この記事では、「描写」と「描画」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「描写」と「描画」の違い
「描写」と「描画」の分かりやすい違いは、「描写」は「絵画以外のもので表現する行為も含んでいる言葉」で、「描画」は「対象となるものの絵を描く行為だけを意味する言葉」であるという違いです。
「描写」は「見たり感じたりした対象の姿かたち・性質あるいは心理状態を、文章・絵画・音楽などの制作物の形で写して表すこと」を意味しています。
それに対して、「描画」は「絵を描くことだけ」を意味している明確な違いを挙げられます。
「描写」と「描画」の使い方の違い
「描写」は「絵で美しい女性を描写する」のように「絵を描く」という「描画」と同じ意味でも使えますが、「描画以外の方法で対象や心理を写して表すの意味」でも使われる違いがあります。
例えば、「激しい恋愛の苦悩を音楽で描写する」や「家族を殺された男の報復感情を小説で描写する」とは言えますが、これらの文章の「描写」を「描画」には言い換えられない違いを指摘できます。
「描写」と「描画」の英語表記の違い
「描写」を、英語で表記すると以下になります。
“description”……対象となる物・人・心理状態などをさまざまな方法で写し表すこと。
描写。
“portrayal”……人物の姿かたち・人格・性格・本質などを写し表すこと。
人物描写。
「描画」を、英語を使って表記すると以下になります。
“drawing”……絵・イラストを描くこと。
描画。
“painting”……主にペンキ・絵の具などで絵を描いたり色を塗ったりすること。
描画。
“lithography”……半導体基盤などが画面上に絵を映し出すための描画技術。
コンピューターによる描画。
「描写」の意味
「描写(びょうしゃ)」とは、「実際に見たり聴いたりしたことあるいは物の形・特徴などを、文章・絵画・音楽などを介して写して表現すること」を意味しています。
「描写」の言葉には、「心の中で感じたことや実際に知覚した物・人などを、文章・音楽・絵画などの制作物を通じてそのまま写して表すこと」といったニュアンスがあります。
「描写」の使い方
「描写」は、「自分が実際に知覚した物・人あるいは心の中に浮かべたイメージを、文章・絵画などの作品を介して写して表現する場合」に使う使い方になります。
例えば、「この素晴らしい景色を何とかして、写真ではなく文章で描写したいと考えたのです」などの文章で使えます。
「描写」を使った例文
・『このミステリー小説は、追い詰められていく犯人の心理描写がリアルで絶妙です。』
・『ベートーベンの音楽が感動するのは、人の激しい感情の波を描写したような作品が多いからです。』
・『プロの画家が描写した富士山には、写真以上に人の心を強く魅了するオーラがあるのです。』
・『この複雑な感情をどのようにして描写すれば良いのかを悩み続けてきました。』
・『どんなに飾り立てる文章が上手くても、人間の心情描写に迫真性と共感の要素がなければ小説は売れません。』
「描写」の類語
「描写」の類語には、以下の言葉があります。
・『表現(ひょうげん)』……心の中にある思考・気持ち・意思などを、文章や絵画、表情、ダンスなどのさまざまな方法で外に表すこと。
・『写し出す(うつしだす)』……内面にある考え・感情・イメージなどを、他者も認識できる形で外部に表すこと。
・『形容(けいよう)』……言葉・比喩などを使用して、物の形・色・特徴などを言い表すこと。
・『叙述(じょじゅつ)』……ある物事の事情・展開・なりゆきを、順番を追いながら述べること。
「描写」の対義語
「描写」の対義語には、以下の言葉があります。
・『表象(ひょうしょう)』……外部や他者に向かって制作物(作品)を介して表現するのではなく、自分の心の中だけで思い浮かべることができる対象のイメージ。
「描画」の意味
「描画(びょうが)」という言葉は、「対象となる物や人、風景(景色)などの絵を描くこと」を意味しています。
コンピューターが普及した現代では「描画」には、「人が物理的に絵を描く」だけではなく「描画ソフト・描画チップ(ビデオチップ)のように、コンピューターがディスプレイ上に表示される絵を描く」といった意味合いも含まれます。
「描画」の使い方
「描画」は、「人が対象となる物・人・生物・景色などの絵を描くこと」の意味で使われます。
また「描画チップ・描画ソフト」のように、「コンピューター(ソフトウェア)や半導体の動作が画面上で表示されるドット絵(イラスト)を描くこと」の意味でも使用されます。
例えば、「猫のかわいらしい仕草を描画しています」といった文章で使えます。
「描画」を使った例文
・『子供の頃から、身近にいる犬や猫を描画するのが趣味でした。』
・『目で見ている対象物を正確に描画することができる特殊な才能があります。』
・『無心になって美しい山の景色を描画している時間だけは嫌なことを忘れられるのです。』
・『素人がいくら適当に描画しても、プロの画家が持つ描画の専門的な技術を学ぶことは難しいです。』
・『昔から長い休暇の時には、気が済むまで人の似顔絵や動物の姿を描画していました。』
「描画」の類語
「描画」の類語には、以下の言葉があります。
・『絵を描く(えをえがく)』……絵筆をとって、絵画をえがくこと。
・『作画(さくが)』……主に漫画作品などで、原作のストーリーやキャラクターに合わせた絵・イラストを描くこと。
・『お絵描き(おえかき)』……子供が自由なやり方や色づかいで絵を描くこと。
「描画」の対義語
「描画」は「対象となる物・人などの絵を描くこと」をシンプルに意味する言葉で、国語辞典などに挙げられる対義語はありません。
まとめ
「描写」と「描画」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「描写」と「描画」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳細に調べたい時は、この記事の内容を読んでみてください。