恩恵」「恩寵」はもともと同じ意味だったこともあり使い分けが難しい言葉ですが基となる存在の違いによって区別されます。

宗教に関連する言葉なので用いるときは慎重に言葉を選び間違えないように注意しましょう。