介護の現場で作成される報告書として「事故報告書」と「ヒヤリハット報告書」がありますがどのような違いがあるのでしょうか?
今回は「事故報告書」と「ヒヤリハット報告書」の違いについて解説します。
「事故報告書」とは?
「事故報告書」とは、「介護現場での介護サービス提供中に発生した事故を自治体に知らせるために作成される報告書」を意味する言葉です。
「事故報告書」の使い方
「事故報告書」は介護保険法で定められている書類のひとつで「介護サービス提供時に発生した事故を報告するための書類」を指します。
介護現場ではさまざまなリスクが潜み事故の危険性と常に隣り合わせです。
事故の実体や件数を管理する自治体が正確に把握し適切な対処を実行するために必要な実態確認の手段として介護事業所に作成と提出が義務付けられている書類です。
報告が必要な事故の基準は介護保険法によって種類や程度が定められています。
介護サービス提供中に事故が発生した場合は介護事業者が事故の詳細を確認した上で各自治体が定める書類のフォーマットに従って報告書を作成し所定の提出フローに従ってすみやかに報告書を提出します。
「事故報告書」の目的は「事故の実態を把握し同じような自己の防止に役立てるため」です。
事故事例として報告書を積み上げることで介護に携わるもの全体で情報を共有し似たような事故を未然に防ぐ被害の回避につながります。
その他にも報告書という形で事故の詳細をまとめておくことで情報開示が可能になり何時でも事実関係を確認できるという利点もあります。
「ヒヤリハット報告書」とは?
「ヒヤリハット報告書」とは、「介護現場での介護サービス提供時に発生した事故につながりかねない事象を報告する書類」を意味する言葉です。
「ヒヤリハット報告書」の使い方
リスク管理の世界では重大事故につながりかねない危険性を秘めた事例のことを「背筋が冷やりとする」「ハッと息を呑む」様子から「ヒヤリハット」と呼んでいます。
より専門的な用語として「インシデント」という言葉に近い意味を持つ「ヒヤリハット」を報告するために作成される書類が「ヒヤリハット報告書」です。
ヒヤリハットに画一した基準は存在しないので各事業者が報告すべき基準を事前に示しておく必要があります。
「事故報告書」と「ヒヤリハット報告書」の違い
「事故報告書」が発生した事故を報告するのに対し「ヒヤリハット報告書」は事故につながりかねない未遂の事象を報告する書類です。
事故が起きてから作成されるのが「事故報告書」、危なかったが事故は起きなかったときに作成されるのが「ヒヤリハット報告書」という違いで区別されます。
その他にも「事故報告書」は自治体に提出しますが「ヒヤリハット報告書」は介護事業所など施設で共有するために作成されるという違いもあります。
まとめ
常に危険と隣り合わせの介護現場において「事故報告書」と「ヒヤリハット報告書」は重要な意味を持つ書類です。
危険な実態の把握だけでなく将来に向けた改善にも重要な意味を持つ書類なので包み隠さずすべての事実を報告してください。