悪用と乱用は、どちらもあまり良いイメージのない言葉です。
悪用と乱用の違いについて紹介します。
悪用とは?
悪用とは、本来の目的や用途、趣旨に反して何か悪いことのために利用することをいいます。
わるいこと、不道徳なこと、正しくない、いたずらといった意味を持つ漢字の「悪」が使われています。
「悪」は良い意味で使われる漢字ではありません。
本来の目的や用途から外れた使い方をわざと行うと、悪用したことになります。
わざとではなく間違ってしまった場合には、悪用とはいいません。
その場合には、誤用といいます。
悪用の使い方
悪用を使った例文を幾つか挙げてみます。
・利用者の利便性を高めようと新しく開発した技術が、犯罪者に悪用されてしまった。
・参加者の個人情報は悪用される恐れがあるので慎重に取り扱ってほしい。
・インターネットショッピングをする際は、クレジットカードが悪用されないように気を付けたい。
乱用とは?
乱用とは、一定の限度を超えてむやみに用いることをいいます。
例えば薬を服用する場合、1日に2回1錠ずつ飲むなど用量が決められています。
薬の効果を高めようとして、勝手に薬の服用量を増やしてしまうことは乱用になります。
薬は病気の治療に使われる大切なものですが、決められた用量を守らないと体に健康被害を及ぼしてしまいます。
また、乱用には元々、「濫用」という漢字が使われていました。
なぜ、「濫」という漢字ではなく「乱」が使われるようになったかというと、「濫」が当時の当用漢字から除外されるかもしれないという話が持ち上がったからです。
そこで、新聞社や放送業界では「濫用」の代わりに「乱用」を用いることにしたのです。
結局、「濫」は当用漢字から除外されることはなく、現在の常用漢字にも残っています。
しかし、「乱用」という表記はそのまま定着し、一般でも広く使われるようになりました。
「濫用」と書くこともありますが、間違っているわけではありません。
「濫用」と「乱用」は全く同じ意味になります。
乱用の使い方
乱用を使った例文を幾つか挙げてみます。
・休日にも部下を会社に呼び出すのは職権乱用なのでやめなさい。
・体に重大な悪影響を及ぼすので、薬物の乱用は絶対に許さないという姿勢で臨んでほしい。
・あの人は地位を乱用して無理な要求ばかりしてくる。
悪用と乱用の違い
悪用は本来の使い方から外れ、何か悪い目的のために利用することをいいます。
それに対して乱用は、一定の限度を超えてむやみやたらに行うことをいいます。
悪用と乱用では、目的に違いがあります。
悪い目的で使用するのが悪用で、乱用の場合の目的は人によって違います。
悪いことに利用したいという場合もあれば、悪気なく行っている場合もあります。
一定の限度を超えているかどうかがポイントになります。
まとめ
悪用は悪い目的で本来の使い方ではない利用をすることをいいます。
乱用は一定の限度を超えてむやみに行うことをいいます。