間に入ることを指す言葉に「斡旋」と「媒介」があります。
このふたつはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「斡旋」と「媒介」の違いについて解説します。
「斡旋」とは?
「斡旋」とは、「間に入りどちらもうまくいくよう取り持つこと」を意味する言葉です。
「斡旋」の使い方
「斡旋」という言葉の本来の意味は「仲介者が仲介するものそれぞれに利益が出るよう努力すること」です。
AとBという存在の間に入ったときAにもBにも利益があり双方が満足いく結果になるよういろいろと尽力することを「斡旋」といいます。
現在「斡旋」という言葉が使われる場合、本来の意味である「うまくいくよう取り持つこと」という意味から転じて発生した「紹介する」という意味で使われることがほとんどです。
人材を求めている会社に人を紹介する、仕事を探している人に求人情報を提供するなど「求められているものを求めに応じて提供する」という行為は結果的に双方の利益につながります。
「斡旋」の本来の意味からは変化した使い方ですが本質的な意味に違いはありません。
「媒介」とは?
「媒介」とは、「間に入り仲介役を勤めること」を意味する言葉です。
「媒介」の使い方
間に入って仕事をする仲介役にはいろいろなタイプがあります。
両者の利益のために尽力するもの、どちらかの利益を重視するもの、利益や結果に関心を持たず仲介のみに専念するものなどいろいろなタイプがある中で「特定の目的や思想を持たずAとBのつなぎ役に徹するもの」を指して「媒介」と表現します。
「媒介」は中継地点なのでAとBを結びつける機能のみを果たします。
相手のメッセージを伝えたり面会予定を調整したり品物を届けたりなど機能としてAとBをつなぎますが積極的に提案をしたり特定の結果へと誘導したりすることはありません。
「橋渡し」という表現が意味としては非常に近く、川や海などの障害物を超えてふたつの場所をつなぐ橋と同じようにつなぎ役として機能するのが「媒介」です。
「斡旋」と「媒介」の違い
「斡旋」と「媒介」の違いは「積極性」です。
どちらも異なる存在の間に立つ仲介役を指す言葉ですが双方のために積極的に活躍するのが「斡旋」、仲立ちに徹し自らは積極的に動かないのが「媒介」という違いで区別されます。
就職の「斡旋」という場合は積極的に仕事を紹介したり会社情報を紹介したりする様子を指しますが、仕事の「媒介」という場合は就職情報を提供するプラットフォームを作成したり情報誌を発刊したりなど双方にとって便利ではあるものの仲介役そのものは直接的に動かないものを指すという違いがあります。
「斡旋」の例文
・『就職希望者を企業に斡旋する』
・『留学希望者にホームステイ先を斡旋する』
「媒介」の例文
・『マラリアは蚊が媒介することで艦船が拡大する』
・『不動産を売却するため業者と媒介契約を結んだ』
まとめ
「斡旋」と「媒介」はどちらも仲介や仲立ちを意味する言葉ですが表す内容は大きく違います。
仲介者がどのような活動をするかで区別されるので注意してください。