この記事では、「絵」と「画」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「絵」と「画」の違い
「絵(え)」と「画(え)」の違いは、「人間が意識的(意図的)に描いた絵画・デザインや彩色をして描いた芸術作品」を表現する場合には、「画」ではなく「絵」を使うという違いがあります。
一般的あるいは習慣的に、「人の手によって美術や作品として描かれた絵画」は「絵」で表し、「人の意図とは関係なく映されるテレビなどの映像・画面やカメラの写真」は「画」で表す違いもあります。
「絵」は「人為的あるいは意図的に描かれたもの・静止しているもの」、「画」は「人の意識とは関係なくただテレビやスクリーンに映し出される映像(画面)」を示唆する点に違いがあります。
「絵」と「画」の使い方の違い
「絵」と「画」の使い方は、一般的に「人(芸術家)が描いた絵画全般」を指す場合には「絵」が使われます。
「絵」か「画」かで迷った時には、「絵」を使用すればおおむね間違った使い方にはなりません。
「絵」ではなく「画」を使う場合というのは、「人の制作行為が介在していないただ映されているだけのテレビの映像やカメラの写真」を指示する場合になります。
また慣用句である「彼の姿は絵になる」は「絵」を使用して、「画」は使えないという違いも指摘できます。
「絵」と「画」の英語表記の違い
「絵」を、英語を使用して表記すると以下になります。
“picture”……一般的な絵画全般。
人が描いた作品としての絵画。
絵。
“painting”……絵の具・ペンキなどで彩色(色付け)を施して仕上げられたもの。
塗り物としての絵。
“drawing”……鉛筆・ペンなどで対象の形態を表すために、線を引いて描いたもの。
デッサン・図面としての絵。
「画」を、英語で表現すると以下になります。
“screen”……テレビやディスプレイ、映画館のスクリーンなどの画面全般。
スクリーンとしての画。
“image”……写真などの静止した画像(写像)やイメージ。
写真的なイメージ・画像としての画。
“video”……テレビなどのスクリーンに映し出される映像。
動画的な映像としての画。
「絵」の意味
「絵(え)」とは、「人の手を介して意識的なデッサンや彩色を施されて描かれたもの」を意味しています。
「絵」という言葉は、「対象となる事物・人物・情景などを色・線・形によって、人為的(意識的)に描いたもの」を示しています。
「テレビ(ビデオ)などの映像や画面」の意味では慣習的に「画」が使われますが、辞書的な意味としては「絵」にも「映像・画面」の意味はあります。
「絵」の使い方
「絵」は、「人・芸術家が意図的に、対象(事物・人物など)を描いたり彩色したりしたもの全般」を意味して使います。
一般的に「絵画」と呼ばれる制作物は、全般的に「絵」を使用して表すことが可能です。
また「絵を描く(事前に陰謀をめぐらす)」や「絵になる(見栄えがする・見た目が優れている)」といった慣用句でも、「画」ではなく「絵」を使います。
「絵」を使った例文
・『小学生の頃から、水彩画の絵を教室で習って描いていました。』
・『印象派の美しい風景を題材にした絵を見ているだけで、落ち込んだ心が慰められるのです。』
・『人物画が好きか風景画が好きかは、人それぞれの好みで変わってきます。』
・『この恐ろしい事件の絵を描いたのは誰なのかがまだ分からないのです。』
・『彼女はスタイルが良いので、ユニクロの服でコーディネイトしてもモデルのように絵になります。』
「絵」の類語
「絵」の類語には、以下の言葉があります。
・『絵画(かいが)』……対象となる人やモノの形・色・特徴を、平面上に描き表したもの。
・『絵図(えず)』……上空からの視点で土地・家屋の配置などを描いた図面。
・『図画(ずが)』……人為的に描かれた絵や図面。
絵を描く行為。
「絵」の対義語
「絵」は「意識的・人為的にデッサンや彩色を施して、対象(物・人・風景など)を描いたもの全般」を意味する言葉であり、国語辞典に挙げられる「絵」の対義語はありません。
「画」の意味
「画(え)」というのは、「意識的ではなく、ただテレビ・画面(スクリーン)に映し出されているもの」を意味しています。
「画」にも「人為的に描かれた絵画」の意味はあるのですが、意味のニュアンスとしては「テレビ・映画などで映し出される(意図的に描かれていない)映像・画面」や「絵画でなくカメラで撮影された写真」のニュアンスが強くなっています。
「画」の使い方
「画」の言葉は、「スクリーン上(画面上)に映し出された画像・映像(動画)」や「カメラの写真・写真のようなイメージ的なもの」の意味で使われます。
「画」も「絵」と同じく「人(芸術家)によって意識的に制作された絵画全般」の意味でも使用可能ですが、「テレビや映画などの画面・映像」の意味で慣習的に使われる頻度が高いのです。
「画」は、「美しい画がスクリーンに映し出されました」や「このドラマは画の構図が素晴らしい」などの文章で使えます。
「画」を使った例文
・『映画というのは画と音声を融合させた総合芸術だと思います。』
・『画の構図が優れている写真は、誰が見てもバランスの良さを感じるのです。』
・『シーンの画が上手く撮れないために、撮影現場にはピリピリした緊張感が漂っていました。』
・『スクリーンに投影される画をぼんやりと眺めているうちに、時間があっという間に過ぎました。』
・『ネット社会では膨大な数の画が氾濫していて、映像も写真も業界の競争が激化しています。』
「画」の類語
「画」の類語には、以下の言葉があります。
・『スクリーン』……映像作品や被写体となるものを投影して映し出す画面。
映像や写真を視覚的に見えるようにする画面。
画。
・『映像』……静止画ではなく動きのある動画で物事を表現したコンテンツ全般。
画。
・『画像』……写真のような静止画。
イメージとして提示される静止した像。
画。
「画」の対義語
「画」は「人に制作された絵画全般」や「スクリーンに映し出される映像・画像、写真的なイメージ」の意味を持っている言葉であり、国語辞典などに掲載されている「画」の対義語は存在しません。
まとめ
「絵」と「画」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「絵」と「画」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。