「なんなりと」と「忌憚なく」の違いとは?分かりやすく解釈

「なんなりと」と「忌憚なく」の違い生活・教育

「なんなりと」「忌憚なく」は似たような意味を持つ言葉として使われていますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「なんなりと」「忌憚なく」の違いについて解説します。

「なんなりと」とは?

「なんなりと」とは、「気兼ねなく何でも」という意味の言葉です。


「なんなりと」の使い方

「なんなりと」は特定の対象を指定せず幅広いものを意味する「何」、断定を表す「なり」、接続助詞「と」という3つの言葉で構成されています。

直接的な意味としては「どんなものであろうと」という意味になりますがこの言葉が使われるのは主に相手の要望や希望に従うときです。

遠慮して言い出せない人に対して遠慮は無用であるという意味を込めて使われる言葉なのでよりふさわしい意味としては「遠慮や気兼ねすることなくどんなことでも」となります。

相手の意向に従う意志を示す言葉であり一般的には接待する相手やもてなす対象に対し「余計な気遣いをすることなく自由になんでもいいつけて構わない」という意志を伝えるときに用いられます。

かなりかしこまった言い方で執事や召使などが用いるようなやや古風な表現ですが一流ホテルなど格式を大切にする場所で今でも使われている表現です。


「忌憚なく」とは?

「忌憚なく」とは、「差し控えたり遠離したりすること無く」という意味の言葉です。

「忌憚なく」の使い方

「忌憚なく」「忌憚」には「忌みはばかる」という意味があります。

「忌みはばかる」とは「汚れているとして遠慮すること」「禁忌として控えること」と言った意味を持つ言葉で、現代風に言うと「タブーにする」が近しい表現です。

「忌憚なく」とは忌憚することなく、つまり「忌み嫌ったり悪いからと控えたりすることなく」という気持ちを表します。

一般的には遠慮せずに本音や本心をぶつけてほしい時に使われる言葉で、目上の人に気を回して控えたり場にふさわしくないからといって意見を飲み込んだりすることなく率直な意見や態度を示すよう促す場合に用いられます。

「なんなりと」と「忌憚なく」の違い

「なんなりと」「忌憚なく」の違いは「方向性」です。

「なんなりと」は顧客や接待の相手など立場が上の人に対して気を使う必要がないと伝えるときに使われる言葉であるのに対し「忌憚なく」は意見を求める上司やクライアントなど気を使って本音を言われることのない上の立場にある人が下の人に対して気遣い無用を伝えるときに用います。

下の立場から上の立場に向けて使うのが「なんなりと」、上の立場から下の立場に向けて使うのが「忌憚なく」という違いで使い分けられます。

「なんなりと」の例文

・『ご要望がございましたら何なりとお申し付けください、と丁寧な態度で執事が言った』
・『欲しいものはなんなりとご用意いたします、と破格の待遇でスカウトされた』

「忌憚なく」の例文

・『ミーティングでは出席者全員が忌憚なく意見をぶつけあった』
・『忌憚なく寄せられた意見の中には有用なものが数多く見られた』

まとめ

「なんなりと」「忌憚なく」はどちらも日常生活で使われる機会がほとんどない言葉です。

やや古い表現ですがビジネスの世界では使われることが多い言葉なので取り違えることのないように正しい意味を覚えておきましょう。