人を招くことを表す「招致」と「招聘」はよく似ていますが、どのように使い分ければよいのでしょうか。
この記事では、「招致」と「招聘」の違いを分かりやすく説明していきます。
「招致」とは?
「招致」【しょうち】とは、ある行事や場所などに人を招き寄せることです。
使われている漢字の意味を見てみると「招」と「致」は共に「呼び寄せること」ことを表しています。
また「致」は近くへ来させること」という意味も持っており、これらの漢字を組み合わせた「招致」は「目的があって人を呼び、こちらへ来てもらうこと」を表す言葉になっています。
実際には「ある行事や手続きを行う際、その場に必要な人物に参加してもらうため、呼んで来てもらうこと」と「ある場所で行事を開催するようはたらきかけること」の二つの意味で使われています。
前者の場合は「スポーツ競技やイベントに参加してほしい人を招くこと」を、後者の場合は「イベントの開催場所として特定の場所での開催を申し出ること」を指す使い方が一般的です。
なお「招致」に似ている言葉に「誘致」【ゆうち】があります。
「誘致」も来てもらうようにはたらきかけることを意味しますが、「招致」は一時的な用を果たすために呼び寄せること、「誘致」は来た後に定着してもらう目的で呼び寄せることを表している点が少し異なります。
「招致」の言葉の使い方
一例として「招致」は以下のような使い方をします。
・『マラソン大会に一流選手を招致する』
・『地元にある競技場を陸上大会の開催場所として招致する』
「招聘」とは?
「招聘」【しょうへい】は「丁重に人を招き寄せる」という意味です。
使われている漢字の意味を見てみると「招」と「聘」は共に「呼び寄せること」を表しており、さらに「聘」は「礼を尽くして人を招く」という意味も持っています。
そして、これらを組み合わせた「招聘」は「来てもらうために相手へ敬意を払って呼び寄せること」を表す言葉になっています。
一般には「目上でありながら目下の人に敬意を払って丁重に呼び寄せる」といったニュアンスを持ち、人を招き寄せることの丁寧な言い回しとして使われます。
「招聘」される側は、目上の立場にある人から来てもらうように丁重にお願いされる状況にあります。
目上の立場にある者から命令されて呼ばれるのではなく、誠意を持って招き入れてもらうということです。
なお漢字の「聘」は読み方が難しいため「招へい」とひらがなで表記されることも多くなってます。
「招聘」の言葉の使い方
一例として「招聘」は以下のような使い方をします。
・『即戦力のある社員を新プロジェクトの一員に招聘する』
・『学校側の招聘を受けて校長に就任した』
「招致」と「招聘」の違い
「招致」と「招聘」の違いを、分かりやすく解説します。
「招致」と「招聘」はどちらも漢字の「招」を含み、ある目的があって人を呼び寄せることを表します。
ただし「招致」は「特定の行事や場所へ一時的に呼び寄せること」を意味し、「招聘」は「目上の立場にある者が目下の者を丁重に呼び寄せること」を意味しており、両者のニュアンスには違いがみられます。
「招致」は単に人や物を呼び寄せることで目上、目下の関係にこだわらず使うことができます。
一方、「招聘」は目下の立場にある人を呼び寄せることの丁寧な言い回しであり、目下から目上に対して使われることはありません。
まとめ
「招致」は一時的にある行事や場所へ人を呼び寄せること、「招聘」は目上の者が目下の者を丁重に呼び寄せることです。
意味が分かれば、使い分けはそれほど難しくはないでしょう。